タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『固定概念に縛られない時代』


 ある大手家電販売会社が住宅メーカーを傘下に収め、事業領域を拡大している。同社は自動車メーカーともタイアップし、電気自動車の販売もしている。

 一方、ある日本のアナログフィルムメーカーは、自社の主力製品であるアナログフィルムを自ら否定し、世界で初めてデジタルカメラを開発した。今では、アナログフィルム開発で培ったコラーゲンのノウハウとナノテクノロジーで、化粧品でも有力な企業になりつつある。

 また、ある家庭用洗剤メーカーは、脂肪を消費しやすくする特定保健用飲料のトップメーカーになっている。まさにボーダレスの時代である。

 以前、ある温浴施設で調査をしたことがある。平日昼間のメインのお客様は、年金生活を送られている高齢者である。そのお客様が施設を利用しない日は、どのように過ごしているのかをヒアリングしたところ、意外な結果が出た。「他の施設を利用する」というお客様は皆無だったのである。

 最も多い回答は通院であった。診察や投薬を待つ間、仲の良い友人や知り合いと会話を楽しむと、その日は寂しさも解消され、温浴施設には足を運ばなくなるのである。つまり、その施設のライバルは病院の待合室なのである。

 最近では、ゲームセンターに多くの高齢者が来るそうだ。何も複雑な操作が必要なゲームをするのではなく、コインを使ったゲームが人気とのこと。手と頭を使ってコインを増やすゲームは、指先や脳にも良い刺激になる。また少し慣れれば千円で数時間楽しめる。仲間同士の会話も楽しみ、充実した日を過ごすのだそうだ。

 あるゲームセンターでは高齢者が弁当を食べたり、お茶を飲んだりできるよう、ベンチを畳敷きにするといったことまでしている。“ゲームセンターは若者が楽しむ娯楽施設”という固定概念を捨てたほうが良いようである。

 固定観念に縛られてはならない。変化する環境の中、これまで自社が提供してきたものから、一線も二線も越えたニーズをつかみ取る絶好の機会である。「これはわが社では・・・」と尻込みする前に、「これはわが社で!」と考え方を変えていただきたい。



本レターの内容につきましては万全を期しておりますが、ご利用によって被ることのある損害に対しましては責任を負いかねますのでご了承ください。掲載された記事の著作権は、すべて(株)タナベ経営および原著作者にあります。


(1) 上記コンテンツは、
タナベ経営 メールマガジン『マネジメントレター(無料)』より掲載しております。
詳しくはこちら

(2) タナベ経営からトップマネジメントへ『ビジネス三誌』

「勝てる場・勝つ条件」が見える総合戦略誌『 DECIDE 』
詳しくはこちら

第一線コンサルタントが書くスキルアップ情報誌『コンサルタントアイ』
詳しくはこちら

中小・中堅企業のビジネス環境の実態に鋭く迫る定点観測誌『経営視座』
詳しくはこちら


□発行・編集 (株)タナベ経営 ネットワーク本部
□〒532−0003 大阪府大阪市淀川区宮原3−3−41
         URL  http://www.tanabekeiei.co.jp
         MAIL nw@tanabekeiei.co.jp