タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『事業承継〜家族会議の重要性〜』


 事業を承継する上でさまざまな問題がある。とくに同族企業においては、血縁関係があるがゆえに生じる軋轢が、大きな問題となる場合が多い。

 A社の経営陣は、社長(父)66歳、取締役専務(長男)36歳、取締役常務(次男)34歳の3名体制であった。社長はどちらに会社を継がせるかの判断を、これまでずっと先送りにしてきた。

 2人は共にライバル心があり、見える形で軋轢が生じていることは知っていたが、親子間で真剣な話し合いの場を持ったことがなく、どのように向き合えばよいかわからないこともあり、判断できぬままであった。

 ある時、社長は持病が急激に悪化し半年間の休養を医者から命じられた。これをきっかけに、引退を真剣に考えざるを得ない状況に追い込まれた。どちらに継がせるか早く決めなければならないが、息子間のライバル心・軋轢が気になり、どうしていいかわからない。困り果てた社長はコンサルタントのB氏に相談した。

社長:
 まず何からやったらいいのかね。承継計画はBさんに教えてもらいながら作ればいいとして、2人のどちらに経営権を持たせるべきか。筋からすれば長男だと思うのだが、そうすると次男が黙ってはいないだろう。やれやれ困ったものだ・・・。

B氏:
 社長、承継計画より先にやることがあります。家族会議を開いて下さい。言いにくいこともあるかと思いますが、ご子息両氏の考えを知る必要があります。また社長ご自身のお考えもしっかりと共有することが、解決の糸口になります。社長とご子息が膝を突き合わせて、何度も何度も語り合うべきです。

 かくして社長は家族会議を開き、お互いの考えを深く理解し合った。すると軋轢は解消の方向へ向かったのである。ようやく社長は承継者を決断し、事業承継は進んでいった。

 血縁関係にある場合、とくに承継問題やカネに関する話はしづらいものである。しかし、経営者が勇気を出して話し合いの場を持つことが、問題解決の糸口になるケースは非常に多いのである。



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