タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『ケイパビリティを活用し戦略の実現性を高めよ』


 日本経済は震災後の復興特需により回復基調にあるものの、あくまでも一時的な回復であり、持続可能な回復の目処は立っていない。さらに企業間競争は熾烈さを極め、徐々に差別化が困難になってきている。

 差別化が図れなくなってきた理由としては、競合する商品やサービスの特性(機能、品質など)が失われ、消費者が価格だけで選択していることが挙げられる。このような状態を「コモディティ化」という。結果として、終わりなき値下げ競争に突入しているケースが多くなってしまったのだ。

 値下げ競争に危機感を持ち、さまざまな競争優位戦略を打ち出す企業も多くある。しかし、実行推進面で社内の内的資源を活かしきれず、スピードの欠如により自社の強みを活かしきれないケースも散見される。

 このように企業にとって差別化は難題ではあるが、やはり持続的な競争優位を確立することが必要だ。それには「ケイパビリティ」を高め、戦略の「実現性」で他社に差をつけなければならない。

 「ケイパビリティ」とは、企業が有する独自資源を「組織」として活用・運用する能力、つまり「企業が全体として持つ組織的な能力」である。

 従来「戦略」といえば、市場を調査・分析しながら事業や商品のポジショニングによって競争優位を構築することであり、企業の外的環境に軸足を置いて考えられてきた。

 一方、人や組織といった内的環境を重視して、組織としての強さで自社の優位性を担保することが「ケイパビリティ」を活用した戦略といえる。

 立派な事業戦略を構築しても、それを取り巻く人材・資金・知識・情報などを有効に活用しなければ“絵に描いた餅”になってしまう。

 車に例えると競争優位戦略とケイパビリティは両輪であり、どちらかにトラブルが生じると、スピードが出ないどころか走行すら危ぶまれる。戦略を高いレベルで遂行する組織的な能力の強化と、事業戦略構築をあわせて実行しなければならない。

 ケイパビリティを活用し、自社の戦略の実現性を高めていただきたい。



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