タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『職場の風景と企業体質』


 「おはようございます!」

 40〜50名はいる1フロアの全員が、わざわざ仕事の手を止めて挨拶をした相手は他でもない、初めてその企業に訪問した“筆者”であった。

 仕事柄、多くの企業に訪問する機会に恵まれているが、そうなると嫌でも企業の姿勢や体質が見えてくる。「磨きぬかれた基本動作は文句なしに感動を与え、顧客が顧客を呼んで固定ファンを増やし、企業のイメージを高める」と、タナベ経営では各種研修の場で伝えている。先日の風景は、まさにそれを実感する場に相応しいものであった。

 ある企業では、業務部の責任者が一念発起して、電話の取次ぎ方の指導を率先して始めた。やがて部内で定着したルールが全社に拡がり、今では誰が電話を取っても丁寧な応対をしてくれる。わずか3カ月間の話だ。

 一人ひとりの行動が、組織の行動に繋がるには時間が必要である。しかし、誰かが“事”を始めなければ永遠に組織力を高めることはできない。

 「決まったことが守れない」、「方針を作りっ放し」、「クレーム管理が不十分」。さまざまな場面で遭遇するこういったことも、全て「企業体質」に原因があると考える。体質は外科手術(外部の力)では良くならない。“今”を変えようとする内部の力、つまり社員の力が必要だ。

 社員の力を引き出す第一歩として、小さな努力を評価することをおすすめする。職場の空気はこういった小さな心遣いから改善される。厳しい時代だからこそ、体質改善に取組む必要があると筆者は考える。

 先日訪問した企業では、挨拶に対する反応がなく、応接室で立ったまま30分待たされた。謝罪もなく話し始めた役員は「自社の課題は体質改善」とおっしゃっていた。その通りであろうが、改善は困難であると感じた。

 日本には「灯台下暗し」という良い格言がある。自らの足元に目を向け、小さな努力の光を探して欲しい。もちろん、体質を変えるための手段は企業によって違う。ただ、その潮流が止まってしまわないよう、本気になって支えていただきたい。



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