経営者・経理総務担当者向け 実務月刊誌ビジネス支援 第199号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『決算書の読める経営者になる!!』
 経営・税務・・・ 『確定申告による所得控除の有効活用』
 経理・財務・・・ 『保険料をドブに捨てるな!』





 今月の特集

決算書の読める経営者になる!!

社長の仕事は、営業や物づくりだけではありません。会社の経営数値が分かって初めて社長なのです。そうは言っても世の中には会社の経営数値を理解せず経営をしている社長も多く、経理でも会社の経営数値を理解している人ばかりではありません。しかし、決算書、特に月次の決算書は会社の危険情報を迅速に知る大きな武器です。各種統計でも月次決算をしておらず、年一回程度の決算書しか作成していない会社の倒産率は、はるかに高いとのことです。
銀行の審査でも毎月試算表や決算書を作成しているか否かを融資の判断材料としている金融機関があるほどです。会社の経営数値を熟知していれば、危険情報を早期に読み、早々と色々な手を打てます。漠然としたイメージでしかつかんでいないので、経営判断が遅くなり、気がついた時は手遅れということになりかねません。
また、経営者の中には会社の利益を現預金の残高で判断している方や、借入金の返済が会社の経費になると思っている方、売上は現金入金された時や受注した時、注文があった時と考えている方もおられます。経営者の方々には、会計や税金の知識をもっと理解していただきたいと思います。
毎月定例日に役員会議や経営会議を開催し、経理担当者や顧問税理士から月次決算書を提出してもらい、自社の問題点や課題を報告してもらっている会社には倒産は無縁です。商売の基本は己を知ることであり、その最初の第一歩は自社の決算書を読めることです。


決算書は税務署のために作成するのではない!

経理担当者にとって決算は1年に1度の大変な作業です。そのため、決算書ができるとそこで全ての仕事が終わったかのように錯覚する人がいます。
利益が出て儲かったか儲かっていないかの一点で一喜一憂し、税金の支払額に驚き、慌てて資金繰りを心配するという話をよく聞きます。もちろん決算書をつくる目的の一つに、利益の把握と税金計算があるのは事実です。ただ残念なのは、経理担当者の多くが決算書を単に利益の把握と税金計算のためだけと考え、そこで仕事を終わらせてしまっていることです。
決算が終わって、利益や税金の支払額に一喜一憂することは、自分の健康診断が終わった後に一喜一憂するのと同じです。健康診断は、体重や身長を測ることが目的ではありません。病気の兆候を検査し、尿や血液を採取し、体に異常がないかを調べることが目的です。決算書でも同じことが言えます。決算書は会社の損益を計算し、税金の支払額を計算することが目的ではありません。決算書は、経営上の問題点を知る宝庫なのです。会社の経営状態を検査し、経営状態に異常がないかどうかを探るのが本当の目的です。異常が見つかれば原因を探り、経営危機の兆候があれば早めに手当てをする。それが、決算書の本来の役割なのです。
では、経営の問題点というのは、決算書のどんなところに現われるのでしょうか。それを知るには、決算書を見るべきポイントを押さえておくことがとても重要です。

100分率財務諸表の作成と活用
百分比財務諸表分析とは、貸借対照表および損益計算書について各項目の割合をパーセントで表示し、比較できるようにするものです。
百分比貸借対照表では、資産合計=負債・純資産合計を100%として、各項目が何パーセントかを計算します。図で表すと以下のようになります(数値は仮のものです)。
◎資産合計は100%、負債と純資産の合計も100%になっています。


百分比損益計算書では、売上高を100%として各項目が何パーセントかを計算します。
◎数値例で表すと以下のようになります。



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確定申告による所得控除の有効活用

今年も所得税の確定申告の季節が近づいてきました。
所得税とは、個人の所得に対してかかる税金であり、個人がお金を稼ぐとその一部に対して税金がかかります。したがって、個人で事業を営んでいる方のみではなく、会社に勤務している給与所得者の方も確定申告をしなければなりません。しかし、給与所得者については、勤め先の会社において年末調整を行なってもらっていれば、確定申告をしなくても所得税の精算が完了していますので問題ありません。
そこで、今回は給与所得者が確定申告をすることにより年末調整時の還付金よりさらに多く税金が戻ってくるケースがありますので紹介します。

[1]所得税の計算と所得控除
所得税は個人の所得という利益に対して課されています。利益ということは算式で示すと「収入−費用」の残額を指しますので、事業所得や不動産所得が生じる方は「収入金額−必要経費」、給与所得が生じる方は「給与収入−給与所得控除(法律で決められた金額)」など、これらの算式で生じた残額部分である利益に所得税率を乗じて所得税が算出されています。しかし、その税率を乗じる前にもう1つ控除できる制度があり、それが社会保険料控除や生命保険料控除、扶養控除といった個人的事情が加味された所得控除です。
年末調整においては、所得控除全14種類のうち、雑損控除、医療費控除、寄付金控除以外の所得控除について適用され所得税が精算されていますが、雑損控除、医療費控除、寄付金控除については適用できません。つまり、確定申告をすることによってこれらの所得控除を適用すれば、年末調整時よりも所得が低くなりますので、その分所得税が減額され納付しすぎている所得税が還付されます。
また、所得税の確定申告により翌年の住民税も確定しますので、住民税の減税にも繋がります。

[2]雑損控除
雑損控除とは、天災や人災など予想外の損害・損失による税負担能力の減少に配慮した制度で、一定の資産について損失が生じた場合においてその損失額相当額を控除できるという所得控除です。
雑損控除において、対象となる資産や損失の種類など細かい要件に該当するかが焦点となります。
(1)対象となる資産
住宅や家財、衣服などの生活に通常必要な資産についてのみ適用があります。したがって、高価なぜいたく品や事業用資産(商品や事業用車両など)については適用できません。
また、これらの所有者については、その申告者と生計一配偶者(配偶者控除の対象となる者)に限られます。
(2)対象となる損失
1)落雷や冷害、害虫などによる災害
2)盗難
3)横領


なお、雑損控除については、災害に関連する費用を支出した場合にはその支出額の控除を認めたり、控除しきれない場合には3年間繰り越して控除できたりと細かい決まり事や計算がありますので、詳細は税理士や国税庁HPなどでご確認ください。



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保険料をドブに捨てるな!

確定申告の時期が近づいてきました。この機会に個人の生命保険・医療保険・介護保険・年金保険だけではなく、会社の様々な保険を見直されてはいかがでしょうか。
保険を営業マン等の勧められるがままに加入していませんか?相見積、利害関係のない第三者の意見を参考にされていますか?月々の保険料を見ると金額は少なく見えますが、保険は一生もので、年齢が低いほど保険料が安価で後で見直しにくいものです。わすが月額3万円の保険料も、40年で何と1,440万円にもなります。
万が一の事故が起こった時に、取り返しがつかないと予想されるのであれば保険には絶対加入するべきです。自動車任意保険、最近では自転車任意保険、店舗・自宅の火災保険、地震保険、うつ病等が増加している労災上乗せ保険等は、リスクは高いものの発生頻度は低いので、保険料も安価です。個人の死亡保険、経営者の死亡保険等も、まずは保険料の安価な最低限の掛け捨て保険に加入することをお勧めします。
個人での資産運用、相続対策等の保険や、法人の節税対策、社員の福利厚生、経営者の万が一のための保険は利益が出た場合に検討されれば良いのではないのでしょうか。
どのような保険が必要で、優先順位を判断していくためには、下図の「リスクマップ」を活用すると便利です。


リスクが大きくて、発生頻度の高いものが自動車事故であり、個人・会社でもほぼ100%が加入されています。また、発生頻度はそう高くないものの、そのリスクの度合いが大きいものが、死亡保険や火災保険です。人間の死は一生に一度きりですが、もしも経営者や一家の大黒柱が死亡した場合、残された会社の従業員や家族の生活は一変します。また、火災もそうそう発生するわけではありませんが、発生すれば全財産を失い、ローン・借金だけが残ることとなります。
そして、火災保険とリンクするのが地震保険です。火災保険に入っていても地震が原因で火災となった場合、火災保険も免責されます。地震保険については「保険金が火災保険の3割〜5割に限られている」「いつ発生するかわからない地震のために、保険料を支払うのは無駄」等と考える人が意外に多く、加入率は23%程度に留まっているとのデータもあります。
3.11の大地震でも、加入率は宮城県が32.5%、福島県が14.1%、岩手県に至っては12.3%にしか過ぎなかったとのことでした。比較的過去に地震が多かった宮城県が全国平均を上回ったようです。地震保険は地域で保険料が大きく変わりますか、1,000万円で年間保険料が2万円程度と決して安くない保険料です。
しかし、今回の震災で学んだように、倒壊した自宅や工場、店舗を立て直すには二重ローンで苦しむことになります。国の支援も、不十分であり、自力更生が原則です。それでも保険料が馬鹿にならないと感じるようであれば、もう一度リスクマップを手元に置き、発生頻度が高いもののリスク自体は低い分野の保険を見直すべきです。
また、地震保険は共済(JA・全労済等)系等の地震ファンドを組み保険金の原資に充てるものと、国が最終的に責任を持つという保険と二種類あるので注意しておく必要があります。



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