タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『時間のどんぶり勘定から脱却せよ』


 経営者は業績が悪化すると、ありとあらゆるコストに無駄がないかということに目を向けるのが普通だと考える。しかし、実際にはなかなか目を向けないコストがある。それは時間コストだ。目先の経費を気にするあまり、時間に関するコスト意識が欠如してはいないだろうか? 同じ売上・利益なら、より少ない時間投下で達成したほうが生産性は高くなるはずだ。

 例えば、一人年間5千万円稼がなくてはいけない営業パーソンの1時間あたりの価値はいくらか計算してみよう。5千万円÷12ヵ月÷稼働日20日÷就業時間8時間とすると、1時間当り2万6千円以上の価値を会社にもたらさなければならない。

 それにも関わらず会社側は、営業パーソンが客先に出向き商談をスムースに進めるための環境を整えているだろうか? ろくに読みもしない日報やマンネリ化した朝礼、何の成果も生まない会議などで現場を混乱させ、大切な営業時間を奪っていないだろうか?

 営業パーソンが営業活動に専念する、または製造現場が生産性を高めるためには適切な設備投資やIT投資、教育訓練が必要である。

 「リーマンショックだ」「千年に一度の大災害だ」と環境変化に右往左往するだけで目先の経費削減に励み、業績が低迷している企業は多数あるだろう。それを尻目に、現在好調な業績を残している企業もある。適切な設備投資やIT投資、教育訓練を例外なく実施し、結果として投資を上回るリターンを得ているのである。

 ある上場企業で本社社員の行動分析を実施したことがあった。ほとんどの人が超過勤務をしており、本来の職務とは無関係な業務に時間投下したり、重複した業務に複数人であたったりと、無駄が発生していることがわかった。

 われわれは、経費削減のための仕組みや追加投資すべきポイントを報告した。改善策どおりに施策を実行したところ、売上を落とすことなく本社経費を約3分の1近く削減し、予想以上の利益を確保することが出来たのである。

 実際に流出している金額だけを追うのではなく、「実は得られる利益を失っていることがあるかもしれない」という疑問を持ち、手を打っていただきたい。



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