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『“記憶より記録”で良いのだろうか?』 ビジネスの世界では“記録より記憶”ではなく、“記憶より記録”と社会人1年目から誰もが教わってきた。記憶だけでは曖昧になり、後で振り返ると「よく覚えていない」ということにもなりかねない。 最近では、原発事故対応のために設置された災害対策本部において、議事録が残っていないことが問題になっている。メモを取る、議事録に残す、会議で決議した内容を誰がいつまでにやるのか残しておくのは当然のことである。 ビジネスツールも進化して、ホワイトボードを撮影してスマートフォンでデジタル化できたりと便利になってきている。しかし、本当に“記憶より記録”で良いのだろうか? メモをしっかり取っていた、議事録をきちっと残していた・・・にも関わらず、実行されないことがある。これは文字を書き残すことで満足し、メモや議事録を見直すことなく実行に至らないためである。 また「議事録に残っているから後で確認すれば良い」と思っていると、後で見た時に討議中のニュアンスが残っていないものもある。議事録の取り方にも問題があるのかもしれないが、議事録の目的は“会議での決定事項を誰が見てもわかるように記録する”ことであり、そこまで詳細には残っていないことが多い。 いつの間にか記録に頼ってしまい、記憶から削除されているのである。実際には討議したプロセスが大事な場合もあり、記録に残らないたくさんの意見が出ている。企業の会議(討議)での決定事項の実行度を上げるには、記録だけでなく記憶も大切である。 筆者は、会議中は一切メモを取らないことをお勧めする。議事録は担当者に任せ、他のメンバーは会議(討議)に入り込むことが大切。視線を下に落とす必要がないのである(資料もできればプロジェクターで映すと良い)。会議に入り込むことで、話し合った内容を自分の頭に刷り込むのである。 記録することに注力するのではなく、記憶させることも同じくらい大切なのだ。会議のやり方・取り組み姿勢を変えるだけでも、効果は期待できるであろう。
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