コンサルタンツ・EYE
『固定概念を捨てゼロベースで考える』 筆者を含めコンサルタントは、さまざまなクライアント先で業務改善についてアドバイスをする機会が多い。そこで常々感じることは、業界の慣習やその企業の固定概念の多さである。 先日もクライアント先であるA社から、生産計画の組み方についてアドバイスを求められた。A社は、受注から生産して出荷するまでのスパンが非常に短く、生産計画も日々組み直していた。 納期を守るため、このような体制はある程度仕方のないことだ。しかし、その弊害として、社内で生産すれば付加価値の高いものを外注に出し、逆に付加価値の低いものを社内で行うという悪循環に陥っていた。 A社の工場には製造ライン(大型の機械設備)が6つあり、24時間体制で製品を製造している。生産計画の立て方から実際の仕事のやり方までを視察したところ、大きな違和感を覚えた。 その工場では一斉に製造ラインを止め、全員が同時に休憩を取っていたのである。1回の休憩時間は1時間、これを1日に2回、6つのラインで合計12時間停止することになる。 理由にはさまざまなことが挙げられたが、結局は昔からの習慣が大きく影響していた。それが原因で付加価値の高いものを外注に出し、生産性の低下を招いていたのである。 早速、休憩をずらして取るようにした。製造ラインを止めずに回し続けることを前提とした生産計画の立て方に変更し、人員の配置などの見直しを行うようにアドバイスした。当然、収益性は大幅に改善された。 これは極端な例ではあるが、現実にあったことだ。少し考え、やり方を変えれば対策を打てるのである。しかし、それが当たり前だと疑問さえ感じないようであれば、案外見えていないことが多い その意味でも定期的に自社の仕事をじっくりと見直し、業界の慣習や自社特有の固定概念に陥っていないかを点検して、ゼロベースで発想することが業務改善の第一歩である。ぜひ、取り組んでいただきたい。
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