コンサルタンツ・EYE
『人という経営資源』 岐阜県のある観光地。温泉を資源に宿泊施設、観光地で産業を形成している。昨今の業績の落ち込みはこの土地も例外ではなく、直近の実績では対前年比4%ダウンという結果であった。しかしながら、この状況を甘んじて受け入れているばかりではなく、公共機関、交通インフラとの連携で何とか県内外からの観光客を得ようと、地域が一体となり活動している。 先日、ご支援の一環でこの地を訪れた。数年前に訪れた時に比べ、外国人の就業者が増えたとのこと。「日本の良さを改めて認識してもらう街にというコンセプトを掲げている中で、異国の従業員にもこのコンセプトを教え、行動で実現していくことに非常に努力をしているそうだ。 ここで改めて「人材は経営資源と言われるが、その核は人の“感情”である」ことを痛感する。つまり、行動をつかさどる感情・考え方が経営資源なのである。 観光地であるが故に、老若男女を問わず人が訪れる。異国からの従業員の仕事ぶりを見てみると、小さな子供には視線を合わせて微笑み、年配の方には手を差し伸べてお手伝いをしている。 前述したとおり、この観光地は「日本の良さを伝える」という大きなコンセプトを掲げている。「日本の良さ」という抽象的なテーマを行動に変換してお客様に伝えていくには、言葉の理解を超えた気持ちの琴線に触れる理解が必要である。その理解が行動につながる。 人に対する考え方が「人材が資源」という理解に留まっていると、単なるオペレーションを回す一員という発想になる。そこには「人を使う・仕事をやらせる」という人間関係とコミュニケーションが発生する。そこで、「人の想い・感情が資源の泉」という発想に一段掘り下げると、どういう人間関係やコミュニケーションが必要であるかが見えてくる。 人の力を得て事を成すことが経営であるならば、「何をさせるか」よりも「何をしてもらい、その人に仕事を通してどうなってもらいたいのか」を具体的に示すことが肝要である。 国境を越えて仕事を協働することが加速している現在、国籍を問わず、感情レベルで使命を理解した人々の動きは、目を見張るものがある。感情から湧き上がる想いが体を突き動かさせ、行動となってあらわれ、お客様に伝えることができる。 「従業員が夢を叶えてくれました」と言った経営者の表情は、とても印象的であった。
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