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『資金マネジメントを強化せよ』 銀行の国債保有残高が急増している。日銀の調べでは、国内の民間銀行が日本国債の保有残高を増やしており、2011年4月末の保有残高は過去最大の158兆円となった。 銀行の総資産において、国債が占める割合は前年同期(2010年4月)比で2ポイント高い19%に達している。20年前はその割合は3%台の水準であった。とくに保有額を増やしているのは、東京三菱UFJ・三井住友・みずほの3メガバンクである。 2008年のリーマンショック以降、銀行の国債保有残高は著しく増加傾向にあり、それと反比例するように銀行の貸出高が低迷している。 その理由は、集めた預金の振り向け先として、銀行が融資よりも国債の方が安全であると考えているからである。銀行はそうではないと言うかもしれないが、本音は短期国債で運用をしていた方が投資資産の管理も楽であると考えているはずである。 これでは金融の本来の機能(=預金者からお金を集め、資金を必要としている会社もしくは個人へ貸し出す)が滞ってしまう。実際問題、資金ニーズがあるにも関わらず、簡単には資金を貸し出してくれる状況にないということを、中堅・中小企業の経営者は実感されているであろう。 これは銀行に対する規制の強化も影響しており、とくに海外にも業務を展開する大手の金融機関に対して、より強固な財務体質を求める新たな規制(自己資本比率規制:バーゼル3)が導入される影響もある。 バーゼル3においては、融資など回収できない恐れのあるリスク資産に対して、普通株と内部留保によって構成する「狭義の中核的自己資本」を7%まで引き上げることを課される。 銀行側にとって融資金はリスク資産である一方、国債はリスクフリー資産となり、国債で運用をしていた方が自己資本比率アップに繋がるという構図になっているのである。 「貸し渋り」などと言われるが、銀行側も国際的に導入される規制に対応せざるを得ない状況もある。上記のように、銀行を取り巻く環境を大きな構図で捉え、なぜ銀行の融資姿勢が消極的であるのかを理解していただきたい。 とは言え、経営は待ったなしで事業環境は刻一刻と変わり、取引先の倒産などにより急な資金手当てが必要な場面も出てくるであろう。このような時期には資金マネジメントを強化し、自社の安全指標として以下のレベルを目指していただきたい。
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