経営者・経理総務担当者向け 実務月刊誌ビジネス支援 第214号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『決算予測で決算対策 生命保険を活用した決算対策』
 経営・税務・・・ 『管理会計入門 〜自社の損益分岐点を知る〜』
 経理・財務・・・ 『会社の休眠とみなし解散』
『資金提供側はどうすればよい?』





 今月の特集

決算予測で決算対策 生命保険を活用した決算対策

 決算対策には、ムダな税金を納めない為の「節税対策」と融資、資金繰りを円滑に行うための「銀行対策」があると言われています。しかし、これらのことは決算の直前に行うものではありません。
 1年間の周到な準備と財務管理とがしっかりなされて初めて決算対策と言えるのです。
 決算対策の代表的なものに、決算賞与があります。決算賞与は、事業年度終了日まで、全員に金額の事前通知をし、翌月末まで支払われ、損金経理(賞与/未払金)をしていることが要件となっています。しかし、多くの会社は決算賞与を翌月末に支払えば税務署は文句を言わないという程度の認識ではないでしょうか。
 しかし近年の税務調査で、決算日までに全員に賞与の支給金額を通知したかが問題となっています。決算日までに金額を通知するためには、経過月実績数値+未経過月予算数値に基づく決算予測数値の分析が必要です。例えば、3月決算の会社では、2月までの11ヵ月の損益実績と3月の1ヵ月の損益予算から、決算予測をし、3月20日前後までに決算賞与の金額を決定し、3月25日前後までに賞与計算をして、3月31日までに、各人に決算賞与支給明細か社内メール等日付記録が残るもので支給金額を事前に通知することになります。
 この手続きを行っていない決算賞与は社員個々人への聞き取り調査等を行い、決算賞与が否認された税務調査もあります。
 脱税と節税ははっきりと違います。
 脱税とは(1)資料・帳簿記録の改ざんや(2)決算後の操作の事を指します。いかなる理由があろうと「資料・帳簿記録の改ざん」「決算後の操作」は脱税です。
 脱税でない事前決算対策には、経過月実績+未経過月予算という「決算予測システム」が不可欠となります。

「決算予測システム」
決算予測システムとは、以下の一連の仕組みです。
1.経営計画の策定
2.月次決算・監査
3.月次定例の予実会議の実施
4.議事録の作成

月次定例の予実会議(予算と実績を管理する会議)では、経過月の実績数値+未経過月予算数値=正確な決算予想数値・予想利益・予想税額をもとに決算対策を練ります。


生命保険を活用した決算対策
生命保険の種類
事業にはさまざまなリスクが伴います。代表者に万が一のことがあった場合、経営が悪化し資金繰りが困難になることなどが想定されます。生命保険はこれらのリスクに備える役割のほか、勇退時の退職金原資や緊急時の資金確保等の役割も期待できます。
経費になり、かつ解約返戻率の高い定期保険は、将来のリスクや資金不安に備えつつ、利益を繰延べ、かつ簿外で資金を留保する効果が期待できます。
全額損金タイプの定期保険などもあり、解約返戻率の高い定期保険への加入により、将来の資金手当と節税という2つの効果を期待することもできます。

<ポイント>
※生命保険の有効利用
  1. 万が一の緊急事態に大きな保障に備えられる
  2. 不測時の資金手当、退職金原資としての積立の役割
  3. 利益を将来へ繰延べ、平準化をさせる効果
  4. 決算時期に年払い契約で支払することにより、短期前払費用として、一括損金になり大きな節税効が得られる。



この続きは月刊「ビジネス支援」本誌にて…

月刊「ビジネス支援」定期購読申し込み
(送料・購読料は一切無料です)





  経理・税務 ページのトップへ

管理会計入門 〜自社の損益分岐点を知る〜

 会計は、税務申告や株主や債権者に対する情報提供として役割を果たす『財務会計』と経営者や内部管理者に対する情報提供や意思決定のための『管理会計』とに大別する事が出来ます。税務申告等の必要性から毎月月次決算をしているのであれば、これを経営陣にとって役立つ情報に活用すべきでしょう。
 財務会計は企業会計原則や法人税法等により内容に規制がありますが、管理会計にはそのような規制はありません。
 自社が黒字になるか、赤字になるのかの見通しは企業の経営について大変重要な課題です。
 ここでは、まず損益分岐点(収支が±0)を理解して頂き、活用して頂ければと思います。
 企業が活動をしていく上で、全ての費用は売上に変動して変わる『変動費』と売上に関係なく掛かる「固定費」に分けることが出来ます。自社の損益分岐点を知る事で、変動費・固定費をコントロールする事で採算性や収益性をシュミレーションする事が可能となります。
 損益分岐点を図で示すと下記の通りとなります。


上記の損益分岐点は、下記の手順で導きます。

(1)総費用を固定費、変動費に区分する

 前述しました『売上』に対して変動したり、固定であったりします。売上の増減に伴う連動する費用が『変動費』、売上の増減の影響を受けないものが『固定費』となります。
 では、製造業における製造原価項目で材料費、外注費、労務費、製造経費とあった場合に変動費に該当するものはどれでしょうか。
 解答は、材料費と外注費です。材料費と外注費は生産量や加工量の増減により費用も増減します。他方、労務費等は工場の稼働率が低下していても、支払は変わりませんので、固定費となります。
実際の現場では、上記の例のように簡単に区分出来ない経費もあると思います。
 例えば、営業社員の給与です。固定給+歩合給などを支給している会社であれば、固定給と歩合給を合計して「給与」科目で計上している事でしょう。
 固定給部分は固定費、歩合給部分は変動費と同じ勘定科目の中に変動費と固定は混じっているケースも考えられます。又、水道光熱費などは定額の基本料と利用状況に応じた従量制の料金加算があるものもあります。
 上記のように考えると、厳密に変動費と固定費に簡単に区分できる費用は案外少ないと思います。そのため、管理会計ではどちらともいえない費用は会社の実態に合わせて変動費と固定費に振り分けます。多少精度は落ちても、意思決定に役立てる事が管理会計です。
 判断に狂いが生じなければ、問題はありません。

(2)(1)を変動損益計算書へ落とし込む

 上記の分類が出来ましたら、下記のような変動損益計算書が作成可能です。
管理会計では、利益は売上から変動費と固定費を差し引いて利益となります。(下記の表ご参照下さい)




この続きは月刊「ビジネス支援」本誌にて…

月刊「ビジネス支援」定期購読申し込み
(送料・購読料は一切無料です)





  経営・財務(1) ページのトップへ

会社の休眠とみなし解散

会社の休眠とは?

 営業を現在はしていないが、いつか営業を再開するかもしれない。そんな会社を「休眠」させる事ができます。「異動届出書」に休眠である旨を書き、税務署・都道府県税事務所・市役所に提出する事で、休眠会社にする事ができます。

税務署等への届出

 会社を休眠させるにあたり、登記などの正式な手続きは必要ありません。ただし、均等割の問題等もあるため、税務署等に休眠状態に入った旨の届出を出す必要があります。
【例:税務署宛て】
●異動届出書
 法人の代表者や事業年度など、一般的な事項の変更を届出する際の用紙です。
 これに、「異動事項」=その他、休眠など「異動後」=〇年〇月〇日より休眠などと記載します。
●給与支払事務所等の廃止届出書
 「休業」欄にチェック 「参考事項」=〇年〇月〇日より休眠(道府県税事務所、市町村あて)
 手続きは地域により異なりますので、必ず管轄の道府県税事務所と市町村にそれぞれ確認しましょう。通常の異動届に、「〇年〇月〇日より休眠」と記載して提出するのみです。添付書類等も必要なく、これで均等割も課されなくなります。

休眠のメリット

 会社の休眠は、会社の解散に比べて、清算手続をしなくて済みますので、圧倒的に手続きが簡単です。休眠中も税務申告を行う必要がありますが、当然休眠中ですから、損益ゼロという場合もあるでしょう。実際には休眠中は税務申告をしないケースも多々あるようです。しかし税務申告をしないと、青色申告が取り消されたり、様々な許認可や、復活後の取引に影響が出ることもありますので、いずれ復活させたいと考えるなら、休眠中も申告をした方が良いでしょう。

消費税、都道府県、市町村への申告書の提出は不要です。

 消費税は、課税取引がない場合は申告義務がありません。課税事業者に該当しなくなった旨の届け出は提出しておきましょう。
 また、休眠中の法人でも、地方税の均等割(70,000円〜)は支払わなければならないのですが、まったく事業を行っていない(銀行の預金もない場合など)と認められれば、均等割を免除されるケースもあります。



この続きは月刊「ビジネス支援」本誌にて…

月刊「ビジネス支援」定期購読申し込み
(送料・購読料は一切無料です)





  経営・財務(2) ページのトップへ

資金提供側はどうすればよい?

クラウドファンディングと確定申告

クラウドファンディングとは
 クラウドファンディングとは、起業家やクリエイターが製品開発、アイデア実現のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募ることを指す、「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語です。そのイメージから「雲(cloud)」と勘違いされている方も多いのではないでしょうか。日本では、東日本大震災を機に寄付を募るプロジェクトとしても、認知が進みました。
 このクラウドファンディングは大別すると「購入型」「寄付型」「金融型」の3種類、「金融型」はさらに「貸付型」「ファンド型」「株式型」に分けられます。


厚生年金加入指導は厳しくなるか

国民年金加入者の実態調査からの推計
 昨年12月に厚生労働省が公表した「平成26年国民年金被保険者実態調査結果」では、国民年金第1号被保険者(自営業者、フリーター等)の就業状況を基に、厚生年金の適用の可能性がある者が法人で約180万人、個人経営の事務所で約20万人、合計約200万人程度いるという事が初めて具体的に示されました。
 現在、厚生年金の加入促進は国土交通省の管轄である建設業の加入促進や社会保険算定基礎届の提出時期に行われる年金事務所の調査、国税庁から提供を受けるデータに基づくもの等により行われています。

企業版マイナンバーの活用
 厚生年金や会社員の健康保険は法人や従業員5人以上の個人事業は加入する事になっていますが、未加入企業も79万件はある事を厚労省は把握しています。
 企業向けマイナンバーを使った加入漏れの防止対策は日本年金機構が新年度から始めるとしています。国税庁から法人番号をもらい、すでに加入している企業と未加入の企業の選別をします。法人番号照合であれば同名の企業名であっても判別がつくので、企業の特定が早くできると言っています。
 最近の加入指導により、適用となった事業所は平成24年度8千件、25年度1万9千件、26年度3万9千704件と増加していて、27年度も4月〜11月で6万3千件が適用指導により加入しています。

デイリーコラムより



この続きは月刊「ビジネス支援」本誌にて…

月刊「ビジネス支援」定期購読申し込み
(送料・購読料は一切無料です)


企業向けメニューへ戻る