タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『コストダウン活動推進の着眼点』


 家電業界や半導体業界における製造業の業績悪化がメディアで盛んに取上げられ、それと同時に各企業のコストダウン施策も発表される。短期的に何千億から何百億円という大きな桁の改善数値が予算として計上され、実際にコストダウンが実施されるが、製造業の多くを占める中堅・中小企業からすると、とても非現実的な数値に感じられるだろう。

 周知の通り、短期間でこれだけのコストダウンを実現する中核の施策は、事業リストラとそれにともなう人員整理である。人員整理を行うことによって、固定費の大部分を占める人件費を大幅に削減することが可能となる。V字回復を達成したと言われる多くの企業はこれを実施してきている。

 しかし、リストラは病院で例えると外科手術であり、多くの中堅・中小企業においてその余力がないのが実情である。外科手術をしなければならない状況になる前に、日常的な予防活動(=コストダウン活動)を実践することが肝要である。コストダウン活動を効果的に実践するためのステップは次のとおりである。

<第1ステップ>
 コスト構造の把握。損益計算書や製造原価報告書はもちろんのこと、工程別、機械設備別、時間別、製品別などに分解して、全社員がコストを理解できるようにすること。

<第2ステップ>
 コストダウンに連動する形のKPI(Key Performance Indicator/業績評価指標)を設定し、作業者が現場で何をすべきかわかるようにすること。具体的にはリードタイムの短縮、段取り替え時間の短縮、使用材料の低減などがある。そして、これらのKPIを改善することにより、どのようにコストダウンにつながっていくのかを明確にし、改善目標を設定すること。

<第3ステップ>
 現場において現状、プロセス、結果が数値で見えるように掲示すること。また、ただ単に貼り出すのではなく、全員の目が自然に行くような見やすい工夫や仕掛けをしなければならない。

<第4ステップ>
 KPIからコストダウンできた金額を理論値ベースで算出し、その成果に対して金銭あるいは表彰など何らかの形でメンバーに報い、そしてそれを全社的に公表すること。

 最後にこれを一過性のものとして終わらせることなく、経営層が積極的に関与し、管理監督者の指導や会社の仕組みのもと、コストダウンをはじめとした改善活動を全員参加で日常的に実施し続けることが何よりも重要である。コストダウン活動に終わりはなく、その継続が強い企業体質を作っていく。



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