コンサルタンツ・EYE
『決算書が示す幹部の経営責任とは?』 簿記が苦手だった筆者は、まだ新人だった頃にイラストをアレンジして決算書を覚えた。数学というより国語(読む)に近い印象を持った記憶がある。 現代のビジネスパーソンは会計も必須スキルといえる。とくに幹部以上の階層には、決算書を人任せにできない責務が発生する。自身が籍を置く会社の状態を知ることは、至極当然のことといえる。少なくとも、決算書をザックリ読んで意味は理解したい。自社の業績は良いのか、悪いのかを取引先に聞きに行く幹部はおるまい。 また経営幹部は、決算書を見て人任せや他人事にせず、自身の責任を読み取れるようにしなければいけない。そこで見るべきものは、貸借対照表(B/S)である。B/Sを大きく5つの箱に区切ってみる。借方に2つ、貸方に3つ。それぞれの箱の責任を担う経営幹部を以下に記す。
<流動資産> 営業活動から発生する売掛債権や在庫が流動資産の大半を占めることから、管理責任は営業部門と生産部門の幹部にあるといえる。 <固定資産> 土地・建物といった政策的な設備投資に関する部分が大部分を占める。よって、固定資産の管理責任は組織トップである社長にあるといえる。 <流動負債> 支払債務や短期借入金が中心であるので、経理部門幹部が責任を負う。 <固定負債> 設備投資に伴う長期借入金や社債が中心で、設備投資判断と同じくくりであるから、社長と財務部門幹部の責任といえる。 <純資産> 資本金及び利益の内部留保であるため、経営責任の合否をつかさどる部分である。したがって、社長がこの部分の最終責任を負う。 損益計算書から収益性を推し量るだけで終わらせてはいけない。社長をはじめ経営幹部は過去を読み、自社の未来を語る上で、貸借対照表から経営責任を理解する必要があるといえよう。
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