タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『自動車整備業のマーケティング』


 自動車整備業は、売上高が平均6,000万円程度(専・兼業の年間整備売上高)の小規模事業者が多い業界で、全国で7万を超える事業場がある。

 近年、若者の車離れやディーラーの顧客の囲い込みで、企業間の競争が激しくなっている。また自動車整備業では、ハイブリッドなど車両整備技術の高度化への対応が遅れており、対応可能なディーラーが顧客の囲い込みを進めている。

 これまでの自動車整備業は、地域住民とのコミュニケーションにより成り立っていた。整備業側は、どこに誰が住んでいて、どのような車を保有しているかを知っていた。

 しかし、都市化や核家族化で地域住民とのつながりが希薄となり、顧客の整備業離れに一層拍車がかかっている。それにかわってディーラーや、大手自動車用品チェーン店、ガソリンスタンドなどが自動車整備でのシェアを増やしつつある。

 しかし顧客の整備業離れが進んでいる大きな要因は、「あなたはわが社のお客様です」というメッセージの発信能力が不足しているからである。

 筆者の自宅から半径500m以内に7社ほどの整備会社があるが、車検や故障の際にも近隣の整備会社には入りたいと思わない。なぜなら、外から見ると黙々と作業している姿は見えるが、顧客を迎え入れようとする姿勢はあまり感じ取れず入りにくい。その上、自分が希望するサービスを行っているのかもわからない。

 「あなたはわが社のお客様です」というメッセージを発信するには、まず自社のターゲット顧客を明確にすることだ。ディーラーとは異なり、豊富にヒト・モノ・カネの経営資源が豊富にあるわけではない。すべての顧客に同じように対応することはできない。

 自社の特徴を活かすには、ターゲットを明確にして戦う場を決めなければならない。その上で「あなたはわが社のお客様ですよ」というメッセージ(店づくりや販促)を発信する。顧客を待つのでなく、顧客を導くのである。

 売上を伸ばしている整備業は、大型車両専門などターゲットが明確である。他には女性をメインターゲットにして、女性でも分かりやすいサービスメニューづくりや店舗づくりをしている会社もある。「百貨店でなく専門店が求められる時代」と言われて久しいが、自動車整備業も専門店が求められる時代になっているのだ。

 これは何も自動車整備業に限らない。あなたの会社ではどうであろうか。ターゲットが明確であれば、手段が見えてくるはずである。顧客をわが社に導くために何をすべきか、今一度見つめ直していただきたい。



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