経営者・経理総務担当者向け 実務月刊誌ビジネス支援 第198号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『経営者保証に関するガイドライン』
 経営・税務・・・ 『相続税改正スタート 増税に向けての確認』
 経理・財務・・・ 『資金繰りの基礎知識 金融機関の特徴』
『遺族年金だけで暮してゆけるか』





 今月の特集

経営者保証に関するガイドライン

マイベストサポート(MBS) 代表 吉田 学

1.中小企業・小規模事業の経営者への朗報

中小企業・経営者が金融機関に差し入れている経営者保証について、「保証契約の締結」や「金融機関等が保証履行を求める際」における、中小企業、保証人、金融機関等の自主的なルール(経営者保証に関するガイドライン)が、中小企業庁・金融庁等の協力のもと、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を共同事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」によって、平成25年12月に策定され、平成26年2月より適用が開始されています。
本ガイドラインは、経営者保証の課題・弊害を解消し、中小企業金融の実務の円滑化を通じて中小企業の活力を引き出し、日本経済の活性化に資することを目的としています。なお、法的拘束力はありませんが、中小企業・保証人・金融機関等が自発的に尊重し、遵守することが期待されています。

2.なぜ、今、経営者保証ガイドラインなのか?

中小企業の経営者による個人保証には、経営への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開や保証後において経営が窮境に陥った場合における早期の事業再生を阻害する要因となっているなど、企業の活力を阻害する面もあり、経営者保証の契約時及び履行時等において様々な課題が存在しています。
よって、これらの課題の解決策の方向性を具体化するために、この度、「経営者保証に関するガイドライン」が策定されました。

1)経営者保証に関するガイドラインとは?
「経営者保証に関するガイドライン」とは、経営者の個人保証について、
(1)法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
(2) 多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100万円〜360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
(3)保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること
などを定めることにより、経営者保証の弊害を解消し、経営者による思い切った事業展開や早期事業再生等を支援するものです。また、第三者保証人についても、上記(2)、(3)については経営者本人と同様の取扱となります。

2)現在の経営者保証の現状は?
「中小企業庁/中小企業における個人保証等の在り方研究会」の報告によりますと、「借入のある中小企業の経営者のうち、80%超が個人保証を提供」しており(図表1)、また、全国連の調査によりますと、「法人・個人を問わず、第三者保証人が必要となる割合は回答企業の約1割」、「法人においては、8割超が経営者保証人を提供」とのことです(図表2)。
実に、約8割の経営者が個人保証をしていることになります。

図表1:借入時における個人保証の提供有無について
図表1:借入時における個人保証の提供有無について
図表2:融資実行時における保証人状況について
図表2:融資実行時における保証人状況について

※図表1.2…出典:「全国商工会連合会/中小・小規模企業における個人保証について」及び「中小企業における個人保証等の在り方研究会参考データ集」より



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相続税改正スタート 増税に向けての確認

平成27年1月1日から、相続税及び贈与税が改正されます。そこで今回は、改正点と改正による増税に対応する生前贈与のポイントを確認していきたいと思います。まず相続税の改正の内容について確認します。

相続税の改正点

1)相続税の基礎控除が4割縮小されました【増税】
改正前の基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)が、平成27年1月1日以後の相続からは、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)に引き下げられました。
たとえば、法定相続人が3人の場合には、基礎控除は5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円から、3,000万円+600万円×3人=4,800万円に引き下げられます。
相続財産が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告をする必要があります。
この改正は単純に増税ということにとどまらず、従来は「相続税申告とは無縁」と思いこんでいた人も申告が必要になるケースが増えることになります。
全国レベルでは、この改正により改正前は申告対象者が4.1%程度でしたが今後は6%程度まで上がり、亡くなった方の100人に6人が課税対象となります。
この数値は全国平均ですが、地価の高いエリアに不動産を所有している場合は特に注意が必要です。財務省の試算では東京都の千代田区、港区、中央区の相続の場合には4人に1人が課税対象になるというデータもあります。
このように相続税申告は一部のお金持ちだけのものではなく、一般的なものとなったと言えます。

2) 最高税率は50%から55%に引き上げられ、税率構造は10%〜55%の8段階になりました【増税】
改正前の最高税率は50%でしたが、平成27年1月1日以降の最高税率は55%になります。税率の区分は図1の通りです。

図1:相続税の税率構造

3) 未成年者控除額が、20歳までの1年につき10万円(改正前6万円)に引き上げられました【減税】
4) 障害者控除額が、85歳までの1年につき10万円(改正前6万円)に引き上げられました【減税】
5)「小規模宅地の評価減の特例」については、拡充がされました【減税】



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資金繰りの基礎知識 金融機関の特徴

金融機関における融資には、それぞれの特徴があり、スタンスが大きく変わってきます。
「どのような企業への融資に力をいれているのか?」これらの特徴を把握しておくと、交渉がより有利になりますのでご紹介します。

1.日本政策金融公庫
日本政策金融公庫の融資資金は国の財政投融資資金です。日本政策金融公庫は銀行が一切関知しないので、余計なつきあい定期預金・拘束預金、グループ提携保険、投資ファンド加入見返り強要や給与振込み、入金指定口座等の強要もありません。無担保融資は企業の業績等で2,000万円まで融資枠があります。
最近は保証人不要融資も2,000万円の枠で商品化されています。【第三者保証人不要の場合、金利が割り増しとなります】新規開業では、300万円〜1,000万円程度の融資が受けられます。中小企業強化力融資等では無担保・本人保証も必要のない融資として2,000万円枠が新設されています。
※新規融資の際の手続きが時間もかかり、煩雑です。会社訪問・実態調査・決算書・総勘定元帳・事務所契約書・運転免許証・代表者個人の納税証明等が必要とされます。資金需要なくても300万円程度の新規融資を受け、返済しておくと次回の審査が簡単に済みます。(平成26年12月1日現在 基準利2.3%)

2.保証協会付き融資
全国都道府県にある各保証協会が信用力に欠ける中小企業の融資に寄与するための公的保証制度です。
保証協会の保証付き融資とは、銀行が中小企業に融資する場合、会社が返済不能となった時に肩代わりするものです。
注意点は、お金は銀行から出て、都道府県は万が一の場合に、企業に代わって返済してくれるということ。無担保枠として5,000万円〜8,000万円程度ですが、月商の3倍程度という枠も設けられています。しかし、新規開業や設備資金等では弾力的な扱いもあります。もちろん担保付きもありますが、ここでは無担保扱いをまず確保することです。
保証協会付き融資は、返済に問題(遅延等)がない場合は、資金の必要性に応じて一定の枠内であれば再度保証してくれる融資です。いわゆる折り返し融資が可能です。また、市区町村では、保証協会付融資に利子や保証料に利子補給する優遇措置をとられていることがあります。例として、東京都豊島区では1,000万円まで0.5%低金利融資等、渋谷区はIT業種等について創業融資には0.1%の低融資制度があります。保証協会付き融資については、地域・業種・会社の実績等により様々な優遇制度があります。出入りの信用金庫、銀行の担当者、会計事務所にまめにヒアリングされることをお勧めします。
また、平成26年4月1日より、税理士等の確認・同意書の提出による保証協会の保証料割引制度が始まっています。これは税理士が「中小企業会計チェックリスト」に記載した顧問先の決算内容について事実と異なっていた、故意・過失を問わず、日本税理士連合会等に氏名を公表されても構わないという旨の同意書を提出するという制度です。
直近では、単なる保証料の割引制度であったものが、逆にこの同意書を提出することが保証協会付融資の条件になりつつあります。税理士が税務だけではなく、顧問先の決算内容まで責任を持たざるを得ない時代に突入しつつあります。



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遺族年金だけで暮してゆけるか

遺族年金の基本

一般的に女性は男性より長生きしますので専業主婦で万一夫が亡くなった時に夫の遺族年金で生活ができるのか気になるところです。夫の死後1人で生きて行くにはどの位の準備が必要になるでしょうか。
国民年金の「遺族基礎年金」に、厚生年金に加入していた人は「遺族厚生年金」が上乗せされます。死亡した被保険者の報酬比例部分年金額×3/4+加算で計算されます(遺族基礎年金については18歳の年度末までの子がいる場合に支給されます)。

老齢厚生年金受給者の夫が亡くなった時
老齢厚生年金受給中の夫が亡くなった時、妻が65歳以上の時は夫の老齢厚生年金の一部の遺族厚生年金を受け取れます。
受け取り方は3つの方法があり、いずれも妻本人の老齢基礎年金は全額支給されます。厚生年金の加入をしたことのある妻は最も高い金額が支給されます。
(1)自分の老齢厚生年金のみを受け取る。
(2)夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に相当する部分を受け取る。
(3)妻の老齢厚生年金の2分の1、夫の老齢厚生年金の2分の1を合計した相当額を受け取る。

(2)と(3)は妻が厚生年金に加入していた場合で妻の老齢厚生年金を支給した後に夫の老齢厚生年金から差額の遺族厚生年金が受け取れます。
一般的な専業主婦は(2)のタイプが多く、妻も働き保険料が高かった時や、厚年加入期間が長かった時は(1)や(3)となることもあります。また、遺族年金は非課税です。



印鑑の取扱いにはご注意を!!今も昔も印鑑は重要な存在

電子化が進んでも印鑑文化は変わりません
わが国では、取引のあらゆる場面で昔からの商慣習や法令により、(取引の証拠として)各種書類等に印鑑を押印することがあります。
世界的にみると取引において印鑑を用いる国は少なく、大多数が「署名(サイン)」を(取引の証拠として)使用しています。
しかし、我が国においては、グローバル化・電子化が進む現在においても印鑑を用いた取引は数多く存在しており、印鑑がもつ重要性は現代社会においても、昔と変わりません。

実印と認印の違いは
法律上、実印という用語は存在しません。
個人における実印は、その個人の住民票のある市区町村において登録した印影が刻まれている印鑑のことを指し、法人における実印は、その法人の本店所在地を管轄する法務局において届け出られた印影が刻まれている印鑑のことを指します。

デイリーコラムより



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