経営者・経理総務担当者向け 実務月刊誌ビジネス支援 第196号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『経営者・経理担当者の知っておきたい財務・融資の基礎知識』
 経営・税務・・・ 『余裕を持って税務調査に臨むために』
 経理・財務・・・ 『金融機関はここを見て貸す!』
『荷風・幸橋税務署・税制/税務調査での「メール調査」』





 今月の特集

経営者・経理担当者の知っておきたい財務・融資の基礎知識

自社の借入金を大きく4分解する
中小企業の借入金を以下の視点で大きく4分解できるはずです。決算書の勘定科目内訳明細書、月次試算表、決算書の補助科目一覧表をもとに、借入金を以下の4区分に分解します。
(1)公的融資その一…日本政策金融公庫
(2)公的融資その二…保証協会付融資(区・市等の利子補給制度含む)
(3)金融機関による直接の無担保融資…ビジネスロ−ン等の名称
(4)不動産・定期預金・有価証券等の担保付き融資

それぞれの融資枠とその特徴
1.公的資金 その一 日本政策金融公庫融資
日本政策金融公庫の融資資金は国の財政投融資資金(税金)です。
日本政策金融公庫は銀行が一切関与しないので、余計な付き合いや定期積金・拘束預金、グループ提携保険販売、投資ファンド加入見返りや給与振込み、入金指定口座等の強要もありません。
無担保融資は原則として、企業の業績等で2,000万円まで融資枠があります。(近年民間移行への判断もあり、業績が良い、業歴が長い、信用力がある中小企業には4,000万円程度の無担保枠となる顧客も少なくありません。)
最近は第三者保証人不要融資もありますが、金利が上乗せされます。【平成26年10月1日現在0.65%】
経営革新等支援機関と協力して事業計画を立案した場合、中小企業経営力強化融資による新分野、新規事業、創業融資には様々な特典があります。
旧来は自己資本の3倍程度の融資しかなかったものが、10倍まで可能となり、また、自己資金0円でも可能となっています。

公庫融資のポイント
※新規融資の際の手続きは時間がかかり、煩雑です。
経営者面接、会社訪問・実態調査・2期分の決算書か2年分の確定申告書の写し、源泉徴収票、総勘定元帳・事務所契約書・運転免許証・代表者個人の納税証明等必要になります。
コツは、資金需要はなくても300万円程度の新規融資(少額の場合は担当者決済も可能となり審査がゆるい)を受け、一度返済実績を創っておくと、次の折り返し融資が簡単かつ融資枠も広げやすいと言われています。



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余裕を持って税務調査に臨むために

一般的に9〜11月は税務調査のシーズンと言われています。これは税務署の年度が7月から6月となっており、署内の人事異動が7月に行われるので7〜8月は引継ぎ等でバタバタしていることが多く、本腰を入れて調査に乗り出すのが9月以降になるためです。
そこで今回は、いざ税務調査が入った時に余裕を持って対応が出来るよう、税務調査についてみていきたいと思います。

●税務調査とは
税務調査とは何なのでしょうか。会社は毎年、税務申告をしますが、その申告内容が正しいかどうかを、税務署の調査官が実際に会社に訪れ、帳簿書類や原始証憑等の調査を行うことを税務調査と言います。
税務調査には、大きく分けると強制調査と任意調査があります。

強制調査
悪質な脱税に対する告発等を目的として国税犯則取締法に基づいて行われるもので、追徴税金を払うことは当然ですが、社会的制裁として氏名や脱税額などが報道される可能性が高い事案の場合に行われます。

任意調査
通常実施されている一般調査で、おおむね3〜5年毎(10年以上来ない場合もあります)に行われる税務調査です。
調査対象となる納税者の申告内容が正しいかどうかを確認するためのものであり、税務署から事前に納税者や顧問税理士に調査依頼の連絡が入った後に行われます。
それでは、税務調査の大半を占める一般調査を基準に税務調査の流れを見ていきましょう。

◎調査日程はどのように決まるのか
税務調査が行われる場合、事前に税務署から連絡があり(現金商売の場合は事前に連絡なしに調査に来る可能性が高いです)調査官、経営者、顧問税理士の間でお互いのスケジュールを調整する形で日程を決めます。
調査の日程としては、通常2日間を要します。ただし、会社の規模や取引量に応じて、1日で終わる場合や3日以上に延長されることもあります。また、調査期間の最後に調査結果が指摘されないときは、別途、打合せが必要となる場合もあります。

◎税務調査はどこで行われるのか
調査を受ける場所は、原則として本店所在地とされます。これは、税務署の担当である所轄が、本店所在地を基準に割り振られているためです。ただし、納税地指定を受けているなど、例外もあります。
本店所在地が登記上だけで、実際の事業活動拠点が支店や工場などであれば、そこでの調査となります。実際に調査を行うスペースの確保も必要となってくるので、営業活動に支障の出ない様に工夫を行う必要があります。

◎調査官は何名でやってくるのか
調査に来る調査官の人数は、1〜2名が多いようですが、会社の規模等の状況により若干の前後はあります。
調査官を肩書で分類すると、統括調査官(部門の責任者)、上席調査官(ベテラン)、調査官(新人)の3つに分かれており、一般的には上席調査官1名か、上席調査官と調査官の2名で来ることが多いかと思います。



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金融機関はここを見て貸す!
〜簡単融資審査のポイント〜

実はそんなに多くない重要ポイント

「決算書」、「財務指標」というと、それだけで拒否反応を起こしてしまう方も少なくないかと思います。確かに金融機関側で算定する財務指標の数はかなりの数に上りますが、融資審査に大きく影響するポイントは、実はそんなに多くありません。
また、特に重要な数字については各指標ごとに何度も使われるため、これらの数字を改善できれば自然と他の項目についても改善の効果が表れることとなります。「そう言っても何をどうすればよいか分からない」という方が殆どかと思いますので、今回は融資をする上で金融機関が決算書のどこに特に注目して見ているかを説明したいと思います。

融資審査の評価をよくするための改善ポイント

1. 資本の部は「債務超過」になっていないか
債務超過とは、今ある資産よりも負債の方が多い状態をいいます。この場合決算書上では、資産の部の総額よりも負債の部の総額が上回っており、資本の部の合計金額のところに△(マイナス)が表示されます。
●対策
○今後、利益を計上しながら徐々にマイナスをなくしていく。
○手っ取り早い方法としては、社長が会社に貸付けているお金を資本金に充当する。
※ただし、この場合には債務免除益が発生して、それについて課税される場合があります。
「債務超過」の状態では、新規の融資が見込めないばかりか、金融機関の融資方針によっては、現在の融資についても引き上げられてしまう可能性がある危険な状態です。早急に有効な対策をする必要があります。

2.毎月の返済利益は出ているか?
通常、融資を受けた場合、その返済できる額の限度は「 減価償却額 + 税引き後利益 」となり、この額を超えての返済は不可能となります。
もし税引き後、利益が赤字ならば返済資源は減価償却分のみとなるので、その分新規の融資は難しくなります。
●対策
○役員報酬を減らして利益を出す。
税引き後利益は赤字であっても、特別損失に振り替えられる費用(設備の除却損や土地の売却損等)については特別損失として計上し、営業利益では黒字を確保する。

3. 適正な減価償却を行なっているか?
税法上では、固定資産の減価償却は任意とされています。



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荷風・幸橋税務署・税制

永井荷風と有名税
永井荷風の著書『断腸亭日乗』に、通知された所得税が前年の倍近いものだったので、幸橋税務署に抗議に行ったら、申し出の趣旨は尤もなれど、「世に有名の文士なれば、実際の収入よりも多額の認定をなすは是非なき次第なり。
有名税とも言ふべきものなれば本年は我慢されたし」と言われ、「刀筆の小吏(しょうり)を相手にして議論するも益なき事」と思ってそれ以上の問答はしなかった、と書かれています。

刀筆の小吏(しょうり)
馴染みが薄い「刀筆の小吏」という言葉は、昔、中国で紙の発明以前に用いた、竹簡に文字を記す筆とその誤りを削る小刀、転じて、筆記具、さらに転じて記録を指し、その記録を司る下級の役人、の意味です。
当時は、現在の住民税と同じく、賦課課税でしたが、課税決定のための情報申告義務はありました。所得調査委員会の調査と申告とに大きな乖離がないときは、申告を尊重するように、などという内示も出ています。


税務調査での「メール調査」

税務調査での「メール調査」
税務調査において、コンピューター内の各種データや電子メールを見せるように求められるケースが多くなっているようです。
どの会社でも、メールにはかなりの情報が詰まっており、メール調査を足がかりとして申告書面では伺い知れない会社の本音を垣間見ることができ、多くの場合で、否認の端緒や根拠を見つけることになっているようです。

「メール調査」を要求する根拠
税務署員の質問検査権として、事業に関する帳簿書類その他の物件の検査、提示、提出を求める権限があります。
電子メールはここでいう「書類」ではありません。上記の「帳簿書類その他」の文言を拡大解釈して、対象に含めようとすることは、法律の正当な解釈とはいえません。
電子帳簿保存法を根拠として、帳簿書類を作成しない場合には、コンピューターの画面にて電磁的記録の状態の「帳簿書類」を調査担当者が確認し得る状態にして開示する必要がありますが、それだけで十分です。
電子帳簿保存法の適用を受けていて、電子メールで受注・発注・業務指示・業務報告を常態としている場合であっても、電子メール内のすべての情報の画面開示を要求することはできません。



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