タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『活きた方針書をつくるポイント』


 経営の定義は、「トップ(会社)の理念・ビジョン・方針を、第一線の社員の日常活動を通じて実現させる」ことである。この定義に基づいて、年度方針の策定において経営者・経営幹部が留意しなければいけない重要なポイントは、「実行させなければ方針・目標は達成しない」ことであり、二点目は「常に社員のやる気の方向感を合わせること」である。

 年度方針の策定において、「どういった戦略・方針を構築するのか」については議論・検討がされても、「その戦略・方針をいかに実行していくのか」という実行度についての対策を立てなければ、戦略・方針は推進されないものである。では、実行力に配慮した方針とはどんなものなのか?

 筆者が経営方針書をチェックするポイントは「方針の重点が絞れているか(重点)」、「行動がイメージできるか(展開)」、「その方針を実行できる人材が担当になっているか(人材)」、「誰が方針を策定したのか(コミットメント)」という点である。

 誰が方針を策定したのかというのは、できる限り実行メンバーを方針策定に参画させ、自らがやることを決めることで実行に対するコミットメントを与えることができる。

 「やる気の方向感」については、期中の進捗管理と評価についてである。以前、ある会社の幹部から「部下のA君は成果は出ていないが、とにかく真面目で一生懸命頑張っている。上司としては何とか評価してあげたい」との相談を受けた。

 これに対して筆者は「その一生懸命やっている方向感は、方針・目標に向かっていますか」と質問を返してみた。すると「方針・目標に合っているかと聞かれれば・・・」と返答に詰まってしまった。

 とかく日常業務に入ると、幹部自身が理念・ビジョン・方針に向けて部下を動かすことを忘れがちになり、かえって部下に無駄な動きをさせてしまう場合がある。幹部の役割は、社員をただやみくもに行動させることではない。

 理念・ビジョン・方針に向けて動かすために、立てた方針に対する進捗管理だけではなく、その成果に対する評価をどのように行うかについても、方針策定時にしっかりと決めておかなければならないのだ。自社の方針書は活きたものか、今一度心に問いかけていただきたい。



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