タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『日次決算で収支感覚を練磨せよ』


 この1〜2年で不思議に思うことがある。それは、研修などで管理職の方々とお話する上で、収支や投資回収の概念があまりにも欠けていることが多いためだ。

 ビジネスは投下したお金に対して自社が付加価値をプラスし、それによって利益を得ることで成り立っているという当たり前の考え方が抜け落ちているように感じる。管理職の7〜8割ほどが、この当たり前を意識していないのではないだろうか。

 以前の管理職(現在の50代〜60代)は、業績を第一に考える習慣を持っていた。その業績の追及が厳しすぎた面もあり、後進の指導・育成が苦手であった。そのため、指導・育成の手法としてコーチングなどの自己目標設定・自己管理型の手法が評価を受けるようになった。

 人のモチベーション主体の考え方が前面に出すぎた面もあり、逆に現在では当たり前の業績責任の方が疎かになり、管理者の意識から抜け落ちるという事態を招いているのかもしれない。

 タナベ経営では、入社した当初は営業を主業務とするが、始めに教えられるのは「粗利益で自分の給料の3倍稼いでトントン、5倍稼いで稼ぎ人」「自らの日給と交通費を計算し、1日でいくら稼がないといけないか意識して営業をする」ということである。

 筆者自身、毎日営業するたびにいくら稼がなければいけないかを意識し、その日必要な粗利益を稼げなければ「今日は赤字」として累積赤字を蓄積させる習慣をつけていた。赤字は誰でも嫌なものであり、赤字に陥らない工夫が生まれてくる。その工夫の産物がノウハウであり、自らの成長(生産性の向上)を支えるものだ。20代の頃からその意識があれば収支感覚は自然と磨かれる。

 立場が変われば、管理する範囲が個人からチームになり、部署になり、部門になる。それに伴い業務も多岐にわたり、収支管理の日数も伸びる。

 係長・主任クラスでは月次収益を、課長クラスでは年間収支を、部長クラスでは3〜5年の投資回収を見ることができなければならない。権限が拡がれば見るべき収支の期間が長くなる。しかしながら、原点にあるのはあくまで個々の収益が赤字か黒字かであり、日次決算の収支感覚が生きている。

 近年では理論ばかりが先行する傾向にあり、机上の理論では理解できるだろうが、経営とは現場であり泥臭いものである。「わが社は危機感が不足している」と思われる中堅企業では、正しい危機感を練磨するための日次決算を部下指導に取り入れることをお勧めする。



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