●今月の特集
助成金とは 助成金とは一般的に、厚生労働省所管で取り扱っている支援金のことで、国・地方自治体が管轄する返済不要のお金です。 厚生労働省(その外郭団体)が支給する助成金は、賃金の補助や教育訓練の資金の補助、福利厚生の充実を図るための支援を目的としております。 助成金の財源 ◆労働保険料から賄われる ◆労働保険料のうち雇用保険料の2事業分の保険料 雇用保険料率(平成22年度)
保険料はいくら? 例えば、従業員5名で1人あたりの年収が240万円の会社ですと、助成金の財源となる2事業分保険料は…240万円×5人×3.5÷1千=4万2千円 この会社がハローワークで求人を出して、トライアル雇用で1名採用した場合…4万円×3カ月=12万円 が受給できます。 助成金をもらえる会社とは ◆雇用保険の適用事業主 ◆労働保険料の滞納がないこと ◆労働者名簿・賃金台帳・出勤簿・就業規則など法律で定められている帳簿類を揃えていること ◆事前に計画の作成・提出を行っていることなど ◆従業員(雇用保険に加入している従業員)を会社の都合で解雇していないこと(ただし、助成金の対象となる従業員はもとより、助成金の対象とならない従業員を解雇していないこと。) 助成金をもらえない会社とは? ◆雇用保険に加入をしていない ◆労働保険料(税金)の滞納がある ◆法定の帳簿に不備がある・作成していない ◆会社都合の解雇がある ◆その他過去3年以内に不正受給をしたことがある 中小企業の規模について
ここで代表的な助成金をシーン別に整理してみました。 1.新しく人を雇うとき ・実習型雇用助成金 ・試行雇用奨励金 ・若年者等正規雇用化特別奨励金 ・特定就職困難者雇用開発助成金 ・高年齢者雇用開発特別奨励金 ・介護未経験者確保等助成金 2.新規事業を立ち上げる時 ・中小企業基盤人材確保助成金 ・受給資格者創業支援助成金 3.育児休業をする従業員が初めて出たら(両立支援関連) ・中小企業子育て支援助成金 ・両立支援レベルアップ助成金 4.パートアルバイトを社員に転換する時 ・中小企業雇用安定化奨励金 5.従業員に休業手当を払うとき ・中小企業緊急雇用安定化助成金 6.研修をするとき ・キャリア形成助成金 7.その他 ・高年齢者等共同就業機会創出助成金 ・介護基盤人材確保助成金 ・派遣労働者雇用安定化特別奨励金 ・東京都中小企業両立支援推進助成金 以上のように、助成金は50種類以上もあり、会社経営をしていく上で活用するのとしないのとでは、歴然と差が出ます。助成金を上手に活用すれば、劇的に会社環境、会社経営が変化します。また、重ね重ね申し上げますが助成金は返済不要です。従って、経理処理は、未収入金/雑収入となります。収入計上時期は入金日ではなく、支給決定通知日とされています。 では、上記助成金のうち活用事例の多いものについて詳細に見ていきましょう。 1.新しく人を雇うとき 1.「実習型雇用助成金」 ●内容 緊急人材育成支援による職業訓練を終了後1ヶ月以上経過し、かつ希望する職種に関する職務経験のない者をハローワークの紹介により採用します。採用した対象労者にOJTとOFF・JTにより教育訓練(実習型雇用期間最大6カ月)をし、正規雇用へつなげていく事業主に対し助成されます。 ●金額 実習型雇用期間 10万円/1ヶ月 最大60万円 実習型雇用期間後 6カ月経過後に50万円×2回 ●助成金の対象となる事業主 1.ハローワークで実習型雇用を受け入れるための求人登録(ハローワークに求人票を掲載する)をしていること 2.受け入れる求職者を実習型雇用として雇い入れることを前提としている事業主であること 3.企業規模や業種等の要件はなし 4.派遣求人や請負は対象外 〜助成金手続きの流れ〜 実習型雇用の求人をハローワークで登録する ↓ 面接・採用(紹介状に実習型雇用併用と赤字で印字) ↓ 実習型雇用期間(最長6カ月の有期雇用契約OJTとOFF・JT) ↓ 常用雇用へ移行(実習期間の助成金申請6カ月分で60万円) ↓ 定着(6カ月経過ごとに50万円で計100万円) 2.「試行雇用奨励金」 ●内容 ハローワークにトライアル雇用の求人を登録し、ハローワークの紹介により、左記の対象者を採用し、短期間(原則3カ月)、トライアルで雇入れます。その間に適性を見極めて、本採用するかどうかを決めていきます。 ●金額 トライアル雇用期間 4万円/1ヶ月 3カ月で12万円 ●対象となる労働者 1.45歳以上の中高齢者 2.40歳未満の若年者 3.母子家庭の母等 4.障害者 2.新規事業を立ち上げる時 「中小企業基盤人材確保助成金」 ●内容 創業・異業種進出に伴って、会社の中核となる従業員を雇い入れた場合に助成されます。 ●金額 140万円/人 1企業5人まで 最大700万円2回に分けて支給 ●中核となる従業員 1.年収350万円以上であること 2.専門的な知識・技術を有する人又は、部下を指導・監督する係長相当職以上 ●受給要件 1.実施計画書提出後、1年以内に基盤となる人材を雇うこと 2.事業のための設備・施設・備品等に250万円以上を支出すること 3.基盤となる従業員の年収が350万円以上であること 3.育児休業をする従業員が初めて出たら 「中小企業子育て支援助成金」 ●受給要件 1.常時雇用する労働者が100人以下であること 2.次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、あらかじめ労働局へ届け出ていること 3.育児休業をする従業員は、子供の出生前1年以上継続して雇用されていること 4.育児休業終了後、1年以上継続して雇用されていること 4.従業員に休業手当を支払うとき 「中小企業緊急雇用安定助成金」 ●内容 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練又は出向をさせた場合に、休業、教育訓練又は出向に係る手当若しくは賃金等の一部を助成します。 ●金額 1.休業 休業手当相当額の4/5(上限あり) 支給限度日数:3年間で300日 (休業及び教育訓練) 2.教育訓練 賃金相当額の4/5(上限あり) 左記の金額に1人1日6,000円を加算 ●受給要件 1.売上高又は生産量の最近3か月間の月平均値がその直前3か月又は前年同期に比べ5%減少していること(ただし直近の決算等の経常損益が赤字であれば5%未満の減少でも可能です。) 2.売上高又は生産量の最近3か月間の月平均値が前々年同期に比べ10%以上減少していることに加え、直近の決算等の経常損益が赤字であること(ただし、対象期間の初日が平成21年12月2日から平成22年12月1日までの間にあるものに限られます。) 3.休業等を実施する場合は、従業員の全一日の休業または事業所全員一斉の短時間休業を行うこと(平成21年2月6日から当面の期間にあたっては、当該事業所における対象被保険者等毎に1時間以上行われる休業《特例短時間休業》についても助成の対象となります。) 4.出向を実施する場合は、3ヶ月以上1年以内の出向を行うこと 5.研修をするとき 「キャリア形成助成金」 ●内容 社員のキャリア形成をするために、年間計画を策定し教育訓練の実施を行う場合支給されます。 ●金額 1.専門的な訓練を実施する場合 訓練経費の1/3 と、訓練時間の賃金の1/3 2.自発的な職業能力開発の支援をした場合 能力開発にかかる経費の1/2と、休暇中の訓練時間に応じた賃金の 1/2(大企業は1/3) 助成金を申請しようと思ったら ・無料で受給判定をしてくれるサイトを利用しましょう。 ・ハローワークで配布される助成金の冊子を手に入れましょう。 ・専門家に相談しましょう。 ・助成金の種類によって取り扱う機関が異なりますが、まずは管轄のハローワークで相談しましょう。 助成金受給の注意点 ・給付金を受けた事業主は、会計検査院が行う検査の対象となります。 ・不正受給が発覚した場合、既に受給しているものについては返還となり、その後3年間は受給できません。
会社で経理業務に携わっている方や、ご自分で経理をされている経営者の方から、日々の経理処理において、「この取引にはどの勘定科目を使えば良いのか?」と悩まれることが多いというお話をよくお聞きします。 そこで今回は、法人の販売費及び一般管理費の中でも、普段から判断に迷うことの多い勘定科目に的を絞って、勘定科目別にその内容と注意点について、会計・税務の面からご紹介いたします。 ●外注費 外注費とは、会社の業務の一部を外部に委託することにより発生する費用などをいいます。 ●注意点 外注費か給与かについては、よく問題になるので注意が必要です。この場合は形式ではなく、客観的な取引の実体によって判断がされます。判断基準の一例として、指揮監督を受けるのか、他人との代替が容易にできるか、道具等の負担者、請求書の有無などがありますので、慎重な判断が必要になります。 また、外注費の支払先が個人事業者である場合は、依頼した業務の内容によって源泉徴収の必要が出てきます。源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲には次のようなものがあります。 ◇原稿料や講演料など ◇弁護士、公認会計士、司法書士など、 特定の資格を持つ人に支払う報酬・料金 ◇プロ野球選手、プロサッカーの選手、 プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金 ◇芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金 ◇ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバン ケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金 他 ●役員報酬 役員報酬とは、会社の取締役、監査役などの役員に対して、一定の支給基準によって規則的に支給される費用をいいます。 ●注意点 平成18年度の税制改正により、税法上、役員報酬は【定期同額給与・事前確定届出給与・利益連動給与】の三種類に該当しないものは損金不算入となっております。 「定期同額給与」 支給時期が1ヶ月以下の一定期間ごとで、その事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与です。 「事前確定届出給与」 所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で、一定の提出期限までに所定の事項を記載した書類を、納税地の所轄税務署長に届出している給与です。 「利益連動給与」 同族会社に該当しない内国法人が、業務執行役員に対して支給する利益連動給与で一定の要件を満たす給与です。 よって、期中において業績の変動により役員報酬の額を変えることはできませんので、ご注意ください。ただし、外部からの強い要請等の、経営の状況の著しい悪化に類する理由(業績悪化改定事由)がある場合は減額することが出来ます。 また、前述の三種類の給与に該当していても、不相当に高額な部分の金額については、損金に算入されないとされているので注意が必要です。 ●福利厚生費 福利厚生費とは、従業員の健康、衛生、生活、慰安、冠婚葬祭などの福利厚生のために支出する費用をいいます。 ●注意点 福利厚生費は会社が従業員の為に支出した費用であっても、一定の限度額を超過したものや、特定の従業員を対象としたものは現物給与(源泉所得税が課税されます)として扱われますし、忘年会などについては、取引先等が参加していれば接待交際費となり、従業員のみの場合も、一次会の費用は福利厚生費ですが、二次会以降の費用は接待交際費となります。それでは、福利厚生費として認められる要件について、いくつかご紹介します。 「慰安旅行費用」 旅行期間が4泊5日以内(海外旅行の場合は、目的地の滞在日数による)で、参加する従業員が全体の50%以上であること。 「昼食代の補助」 会社負担額は月額3,500円を限度とし、食事代の半額以上を従業員が負担すること。 「従業員社宅の費用」 従業員から徴収する賃貸料が… 1.(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2% 2.12円×(その建物の総床面積(平方メートル)÷3.3(平方メートル)) 3.(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%、の合計額の50%以上であること。 「健康診断費用」 全ての従業員または一定の年齢以上の者を対象として、一般に実施される程度であること。 ●交際費 交際費とは、得意先、仕入先その他事業に関係ある者に対して、営業上必要な接待、供応、慰安、贈答、その他これに類似する行為のために支出した費用をいいます。 ●注意点 交際費は、資本金1億円以下の会社については、支出額が600万円以下の場合は支出額の90%が損金算入となります。資本金1億円超の会社については、全額が損金不算入です。ただし、平成22年度の税制改正により、大法人(資本金の額が5億円以上)の100%子会社である中小法人(資本金の額が1億円以下)についても、全額損金不算入となりましたのでご注意ください。 また、平成18年度の税制改正以降、社外の取引先等との接待場所毎における1人当たり5,000円以下の飲食費は、交際費の範囲から除かれて、すべて損金とされることになりました。 ただし、5,000円以下の飲食代でも、社内飲食費やゴルフ接待等の飲食費部分のみを抜き出すなどは認められませんし、飲食等のあった年月日、得意先等の氏名又は名称及びその関係、参加者の人数、費用の金額並びにその飲食店等の名称及びその所在地を記載した書類を保存しなければいけないなど、適用するためには細かい要件があります。 ●広告宣伝費 広告宣伝費とは、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図して支出した費用をいいます。 ●注意点 広告宣伝費は、不特定多数の者を相手として支出されたものであれば、それが接待のために支出されたものであっても、広告宣伝費となります。しかし、その相手が特定されているものは、交際費になるので注意が必要です。 また、広告宣伝費という名目で支出されたものであっても、翌期以降の収益に対応するものであれば、当期の損金とはならず、前払費用にしなければなりません。ただし、1年以内に費用化されるようなものについては支出時に損金算入することができます。 ●消耗品費 消耗品費とは、使用することで消耗や摩耗したりする、事務用品や少額の工具備品などの購入費用をいいます。 ●注意点 工具、器具、備品のうち、取得価額が10万円未満のもの、耐用年数が1年未満のものについては消耗品費として処理できますが、10万円以上のものについては注意が必要です。 原則として10万円以上の減価償却資産(建物、車両、工具器具備品など)を購入した場合には、資産計上するのですが、取得価額が20万円未満のものについては一括償却資産として3年間で償却する方法も認められています。また、中小企業者等であれば、取得価額が30万円未満の減価償却資産については購入した期に全額損金にすることが出来ます。(一事業年度300万円を限度として) ●修繕費 修繕費とは、会社が保有する有形固定資産を維持管理するための、修理、保守、メンテナンス等の費用をいいます。 ●注意点 修繕費は、その支出が資本的支出(資産の使用可能期間の延長や、価値や価額を増加させる部分の支出)かどうかに注意が必要です。次の基準を満たす支出については、修繕費となります。 ・おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良などであるとき、又は一つの修理、改良などの金額が20万円未満のとき。 ・一つの修理、改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費か不明の金額がある場合で、その資産の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下であるとき、又は一つの修理、改良などの金額が60万円未満のとき。
国税庁発表の「平成20年分民間給与実態統計調査結果」によると、サラリーマンの平均年収は13年連続減少の前年比1.7パーセント減で、430万円という数字が発表されました。 これをさらに詳細にみてみますと、 1.男女別 ●男性 2,782万人 前年比1.8%減 9.7万円減の533万円 ○女性 1,806万人 前年比0.1%減 2千円減少の271万円 となっています。 え!特に男の人は「こんなにもらっていない」と思った人も多いのではないでしょうか。 これをより詳細にみていきますと、 2.事業所規模別 従業員10名未満 ●男性 432万円 ○女性 239万円 5千人以上の大企業 ●男性 718万円 ○女性 268万円 3.企業規模別 資本金2千万円未満 ●男性 465万円 ○女性 248万円 資本金10億円以上の大企業 ●男性 725万円 ○女性 310万円 となっています。中小零細企業の給与水準と大企業では、男性で、1.6倍、女性では1.25倍格差があります。また、給与のうち賞与の占める割合は、19.3パーセントであり、2の中小企業の平均給与から推定すれば、男性の年間賞与83万円・女性46万円です。夏冬同額とすれば中小企業の給与の平均像は、男性月給29万円、賞与年2回41.5万円です。女性月給16万円、賞与年2回23万円となります。女性の場合、パートの方も多いでしょうから、正社員像とはズレがあるように思えます。 景気は順調に回復している、という見方もありますが、その実感は庶民には感じられません。それはこの平均年収の数字を見ると、もっと分かりやすいのではないでしょうか。実は、サラリーマンの平均年収の減少が始まったのは、消費税が3パーセントから5パーセントにアップした年の翌年(1998年)からという興味深い事実があるのです。その中でも、消費税アップの影響がもっとも顕著に出た同年は庶民の購買意欲が低下し、さらなる不況に陥った年でもありました。不況になった時、企業がまず最初に考えることは人件費の削減です。つまり給与を下げるということです。給与が下がると消費はさらに抑えられ、その結果、景気はもっと悪化します。すると企業は、また給与を下げて人件費を圧縮するようになるのです。この悪循環が起こり、平均年収が減少し続けるという事態になったわけです。 また国税庁の同じ統計によると、男女の格差も相変わらず大きいことが分かります。年齢が20〜24歳では、男性275万円、女性236万円で、その差は約40万円です。ところが、女性の平均年収は30〜34歳でピークを迎えて300万円にとどまっています。同じ年齢層で男性は462万円という数字が出ており、この時点で男性のほうが162万円も多いことになります。そして、男性のほうは50〜54歳で年収666万円のピークを迎えますが、同じ年齢の女性は275万円で、実に400万円近い格差が生まれています。これらの数字を見ると、まだまだ景気が好転する見通しはなさそうで、つい悲観的になりがちですが、いずれにしても、長引く不況と平均年収の低下の悪循環が、どこかで止まってくれることを祈るしかありません。 平均給与中央値の推移 平成10年を基準とした場合の推移
1年を通じて勤務した給与所得者に関して
社会保険料や所得税の負担が重くなっていることも気がかりです。サラリーマンの所得は減少しますし、源泉徴収される所得税の負担や社会保険料の負担が重くなっていれば可処分所得は減り、景気の実感が湧かないのは当然のことですね。 |
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