タナベマネジメントレター


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『“宝探し作戦”のススメ』


 年商20億円の食品メーカーA社は、業界でもユニークな開発型企業として注目されている。だが現状、原材料高を背景に業績見込みが厳しく、売上高経常利益率は1%。目指す10%には程遠く、経営環境に左右されない体質づくりが課題であったが、改善がなかなか進まなかった。その大きな理由が、次の「5大言い訳」である。

1.業績不振は経営環境の悪化が原因
2.原材料相場が変動して業績が安定しない
3.各部門の取り組みにバラつきがあり、改善成果が上がりにくい
4.季節変動が大きく、年間累計で見ないと業績対策を打ちにくい
5.部門のエゴで全社最適の対策や改善が図れない

 そこでA社は、業界常識にとらわれない経営改善運動を展開することに決め、改善目標額を5000万円に設定。「宝探し5000作戦」と銘打ち、次の3点に重点を置いてスタートした。

1.業績改善と体質改善の収益指標作成
2.当年度の着地損益目標の設定
3.機能部門別の業績改善目標を経常利益(限界利益や経費改善)に置く

  <例>営業部門:
生産部門:
売上高と限界利益の改善金額
標準原価に対するコスト削減事項を設定し、前年の実際原価との改善目標を設定
業務部門: 物流費や包装材料等の経費削減

 各部門の日常活動に宝探し目標が落とし込まれ、日次・月次で予実績を確認した。その結果、A社は4000万円の改善成果を得た。目標対比80%と数字上は未達だが、原材料相場が現在の水準より高値で推移しても、利益が出せる体質となった。

 A社の体質改善の着眼は次の3点である。

1.「場当たり的な成果目標」を改める
2.業績成果を上げるPDCAを回す仕組みをつくる
3.不測事態の洗い出しと対策テーマの設定

 体質改善にあたっては、「全社最適>部門最適」でなければならない。荒れ野の一本杉は育たない。森林の中で土壌と環境を整備していくことが、体質改善には不可欠である。A社は「全社業績に貢献する部門業績の体質づくり」との目的を明確に打ち出した上で、部門業績の改善対策が全社の対策と矛盾のない相互連携を図れるプログラムを設計し、その効果測定を行ったことが奏功した。

 経営改善は体質改善でもある。正しい現状認識と改善の方向性を基軸に、明確な体質改善目標と具体策の設定を行うことだ。この「宝探し作戦」を全社運動として実施しよう。



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