経営改善計画策定支援の現場から見たコストダウン対策
私は税理士として、中小企業の経営改善計画の策定支援に取り組んでおります。経営改善計画の策定をする前に事業DD、財務DD等を行うために経営者や経営幹部の方たちにたくさんヒアリングする機会があります。経営改善が必要な会社様ですのでなかなか業績が改善されておりません。業績が上がらない会社様にはいくつかの共通点があります。 (1)イノベーションの意識が低い (2)生産性をどう上げるかという意識が低い (3)人的資源が生かされていない (4)物的資源が生かされていない (5)社会的責任が乏しい。お客様のニーズを把握していない (6)すべてにおいて悪い固定観念を持っている 「伸びていない会社」は業績が上がりませんのでネガティブな発想が蔓延している風土となってしまっています。何か新しいことをしようとしても否定的に物事を考えてしまう傾向があるようです。 しかし一方で「伸びている会社」は上記の(1)〜(6)をすべて真逆にとらえております。 常に時代の変化に対応し、お客様のニーズにこたえられるようにどう会社を変化させていくかを常日頃から考え、実行に移している会社は非常に現在も伸びております。
私の事務所も1941年から創業している老舗事務所であり、代々受け継がれてきたものがたくさんあります。先代の所長がなくなり、私が代表者になったのは2010年ですが一番意識したのは「先代の想いをいつも中心に据えて考える」ことでした。 トップが変わった後、お客様は当然ながらどう変わってしまうのか不安になります。特にトップの在任期間が長ければ長いほどその不安は高くなります。 私も先代とは12年間一緒に仕事をしてきた中でお客様に対してどのようなお役立ちをすべきかという想いを学んできました。先代がお客様に話していたたとえ話などを使いながらお客様に対する想いは受け継いでいることを今も意識しております。 一方で「変えるべきもの」は変えてきました。 特に変えてきたものは「事務処理関係の間接業務」です。ITの進化に伴い、所内の経理システム、管理システム、請求システム等の間接業務はプロジェクトを組みながら効率化を目指してきました。 間接業務の改善はなぜ必要かというと「お客様のため」です。 お客様へお役立ちがもっとできるようにするために新しいITを取り入れて間接業務を効率化してお客様がよくなることを考える時間にあてるということが必要だからです。 「お客様へのお役立ち」という想いは変えることなく、お客様へ提供するものや貢献するものは時代の変化とともに変えていってよいものだと私は思っています。
経営改善が必要な会社の共通点は、何か新しいことをしようとしても否定的に物事を考えてしまう傾向があるようですが、私はその発想を転換して「できない理由」から「どうしたらできるか」を考えていくようにアドバイスしております。 たとえば、コスト削減の中で「間接人件費削減」という話題がよく出てきます。得てしてそのケースでは「その人が辞めてしまったら業務が回らなくなる。できない」という回答が多いのが事実です。しかしながらコストを抑えなければ会社の業績は改善されません。 その場合私は、その方の「業務の洗い出し」をしていただいております。毎日の仕事、週でやる仕事、月でやる仕事を洗い出してもらい、時間も書いていただきます。経理は意外と一人でやっていることが多く「ブラックボックス」と呼ばれることもあり、社長も把握していないケースが多くあります。 「業務の洗い出し」をし、一つ一つの業務に無駄がないかをチェックするとたくさんの無駄が見えてきます。無駄な転記作業、請求書の発送、お使い……。そういったものを電子請求書プラットフォームなどのITを活用することにより省略できるものがないかを検討していくことで間接業務の時間が半分になったケースもあります。その空いた時間を直接業務にあてることで業績も改善できるのです。
会計事務所では会社の経理業務を社長よりも詳しく知っているケースもあります。 多くの会社の多くの経理業務改善のノウハウがあります。 会計事務所が社長の代わりに間接業務の改善のアドバイスができる存在ですので、顧問の会計事務所によく相談していただいてIT化により業績向上を目指していただければと思います。
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