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 税務署への届け出はどんなものがあるの?〜原始証憑の保存義務〜 前へメニューへ次へ

税務署への届け出はどんなものがあるの?〜原始証憑の保存義務〜

最重要届出【青色申告の承認申請】届け出1枚でこんなにお得!

【ポイント】
(1)会社を設立したら税務署等へ開業届出が必要
(2)企業の存亡に関わる【青色申告の承認申請】
(3)青色欠損金の繰越は9年間可能

 会社を設立すると、税務署及び都道府県税事務所、市町村役所に各種届出書を提出しなければなりません。代表的なものは以下になります。

(1)法人設立届出書
(2)青色申告承認申請書
(3)給与支払事務所の開設届出書
(4)源泉所得税納期の特例の承認に関する届出書

 これらは、法人を設立したら速やかに提出してください。

 特に、(2)青色申告承認申請書は、設立後3ヶ月を経過した日と決算前日までのいずれか早い時期までに提出しなければなりません。もし届出を忘れた場合は青色申告が認められません。

 青色申告をする場合の義務としては帳簿の作成があり、また、以下のような特典があります。

(1)各種減価償却費の割増
(2)30万円未満少額減価償却資産の即時損金化
(3)赤字を生じた場合9年間持ち越せる制度

 特に、(3)の青色欠損金の9年間の繰越は大事です。例えば今期800万円の赤字をした場合、この赤字についてその後9年間で黒字が生じた場合に相殺できるという制度です。今期800万円の赤字が生じた場合、9年間黒字800万円までは税金がかからず、届出を出していなかった場合、800万円×37%で296万円の税金が余計に出るという訳です。たった1枚の書類を出し忘れただけで、296万円の損得が生じます。設立当初の1年〜2年は特に赤字が出やすいものです。

 会社を設立する際には専門家である税理士にご相談ください。相談せず勝手に会社を創り、決算期が来て初めて税理士に決算の相談に来られる経営者がたくさんいますが、その時ではもう遅いのです。出だしからこのようなマイナスを背負って出発することになれば目もあてられません。必ず専門家である税理士に相談し、【青色申告の承認申請】を提出しましょう。



原始証憑の保存

【ポイント】
(1)青色申告の場合、資料は7年間保存義務あり(※)
(2)領収書・請求書等の原始資料は税務署に提出する必要なし
(3)税務調査があった場合は即座に見せられるようにしておく
(※)ただし、欠損金の繰越控除の適用を受ける場合は、9年となります。

☆青色申告を取り消されたら会社には大きな損害となります。資料保管は青色申告の絶対義務です。

 領収書等の原始資料は税務署に提出する必要はありません。しかし、青色申告の場合は要件として、帳簿や請求書、領収書等を7年間保存することになっています。この7年間は、申告期限(決算期末から2ヶ月後)から数えます。例えば、平成23年3月の決算の帳簿は、平成30年5月末まで保存する必要があります。

 領収書等の原始資料は税務調査があった場合、調査官にすぐ見せられる状態にして保存しておかなければなりません。資料は年・月ごとに分かりやすく保存しておいた方が便利です。調査は総勘定元帳を見ながら、多額で、不審な取引について、原始資料との照合が主です。即座に資料を提出すれば、不審箇所がなくなり、調査の能率があがるため、早く終了します。中には、「うちは去年調査があったからその前のものはもういらない」「赤字続きで調査は来ない」等々で捨てる会社があります。こんなことをしては大変なことになります。

 最悪の場合は青色申告が取り消されます。青色申告の特典は多くあります。

(1)青色欠損金の9年間の繰越
(2)各種特別償却、税額控除
(3)30万円未満の少額減価償却資産の損金算入

 この中でも(1)の青色申告の9年間の繰越は会社の存亡に影響します。

 当期1,000万円の赤字が出たら9年間1,000万円の範囲なら法人税等がかからないのです。青色申告を取り消された場合、1,000万円×40%として400万円も税金が増えるのです。


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