タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『“顧客のあるべき姿”を自らが描く』


 営業とは“問題解決業”である。「自社の商品・サービスが提供する価値を通じて、顧客が抱えている問題を解決する」という着眼が営業の原点である。顧客が抱えている問題とは“あるべき姿”と“現状の姿”のギャップである。ゆえに営業担当者は、顧客が抱えている問題を正しく理解し、顧客と共有しなければならない。

 しかしながら営業の現場は断られることからスタートする。営業担当者に対して会わない、必要ないという抵抗感や警戒感を持つのは当たり前である。営業担当者はこの状況を理解した上で、顧客が抱える問題を共有しなければならない。

 では、どのようにすればいいのであろうか。筆者は次のように提唱している。

 「“顧客のあるべき姿”の仮説を持たなければならない」

 顧客が抱える問題を知るために、営業担当者は質問力というテクニックより、顧客以上に顧客のことを考えなければならない。当事者意識を持ち「顧客がこのような“あるべき姿”を願っており、その支援ができる(したい)」という信念(想い)を持ち、顧客にぶつけ、ディスカッションできるくらいの信頼関係の絆を深められるか否かが重要である。

 たとえ仮説が間違っていたとしても“顧客のあるべき姿”を設定する過程において、真剣に考えている姿勢は顧客に伝わり、心を捉えるのである。

 環境が変化しても売れる、結果を出し続けている営業担当者に共通する点は、“顧客のあるべき姿”の設定力の高さである。市場・顧客の変化を読み、何が起こると需要が起きるのか、それにより必要となるのか、自社と顧客が交わる需要の発生源を確実に押さえている。そして機を捉えて敏感に動き、顧客に粘り強くアプローチし、プレゼンを繰り返している

 時には“顧客のあるべき姿”の設定が顧客の期待を上回り、自ら需要創造を引き起こしている。また変化に敏感な姿勢が、今期の営業目標を達成していても、来期は数字ゼロになるかもしれないという危機感に繋がり、新規顧客の開拓・既存顧客への深耕・営業スキルの向上に繋がっていく。

 環境変化が激しい時代だからこそ、営業の現場には微差が大差を生むビジネスチャンスが溢れている。今一度、営業の原点に立ち返り、市場・顧客の変化を捉え“顧客のあるべき姿”を自らが描き、さらなる飛躍につなげていただきたい。



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