経営支援徒然帖

「モノの値段」損得勘定

(16/09/09)

 不況の折、”商品”や”サービスの値付け”に苦労されている方も多いでしょう。

 スーパーのチラシや不動産のチラシを見てみると、98円、2980万円等の数字が並んでいませんか。

 人間は100円、1000円、10,000円などのキリのいい数字を大台として認識しており、これをきると価格以上の割安感を感じて、事実良く売れるそうです。

 そういえば、ホンダのハイブリッド車の定価も189万円という微妙な数字だったような気がします。日本の場合は、「8」が最後に来る価格が多いようですが、「9」はシャープかつ”苦しい”に通じ、あまり好かれていないように思えます。 ちなみに米国では圧倒的に「9」です。99ドル、189ドル等が良く使われています。

 ところで、日本人は真ん中が好きらしく、お寿司の特上・上、並とあれば、圧倒的に上の注文が多いとのこと。これを逆手に取って、「最も売りたい商品」の値付けを真ん中にすることがよいそうです。

 行動心理学によれば、3つの選択肢があれば、無難な真ん中という危機回避作用が働くらしいです。人が何か判断するのは、5秒程度とのこと。とっさの感覚の判断は値付けにも反映しているようです。
 値引きも、1,000円のもので定価より300円引き、30%引き、3割引きとあったら圧倒的に300円引きの方が反応がよいそうです。結果はみんな同じですが、消費者が飛びつくのは金額の明示らしい。
 そういえば、マンション1,000万円引きというチラシは大きな反響があったそうです。

 このように消費者は実際のところ、厳密に計算している訳ではなく、感覚として「安い」というイメージをどうもってもらえるかが大事だと分かります。
 また、スーパーで1個398円のお刺身が3つ1,000円で販売されているケースも多いです。この場合、1個398円の刺身を買う人はほとんどおらず、まとめ買いによる割安感で売上を増加させています。
 筆者の近くのスーパーでは、土曜日9時から11時まで、100円以上の商品なら20円引きのシールを配布し、お年寄りを中心に大賑わいしています。しかし、これも良く吟味すると、他のスーパーにて98円で販売しているものを118円で販売しています。賢い消費者の道は険しいようです。