タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『“店長の思いが入った商品”への変貌』


 地方における小売の競争環境は厳しく、大型店舗の出店ペースが落ちつつあるとはいえ、過剰出店の影響でどのショッピングモールのテナントも苦戦が続いている。「テナントの看板がなければ店名がわからない」というほど同質化した店舗が溢れる中、「いかに差別化を図るか」が経営者の最大のテーマとなっている。

 ある企業の常務(営業責任者)は、「『これは売れる』的な評論家タイプの店長はいらない。『いくつ売る』という店長の強い意思決定が売上につながる」と言う。

 同社では、販売会議だけではなく発注にも店長を参加させている。自店のお客様のイメージを明確にすることで「店長の力」を強化するためだ。「小売業において、最大の意思決定は商品仕入である」という常務の強い意志のもと、あえてリスクを負うことを店長に求めている。

 同社では社内展示会を年4回開催し、商談会を行っている。店長は自店にふさわしい商品をセレクトし、数量を決定していくのだ。そうしてセレクトされた商品は“単なるモノ”から“思いが入った商品”へと変貌し、それが「売り切る力」へとつながる。

 一方、商品部は店長に商品発注してもらう立場にある。この商品をセレクトした理由、どのようなお客様が対象か、どのように販売すれば良いのかを店長に伝え感動させるには、商品のセールスポイント、プロモーションポイントのヒントを学びとらなければならない。それには店長(現場)の声に耳を傾けることが不可欠であり、そこで“聴く力”が磨かれていく。

 常務は「競争の厳しい中で戦うには、『“店長の思いの入った商品”をいかに多くのお客様にお届けするか』が最大の差別化ポイントになる。現在は約30%の店長発注の比重を50%位まで高めていきたい」と話している。

 店長と商品部が互いに力を磨き合い、常務の思いは徐々に社員に浸透しつつあるようだ。今後、どのような“店長の思いが入った商品”が店舗に並べられていくのか、大いに楽しみである。



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