タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『進むべき道をきちんと自覚しているか』


 あなたは今、仲間と共に救命ボートに乗って、海を漂流しているとしよう。360度見渡す限り海で、どちらに進んでよいのか見当が付かない。陸地を探そうと、あなたは右に進路を取ろうと提案するが、仲間たちが「左だ」「いやまっすぐだ」「動かずに救援を待ったほうがいい」と口々に言い始める。

 だが、もし手元に海図があればどうだろう。陸地の方向が分かる。すると、全員で一致協力してその方向を目指して漕ぎ出すに違いない。

 同じことが企業経営にも言える。進むべき道を示す海図が方針書である。しかしながら、この方針書をおろそかに考えている企業が非常に多い。そのため社員は、会社が右に進みたいのか、左に進みたいのかも分からない。取りあえず、漕いでいるだけである。それでは一向に陸地までたどり着くことはできない。

 組織とはもともと「バラバラ集団」である。年齢や学歴、考え方、価値観、育った環境も違う人たちが集まって仕事をしている。そういった人たちのベクトルを合わせ、一人ひとりの力を結集させ、同じ行動を取らせるためにも、会社は皆が目指すべき方向を示さなければならない。これが方針書の役割である。

 進むべき道(方針書)があるから、迷子にならない。進むべき道がないと、どう進んでよいのか分からない。鉄道事故より自動車事故が多いのは、走る軌道が決まっておらず、勝手気ままに走れるからだ。進むべき軌道を定めれば、そこから外れた場合はすぐに分かり、元の軌道に戻せる。これがマネジメントである。

 もっとも、方針書があっても誰もそれを見なければ話にならない。あなたは、進むべき道をきちんと自覚しているだろうか。何も考えず、ただ目の前の仕事に追われているだけになっていないだろうか。方針書を眺めているだけではダメだ。目標を明確に認識していれば、迷いがなくなり、その達成に向けて情熱を注ぎ、独創的な仕事ができるようになるだろう。



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