タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『“顧客価値”と“企業DNA”との接点』


 企業は環境適応業である。刻一刻と変わりゆく環境に適応するためには、絶えず自社の事業戦略を見直す必要がある。

 事業戦略を見直す上で重要なのは、顧客の価値観の変化を深く観察することである。そのために大切なのは、「顧客接点」と「顧客分析」である。企業と顧客の接点は営業、店舗・販売員、イベント・セミナー、販促物・カタログ、WEBサイト、メールなどさまざまであるが、ここで得られた顧客情報の分析がどれだけ出来ているかが、顧客獲得や顧客ロイヤリティの向上に繋がる。

 とくに製品(商品)やサービスのコモディティ化が進む昨今、他社との競争に勝つためには「顧客接点」と「顧客分析」の強化による顧客価値の洞察が重要だ。その際「顧客価値=顧客にとっての体験価値」であり、必ずしも高機能・高品質ではないということを念頭に置く必要がある。

 例えば自動車の場合、日本車は高機能・高価格過ぎて新興国では売れなかった。最近は、現地に合った規格の自動車を海外生産する日本メーカーが増えており、そこそこの機能・品質で低価格の方が顧客価値が高い。

 事業戦略を見直す上でもう1つ重要なのは、創業から今日まで自社が提供してきた価値を磨くことである。この提供する価値はまさしく「企業DNA」と言える。

 ホンダのように開発型DNAを持った企業は、とことん開発にこだわることで、良い自動車や製品を世に送り出すことができる。それが故にエンジンやF1、ロボットにとことんこだわるべき企業だと言えるだろう。

 トヨタはジャスト・イン・タイムや看板方式、すなわち高度な事業オペレーションが企業DNAである。全世界で、高度な事業オペレーションと低価格戦略を両立できれば、海外の自動車メーカーとも戦えるに違いない。

 事業戦略見直しの際は、「顧客接点」「顧客分析」による“顧客価値”と、自社の提供する価値“企業DNA”との接点を見つけることが成功の条件である。



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