会計事務所と顧問先をむすぶCLUE 第145号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『もめない 賢い 相続・贈与』
 経営・税務・・・・ 『グループ法人税制の導入』
 経理・財務・・・・ 『経営支援徒然帖』





 今月の特集

もめない 賢い 相続・贈与

事実婚の悲哀、多額な借金、音信不通の弟、家業は…どうする??

「相続税対策」と「相続対策」を混同している人は大勢います。相続税を払わなければならない人はごく一握りです。むしろ、大半は遺産の取り分などを巡る相続争いに時間と労力がとられることがほとんどです。だからこそ、親族間でもめない為に、生前の相続対策を行うことが肝心なのです。


○問1
最近父が病気がちで、実家の相続税が気になります。相続税のだいたいの金額を教えて欲しいのですが?


●答
課税財産のだいたいの評価と法定相続人の判断による非課税枠の算出からおおまかな相続税が出せます。特に自宅の小規模宅地の評価減が重要です。

◆相続税のかぎは基礎控除と自宅敷地の評価
時価1億5,000万円くらいの自宅(敷地70坪程度)と、その他の財産5,000万円くらいでしたら、ほとんど相続税はかかりません。
「えっ!2億円もの財産があっても相続税はかからないの?」と思うでしょう。実は、そうなのです。順を追って説明いたしましょう。

◆かかる?かからない?判断のポイント
1.〜基礎控除〜
相続税は一定金額を超える財産を潰して亡くなった場合にかかる税金です。例えば、相続人が配偶者と子供二人で計三人のケースは財産額が8,000万円(相続税の基礎控除)まででしたら相続税はかかりません。8,000万円を超える財産を潰した場合に相続税がかかります。相続税の基礎控除は相続人の数によって決まります。具体的には「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」で求めます。

2.〜自宅の評価の特例〜
財産の主なものが自宅で、その自宅がいい場所にあるため相続税評価額が1億5,000万円にもなり、基礎控除を超えるので相続税がかかる、といったケースだと、相続税を払うには自宅を売るしかありません。しかし、相続税は、そこまで厳しい税金というわけではなく、最低限「自宅」は守ってあげようという趣旨で、自宅の敷地の相続税計算においては、240平方メートルまで50%引き(または240平方メートルまで80%引き)となる特例が設けられています。
これを「小規模宅地等の課税価格の計算の特例」といいます。
(事業用の宅地で一定のものについても400平方メートルまでこの特例を受けることもできます。)
例えば、配偶者が自宅敷地の一部または全部を相続すれば、小規模宅地等の特例により、自宅敷地のうち240平方メートルまでの部分の相続税評価額は80%引き、つまり20%評価となります。このケースだと、時価(路線価評価額)1億5,000万円の自宅の敷地(70坪)は、特例を受けることにより相続税評価額は3,000万円(1億5,000万円×20%)となります。
したがって、相続人が配偶者と子供二人の計三人で、相続財産が他に5,000万円あるという場合、相続財産の評価額は自宅敷地3,000万円とその他財産5,000万円で、合計8,000万円となり、基礎控除以下になるため相続税はかかりません。
先程、2億円程度のケースなら相続税はかからないとざっくり申し上げましたが、これが種明かしです。
相続税がかかるか、かからないかのおおよその目安をつける為にも早急に専門家である税理士にご相談ください。

◆注意
法律では、相続することのできる人(法定相続人)の範囲を特定しています。ですから親族ならだれでも相続人になれるというわけではないのです。

◆だれが相続人?
一般に相続人といえば、亡くなられた方(被相続人)の配偶者と子供をさすケースが多いと思います。配偶者がすでに他界されている、または離婚されているような場合は子どものみが相続人になります。子どもがいないケースでは、配偶者と親が相続人となり、親も他界されている場合は配偶者と兄弟が相続人となります。少し迷う場合を考えてみると、次のようなケースがあります。

◆相続人は誰だ!少し迷うケース
1.婚姻関係のない方との子どもで認知されている場合(非嫡出子)
  →相続人になります(ただし相続分は婚姻関係のある子どもの2分の1。)
2.後妻の子ども(連れ子)で、現在の夫と養子縁組していない場合
  →現在の夫に相続が起きても子どもは相続人になりません。
3.後夫の子ども(連れ子)で、現在の妻と養子縁組していない場合
  →現在の妻に相続が起きても子どもは相続人になりません。
4.離婚した配偶者
  →相続人にはなりません。
5.相続人が配偶者と兄弟の場合で兄弟がすでに死亡しているときの兄弟の子
  →相続人になります。


○問2
木造のアパートを所有しています。同居の次女にこの財産を残してやりたいのですが可能でしょうか?


●答
次女にアパートを残してあげるには、2つの方法が考えられます。1つは遺言書〔公正証書か弁護士立会いが望ましい〕にその旨を記載する方法です。もう1つは生前贈与する方法です。相続時精算課税制度を選択すれば贈与税を軽減することができます。注意することは長女の遺留分等に対する配慮が必要だということです。遺留分とは民法の規定により、相続人に対して留保された相続財産の割合をいいます。姉妹2人が相続人の場合、長女には全財産の1/2の1/2、すなわち1/4の遺留分があります。


○問3
会社の株の大半が父の名義です。相続対策はどこから手をつければいいのでしょうか?


●答
まず会社の株価計算が必要です。資料としては、直近の決算書・申告書・土地の謄本・固定資産の評価証明書、土地の実測図が必要となります。専門家である税理士に株価評価を依頼ください。未公開株の売買は事実上不可能ですから、会社の承継問題と株の買取資金、退職金支払いのための経営者保険の加入等が検討されます。大事なのは早めの「親子の対話」です。信頼している第三者(税理士・弁護士・同業者・親族)から話してもらうのも手かと思います。


○問4
親に多額な借金があります。遺産を相続したら、代わりに返済しなければならないのですか?


●答
はい。ただし、相続を放棄することもできますし、限定承認といって取得した遺産の範囲で債務を承継することも選択可能です。相続放棄は各相続人が、「自分が相続人になったことを知った時から3ヶ月以内」に、家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」を提出しなければならず、家庭裁判所に認められれば、「相続放棄陳述受理証明書」が交付され、この証明書が相続放棄をした証明となるのです。


○問5
亡くなる直前に被相続人の銀行預金をおろすといけないのですか。後で調べられると聞いたのですが?


●答
銀行預金はおろしてもかまいません。病院への支払い、葬儀費用等が必要だからです。しかし、亡くなった時点での預金を相続財産として計算の中に入れておく必要があります。税務署は、亡くなる前5年分の預金については細かく調査をします。


○問6
遺言書がなければ法定相続分で分けなければいけないのですか?


●答
原則は、相続人の話し合いで決め、遺産分割協議書を作成します。現預金ならまだしも、土地・建物を法定相続分で按分するのも現実的ではありません。法定相続分とは、民法に定められている「相続を受ける割合」のことをいいます。
配偶者と子供がいる場合の法定相続分
・配偶者…1/2
・子供…1/2 を子供の人数で按分子供同士は平等
相続が争族にならないためにも、法定相続分に近い形で、分割できない土地・建物を誰々に、その土地・建物の金額に近い、現預金・有価証券、保険等を他の相続人に準備しておくことが必要です。



○問7
家の名義は17年前に亡くなった父のものです。相続はどうなるのでしょうか?


●答
原則として相続は発生しています。今からでもお父さんの相続手続きをする必要があります。遺産分割協議書を作成し、法定相続人全員の実印を押印してもらう必要があります。いずれにしても、時間が経つほど手続きがしにくくなりますから、速やかに遺産分割協議を済ませ、所有権の移転登記をしてください。


○問8
父親が急死し、不動産や現預金、有価証券等、どんな資産があるのかさっぱり分かりません。どうすればいいのでしょう?


●答
預貯金については、通帳等から取引している金融機関を特定し、相続の開始を伝えて名寄せを依頼、相続開始時点での残高証明書を取得してください。通帳未記帳があれば記帳しておいてください。
また、定期預金があれば、既経過利息の計算も依頼しておいてください。有価証券については証券会社や信託銀行からの通知書等で保有状況を確認します。不動産については、固定資産通知書から市町村に名寄帳(土地・家屋総合名寄帳登録事項証明書)を取り寄せれば所有不動産の一覧がわかります。


○問9
家を出たまま、寄り付きもしない兄弟がいます。遺産を分ける必要があるのでしょうか?


●答
どんな事情であれ、法定相続人であれば、遺産を取得する権利があります。どうしても渡したくないのであれば、遺言書を作成してもらいます。しかし、遺留分があり、法定相続分の半分までは保証されています。これは遺言書でも変えられない権利です。
また、遺言書に記載のない財産があった場合、遺産分割協議書が必要となります。法定相続人全員の実印が必要なので、やはり話し合いのテーブルについてもらうことが必要です。


○問10
孫に相続財産を渡したいのですが?


●答
色々な方法があります。まず生前贈与をしておく方法です。この場合、年間110万円以下であれば非課税です。また、孫と養子縁組をして法定相続人にすることもできます。この場合、相続税は2割増しになりますので注意してください。次に、遺言書を書いて遺贈するという方法があります。ただし、他の相続人(あなたの子供等)には遺留分がありますので注意してください。


○問11
自宅で商売しています。父の代からの自営業〔酒屋・理容等〕をしており、店舗兼自宅は父の名義のままです。商売を引き継がない兄弟がいる場合にはどのような準備が必要ですか?


●答
対策1.
土地・建物は家業を引き継ぐ人に、それ以外の相続人には現預金を代わりに引き渡します。そのためには土地・家屋等相続財産を仮計算しておき、他の相続人に支払うお金を現預金等で保有するか、保険に加入しておく必要があります。ただし保険の受取人には注意をする必要があります。家業を継がない相続人を受取人にしておくと、保険金は本来の相続財産ではないため、それ以外の財産の法定相続分をよこせと言いだすこともあるからです。 保険金は、みなし相続財産といって本来の相続財産でないため、遺留分の計算から除外されます。

対策2.
父親が遺言書で土地・建物の相続人を指定しておきます。この場合、遺留分を考慮した範囲で行う必要があり、「対策1」と同じく、代償分割分の金銭を用意しておくことが必要です。

対策3.
兄弟での〔共有持分〕は避けることです。
不動産を共有にすると、立替・売却に全員の実印が必要となります。反対する人が1人でもいると何もできなくなってしまいます。そうした事態を避けるためにも、生命保険金を納税資金に充てるというのは現実的な方法と言えます。万が一、老後資金が必要になっても貸付制度や解約返戻金等現金化ができる保険もあります。


○問12
最近増えている事実婚…日常生活では大きな不便を感じませんが、相続ではどうでしょうか?


●答
婚姻関係を出していない、いわゆる事実婚(内縁関係)の場合、実態が夫婦であっても、夫の財産を相続する権利は一切ありません。「財産と言ってもマイホームくらいだから」と思っていると大変です。会ったこともない夫の兄弟がやってきて、「この家は俺が相続したから出て行ってくれ」ということも現実にありました。では、事実婚の場合、妻に財産を残すにはどうしたらよいのでしょうか。最大の対策は例え税金が高くても生前贈与することです。年間110万円の範囲なら非課税ですが、万が一のこともありますので早期の生前贈与が望ましいと思います。
また、遺言ですが、夫の兄弟には遺留分が認められていませんので大丈夫ですが、夫の父・母には遺留分があります。さらにややこしいのは、離婚していない妻がいた場合、資産の1/2が遺留分になりますので、事実婚の妻に1/2しか財産が残せません。





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グループ法人税制の導入

 平成22年度税制改正では、資本に関係する取引等にかかる税制の大幅な見直しがされています。とくに、平成22年10月1日以降に施行される予定の、100%資本関係のある法人をひとつのグループととらえて課税するグループ法人税制の創設が注目されています。

 具体的な内容についてはまだ情報が不十分な部分が見受けられますが、現在明らかにされているものをまとめました。


(1)資本金の大小に関係なく中小企業も強制適用

このグループ法人税制は、国内の法人間で直接・間接に100%の資本関係があれば強制的に適用されます。また、株主が個人や外国法人であっても適用されるため、たとえば、オーナー一人が発行済株式のすべてを保有する会社を国内で複数経営する場合の兄弟会社間も適用されることとなります。さらに、支配関係の判定上の「個人」の範囲は、法人税法で規定する「同族関係者」と同様となり、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族が含まれます。父とその子2人(兄と弟)がそれぞれ100%株式を保有している法人があるとすれば、これらの3法人それぞれが直接的な資本関係がない場合でも、法人税法上はひとつのグループとしてグループ法人税制が強制的に適用されることになります。

したがって、これらの法人間で資産の譲渡を行った場合は、グループ法人税制における譲渡取引の損益繰延べなどの対象となります。これまでは資産の譲渡先が6親等内の血族などが支配する法人かどうかはあまり考えずに行ってきたと思われますが、グループ法人税制が適用される予定の今年10月1日以後に何らかの資産を譲渡した場合には、その譲渡先が税務上の同族関係者に該当するかどうかを確認する必要があると言えます。

また、このグループ法人税制は、資本金の額は関係なく100%資本関係のある全法人を対象とする制度です。資本金の額により適用の有無が異なるものは、後記する中小企業特例の適用制限のみとなり、取引に関係する制度については資本金の額に関係なく対象となりますので注意が必要となります。



(2)グループ法人税制・具体的な内容は

1.譲渡資産の課税の繰延べ

平成22年10月1日以降に行われたグループ間の資産の譲渡取引について、課税繰延べ制度が適用されることになっています。

この課税繰延べ制度とは、固定資産、土地、有価証券、繰延資産などの資産で帳簿価額が1,000万円以上である「譲渡損益調整資産」をグループ法人間で譲渡した場合に、その譲渡利益額、譲渡損失額相当額を繰り延べるとされています。譲渡利益が生じた場合には、譲渡した法人が利益相当額を利益から除外(損金算入)し、逆に譲渡損失が生じた場合には損失相当額を利益に加算(益金算入)することになります。

また譲渡後に、その「譲渡損益調整資産」を譲り受けた法人がさらに譲渡した場合に、最初に譲渡した法人が繰り延べた譲渡利益額・損失額を戻し入れ(益金算入・損金算入)することになります。

さらに法案では、「譲渡損益調整資産」を譲渡する場合以外に償却、評価替え、貸し倒れ、除却などが行われる場合にも譲渡利益額・損失額の繰延額の全部もしくは一部を戻し入れするとしています。

なお、消費税の取り扱いについては、譲渡した金額・譲り受けた金額で認識し、計算するとされています。


2.完全支配関係法人間の寄附金

平成22年10月1日以後に100%グループ内の法人間で寄附が行われた場合、支出した法人はその寄附した金額の全額を費用と認められない(損金不算入)こととなります。また、受領した法人はその全額を収益と認められない(益金不算入)ことになるとともに、その金額について利益積立金額に加算しなければなりません。

この制度の対象は法人による完全支配関係があるものに限られており、寄附をすることによって個人株主間の贈与と同様の状況になる場合には適用されません。たとえば父親が株主であるA社から、子が株主であるB社に寄附をした場合などは対象とはならず、現行どおり、寄附金を支出した側は一部が損金不算入に、受領した側は寄附金の受贈益は全額が益金算入されます。

なお、この「寄附金」は、たとえ寄附金勘定で計上していなくても、実質が寄附金であればこの規定が適用されます。現物の資産をただであげたという場合にも寄附金とみなされ、その資産を贈与したときの価額は時価で計上することとなります。



3.完全支配関係子会社の未処理欠損金額の引き継ぎが可能に

完全支配関係にある親子会社間において、子会社の解散により、その子会社の残余財産が確定した場合に、親会社は子会社の未処理欠損金を引き継ぐことが可能になります。

逆に、今まで可能であった子会社が解散した場合のその子会社の株式消滅損の計上が平成22年10月1日以後できなくなります。


4.受取配当金は全額益金不算入に

完全子法人株式等に係る配当等について、今まで負債利子を控除した後の金額を益金不算入としていましたが、この負債利子について控除しないこととなりました。これによって、受取配当金の全額が益金不算入となります。

全額を益金不算入とする配当は、配当の計算期間を通じて完全支配関係があった法人からの配当のみが対象となります。


5.中小企業の特例を受けられる企業に制限

平成22年4月1日以後の開始事業年度から、資本金が5億円以上の大法人と直列の関係にある100%子法人については中小企業特例が制限の対象となっています。

中小企業特例には、資本金1億円以下の場合は軽減税率、特定同族会社の特別税率の不適用、貸倒引当金の法定繰入率、交際費の損金不算入制度における定額控除制度、欠損金の繰戻し還付制度が挙げられますが、この5項目について適用されないこととなります。 これら5項目の適用時期については「事業年度終了の時」とされていることから、平成22年4月1日開始事業年度の場合には平成23年3月31日に完全支配関係があるかないかで適用の有無が決まります。


(3)グループ法人税制と地方法人二税

法人住民税の法人税割は法人税額を課税標準としているため、法人税法で行われた改正が自動的に反映されることとなります。また、法人事業税も、法人税の所得の計算の例によって算定するとされているため、法人税での所得計算について改正が行われると、やはりその改正事項の影響を受けます。

前述のとおり、このたびの平成22年度税制改正では、完全支配関係がある法人間の取引に係る税制が改正されましたが、この改正事項も地方税に自動的に影響することになります。





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経営支援徒然帖

残業はさせるな!

残業をしている会社の経営者は、「会社にとって必要だし、社員も納得して残業している」と言います。

また、「顧客からの納期要請がきつくて仕方なしに残業が多くなる。」等々残業が仕方ない、必要悪だと考えている企業はまだまた多いと思います。そのような経営者が居て、会社の雰囲気がそうであれば、新入社員も「定時に帰るのは気まずい」等々、自然と残業が多くなってしまいます。

しかし、残業が多い会社ほど倒産の危険性は高くなります。何故でしょうか?


1.会社のムリ・ムダ・ムラの原因があいまいになる

もし人間が死ぬことがなかったらと考えたことはありませんか?どんな人も100歳まで生きられるのは稀です。寿命があることが分かっているからこそ、人は現在を一生懸命生きようとするのだと思います。仕事も一緒です。納期があり、投入できる時間が決まっているから、創意・工夫が生まれるのだと思います。もし、定時で終了しなかったら、見積もり時間が間違っていた。段取りが悪かった。間違いがあり、やり直した。等々の原因が追究でき、次回から改善策が生まれ、人は進歩していきます。残業を野放しにすることは、これらの原因追究をしなくなることです。能率を上げる、業務を合理化する、標準化する、問題を顕在化させ、生産性を上げることが最も重要なことなのです。

2.仕事が趣味になってはいけない

稀に仕事が楽しいという人に出会います。個人個人で仕事が楽しい人もいてもいいでしょうが、会社は仕事がイヤな人もいることで成り立っています。限られた時間内で仕事をして、自分の自由な時間を持ちたいという人がいて、自由な時間が仕事だという人も居て構わないということです。そうであれば、まず時間内で業務を処理することが大切です。経営者や仕事が趣味の人は、自宅で仕事をするように心がけるべきです。中小企業のほとんどの経営者は仕事が好きで、趣味だという人も多いでしょう。しかし、雇われている人の本質は、自分や家族のために働いているのです。その中でたまたま仕事が趣味だと勘違いしている人がいるのだということを自覚しておくことが重要です。なぜなら、事態を正確に理解できない経営者の多くが、社員も自分と同じように仕事が好きで、仕事が趣味だと勘違いすることは自然な感情なのです。そのため、自分と同じく年中無休で会社と仕事に夢中な人間の評価が高く、定時に帰る、残業を嫌がる社員は、やる気がない、会社に貢献しない、等々の不満を口にするようになるのです。それは根本的に間違っています。身内だけで通用する論理です。

3.残業は優秀な人材を流出させる

残業が多い会社は、仕事に間接的に役立つ人間関係づくりや相対的な視点を獲得することや、何よりも優秀な女性社員を流出させてしまいます。優秀な女性社員でも、結婚・出産・育児のため残業が困難であれば、職場を辞めざるを得ないからです。また、資格試験勉強ができずに辞めていかなければならないのも同一の理由です。一生懸命資格取得の勉強をする人ほど貴重な人材ではないでしょうか?顧客の都合の打ち合わせ、会議等のやむ終えない理由がない限り、残業をなくすことが、企業の生産性を高め、付加価値をつける第一歩なのです。


経理は煙たがられてなんぼ!

管首相の就任演説で、官房長官は「煙たい存在がいい」という趣旨の発言をされました。

単なるYESマンではなく、時には厳しい助言をしてくれる人の大切さを会社の経営者も理解してほしいもので、経理担当者は、月次決算書はもちろんのこと、部門別、支店別、現場別、店舗別、個人別等々の予算・実績差異分析、予想実績推移…等々の今後の経営の意思決定に役立つ経理情報を発信することが一番大事な仕事です。現在多くの会社は厳しい状況にあります。こんな時こそ、経営者は経理担当者に経営上の危険信号、何が問題なのか、今会社を取り巻く状況の中で何が起こっているのかを聞きたいのです。たとえば、事業年度最初に各店舗等で、売上予算が作成されます。ただ単に前年度105%アップという月次予算では、実績と対比してもあまり意味がありません。まず、年間営業日予定表を作成し、月間営業日数を確定し、営業日数×目標客単価×席数×回転率、さらに単価の大きく違う、ランチと夜に区分して、毎日の予算、月次売上計画をち密に作成することが基本と言えます。

このような月次予算を作成し、実績、営業結果と比較することによって、会社の経営上の問題が浮かび上がってくるからです。それに、予算に対して90%しか達成しなかった場合、単に10%売上減少ではなく、営業日数、客単価、客数、何が原因であったのかの分析ができます。経営上の判断として、客単価を上げるのか、客数を増やすのか、営業日数を増やすのか、逆に営業日数を減らす、昼のランチをやめる、客単価を上げた方がいいのであれば、メニュー、品質等を上げるのか、色々な検討課題、問題意識、マーケッティング、社員教育…等々の問題点が浮かび上がってきます。

経理の本来の役割は、お金という血液の流れを正確につかみ、会社が現在どのような状況になっているかを正しく経営陣に迅速に告知し、経営のかじ取り資料を作成することにあります。わが社には何が問題なのか?それさえ判れば、問題解決はそう難しくはありません。一番ダメな経理担当者は、経営陣に迎合し、真実の数字を曲げ、事実を隠ぺいし、誤った経理情報を発信し、会社を倒産に導くことへの無自覚な人間です。

「良薬は口に苦し」経営陣に煙たがられる程度の経理担当者は御社の宝です。 また、そのような苦言を理解できる経営者でありたいものです。


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