経営支援徒然帖

経営目的の実現の第一歩。価値観の共有
(15/01/07)

 その人が何に価値を感じるかという事、即ち、モノの考え方の事です。

 この価値観は、過去の生活環境や人脈、どのような体験をして育ったか等によって、各人多種多様です。企業が人の集まりである以上、多種多様な価値観を持った人達で構成されています。

 価値観と思考習慣は同一であり、それは行動パターンとして表面化します。即ち、モノの考え方が行動を制約するのです。企業は「明確な経営目的」実現へ向けて運営されます。そこで起こってくる問題が、価値観の相違です。この問題を解決するためには、経営目的実現のために最低限組織に共有すべき価値観を明文化し、その浸透へ向けた努力を継続しなければなりません。全ての価値観を共有する事は不可能ですし、その必要もないでしょう。しかし、『これだけは!』といった不可欠な価値観が必ずあるはずです。

 経営理念がなかなか浸透しない組織は、浸透へ向けた方法に問題がある場合と、採用基準に問題がある場合とに、大きく分かれます。

1.経営理念の浸透へ向けた政策

 それは、その価値観を行動実践する事です。価値観とは様々な経験や体験によって得た「気付き」から形成されます。であれば、行動実践を通してその価値観を醸成するための「気付き」を得させなければ、価値観は、変わりません。又、そのような活動を行う場合でも、気付きが得られやすい人となかなか気付かない人とが混在する事にも留意し、後者に対しては気付きが得られるような支援や助言が必要となります。

2.経営目的を共有できる人材の採用

 共有すべき価値観を醸成する事は、大変なエネルギーが必要です。中小企業の経営者の方々にとって、「そんな時間はないよ」と言った声が何処からか聞こえてきそうです。

 確かに価値観の浸透には、多くの時間とエネルギーを必要とします。しかし、それが実現した後には素晴らしい組織風土が実現するのも確かですし、競合他社が小手先では真似出来ない、強力な経営体質となります。では、どうすればそのような組織が実現しやすいのか?

 その答は、一つです。『社員の採用時に判断する事』です。多くの経営者の方々は、大なり小なり人材の問題を抱えています。そしてその根元は、その人材のモノの考え方、即ち、価値観に起因しています。

 そしてこの価値観というものは、なかなか変わらないものだという事を、多くの経営者の方々は、その経験から良く知っています。

 『もしも、我社の全社員が目標を共有化し、全社一丸となってその目標実現へ向け、全ての情熱を注ぎ切る状態が実現できれば、我社は現在よりも遥かに生産性の高い企業を実現できるのに』と、どんなに努力しても活性化しない我社の社員達を頼りなく感じている経営者は星の数程いる事でしょう。であれば、現社員に対して共有すべき価値観の浸透に努力を払いながら、新たに入社してくる社員は、採用の時点で選別するしか方法はありません。

 そして、「悪貨が良貨を駆逐する」ではなく、「良貨が悪貨を駆逐する」組織風土を何としてでも建設するしかありません。