コンサルタンツ・EYE
『お客様を大事にする』 初めて入った飲食店で感じたことである。40坪ほどの和食店だった。ドアを開けると「いらっしゃいませ」と声は聞こえたのだが、姿は見えなかった。ドアを開けるとセンサーが鳴り、接客係が反射的に声を出すのが慣例となっているからである。 「いらっしゃいませ」とは、お客様を歓迎する言葉である。顔が見えなくても「いらっしゃいませ」とだけ声を出せば良いと考えてしまっているのは、「当店にお越しいただいた」という歓迎の気持ちが欠落しているからなのだろうか。 微妙な歓迎ムードを感じながら料理を注文する。最近のメニューには“おすすめ”と書いてあり、接客係がお客様と話さなくてもわかりやすいようになっていることが多い。しかし、おすすめを頼まずに聞いてみた。 筆者:おすすめと書いてあるメニュー以外で、おすすめは何ですか? 接客係:どれも美味しいです。 よくわからない答えが返って来た。これは、トップが接客係に試食をさせてないからである。全種類試食させている店であれば「お好みですが、私は○○が美味しいと思います」と答えが返って来る。 原価がかかるため、料理を開発する人と厨房の人だけ試食させて、接客係にはさせない傾向がある。接客係が単なる運び屋さんになってしまっていては、衰退の一途をたどる。──そのようなことを考えながらメニュー選びに悩んだ末、とりあえず注文した。 しばらくすると、接客係が淡々とメニュー名を言いながら料理をテーブルに並べる。何だか料理も美味しく感じることが出来ず、リピーターにはならないと思った。 ここで「お客様を大事にする」ということについて、よく考えてみたい。店舗の雰囲気・接客・料理の3拍子揃ってリピーターになる。トップ自らが、店舗すべてのことを体験し全体を見た上で、お客様を心地良くするための演出をすることが不可欠である。それには、接客係がお客様とコミュニケーションを取るように指導するべきである。 接客係がリピーターを作る窓口となれば、店の業績を伸ばすことができる。アルバイトであっても、やる気があれば何の問題もない。採用条件を<笑顔><声質が高い><素直><友達が多い>といった点に絞り、面接を行っていただくと良いであろう(ただし社員の場合はワンランク上の条件が必要になるが)。 「お客様を大事にする」ためには何をするべきか、トップは真剣に考えていただきたい。
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