会計事務所と顧問先をむすぶCLUE 第142号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『決算書は経営情報の宝庫だ!!』
 経営・税務・・・ 『平成22年税制改正は今までとココが違う!!』
 経理・財務・・・ 『儲かっている会社の秘密』





 今月の特集

決算書は経営情報の宝庫だ!!

決算書は税務署のために作成するのではない!

経理担当者にとって決算は1年に1度の大変な作業です。そのため、決算書ができるとそこで全ての仕事が終わったかのように錯覚する人がいます。利益が出て儲かったか儲かっていないかの一点で一喜一憂し、税金の支払額に驚き、慌てて資金繰りを心配するという話をよく聞きます。もちろん決算書をつくる目的のひとつに、利益の把握と税金計算があるのは事実です。ただ残念なのは、経理担当者の多くが決算書を単に利益の把握と税金計算のためだけと考え、そこで仕事を終わらせてしまっていることです。決算が終わって、利益や税金の支払額に一喜一憂することは、ちょうど自分の健康診断が終わった後に一喜一憂するのと同じです。健康診断は、体重や身長を測ることが目的ではありません。病気の兆候を検査し、尿や血液を採取し、体に異常がないかを調べることが目的です。

決算書でも同じことが言えます。決算書は会社の損益を計算し、税金の支払額を計算することが目的ではありません。決算書は、経営上の問題点を知る宝庫なのです。


会社の経営状態を検査し、経営状態に異常がないかどうかを探るのが本当の目的です。異常が見つかれば原因を探り、経営危機の兆候があれば早めに手当てをする。それが、決算書の本来の役割なのです。

では、経営の問題点というのは、決算書のどんなところに現われるのでしょうか。それを知るには、決算書を見るべきポイントを押さえておくことがとても重要です。


1)損益計算書の見るべきポイント

損益計算書の見るべきポイント

損益計算書で言うなら、お尻から追いかけて行った方がいいかもしれません。当期純利益から法人税等を差し引く前の利益が、税引前当期純利益です。


ただ、当期純利益や税引前当期純利益だけを見ていては、経営の問題点ははっきりしてきません。

当期純利益や税引前当期純利益には固定資産の売却益などの臨時的に発生した損益も含まれてしまうからです。税引前当期純利益の上の方に、経常利益という項目があります。

経常利益とは「毎期繰り返す事業活動の結果の利益」です。本業の儲けと受取利息や支払利息といった財務活動などの損益を含めた結果です。金融機関や外部の人があなたの会社を評価するには、まず経常利益を見ます。会社の健康診断をする上でも、この経常利益がとても大事な数字となります。


注意しなくてはいけないのが、当期利益が黒字でも、経常利益が赤字、もしくは、利益がほとんど出ていない会社です。つまり、本業以外の臨時的な収益で黒字になっていることを意味します。臨時的な収益がなくなれば、たちまち会社に経営危機が訪れます。当期利益が黒字でも、喜んではいられません。これとは逆に、当期純利益が赤字でも経常利益が黒字になっている会社があります。経営再建中の会社によくある傾向です。稼働率の悪い設備を廃棄処分して、より効率の良い経営を目指していくような事例であれば、当期純利益が赤字でも、来期以降に期待が出来ます。単に当期純利益が赤字か黒字かで判断すると、問題の本質が見えなくなるという好例です。

経常利益の上にあるのが、営業利益です。営業利益とは、会社が本業で得た利益のことです。注意しなくてはいけないのが、経常利益は黒字でも、営業利益が赤字だという会社です。

この場合、本業の赤字を雑収入などの収益で補填していることを意味します。本業が不振になっている原因を探らないと、いずれ経営危機が訪れます。

これとは逆に、経常利益は赤字でも、営業利益が黒字だという会社もあります。金利負担が重すぎることが主な原因です。とはいえ、本業は儲かっているのですから手のほどこしようはあります。粘り強く金融機関と交渉し、理解を得ながら本業に邁進していくことです。そして、最後に売上総利益があります。これは俗にいう「粗利益(あらりえき)」と呼ばれるものです。製品・商品の売上高から、その製造・仕入にかかった費用を差し引いた本業で得た利益の骨格部分です。

本業による利益の骨格部分ですから、ここを伸ばしていかないと儲かる会社にはなりません。

以上の事から「お尻の方から見ていく」という意味がお分かりいただけたでしょうか。

損益計算書の当期純利益だけを見ていると、木を見て森を見ずということになってしまいかねないのです。


損益計算書で重要なポイント

1.粗利率(売上総利益率)・原価率

まず最初に押さえておくべきことは、自社の粗利率(売上総利益率)・原価率です。自分の会社の粗利率・原価率はいくらか、それは同業他社に比して高いのか、低いのか、前年度と比較して良くなっているのか、等々の検証・分析です。 中小企業では付加価値=売上総利益とも言えますので、社員の創意工夫の成果を図る大事な指標と言えます。

売上総利益÷売上高×100=売上総利益率
原価÷売上高×100=原価率
原価率+売上総利益率=100%



2.経常利益率

これは、突発的なことがない場合の会社の事業全体での儲けの割合をみる指標です。

最低2%は確保しないといけません。

経常利益÷売上高×100=経常利益率


3.1人当たりの売上総利益額

売上総利益÷社員=1人当たりの売上総利益額

※パート・アルバイトについては、年間パート等支払総額÷社員平均支払額で社員数に換算します。


地域・業種にもよりますが、1人当たりの売上総利益が800万円を切ったら要注意です。800万円の売上総利益から家賃等の経費と人件費を支払うのですから、人件費が50%としても、400万円しか予算がありません。

間違った経営者や社員は400万円が全額給与とよく勘違いしますが、人件費は、給与+賞与+退職金+社会保険料の会社負担分+労働保険料+通勤費等がすべて含まれます。

400万円のうち社員が給与で貰えるのは良くて300万円です。賞与夏冬1カ月としても、月の給与は21万円が平均給与となります。これでは良い人材も、集まりようがありません。1人当たりの売上総利益は1千万円が必要と理解していただけましたでしょうか?それには売上総利益を上げるか、社員を減らすかの選択が問われます。


4.経費額上位3つが75%以内に収まっているか否か

業種によって異なりますが、経費の上位3つの科目の合計が75%以内かどうかを検証してください。

例えば、飲食・小売であれば、原価率+人件費率+地代家賃率の3つの比の合計が75%以内であれば、おおむね経常利益が2%前後で黒字経営が可能です。原価率30%、地代家賃10%、人件費率35%という具合です。自社の原価率と人件費率が予測できれば、地代家賃にかけられる比率も決まり、店舗出店計画の是非の判断材料にもなります。10%が精いっぱいの地代家賃率であれば、地代家賃の10倍の売上が可能か否かが出店是非の判断となります。


2)貸借対照表の見るべきポイント

貸借対照表

せっかく作った決算書で、利益や税金の支払額に一気一憂している人に共通するのが、貸借対照表をほとんど見ていないということです。これでは、経営の問題点を知ることは出来ません。貸借対照表というのは、見る人の立場によって、見る目的によってポイントが違ってきます。


損益計算書は、会社内部の人間から見ても、金融機関や外部の人にとっても、経常利益が最も重要なポイントになります。

ところが、貸借対照表はちょっと違います。金融機関や外部の人は、貸借対照表の資本の部を見ます。ここがプラスになっていれば、過去の利益が会社に蓄えられているということを意味するからです。

つまり、金融機関や外部の人が安全な会社かどうかを知る物差しとなるのが資本の部なのです。

逆に、資本の部がマイナスになっている状態のことを債務超過と言います。債務超過になれば、金融機関による新規借入れはほぼ不可能です。

他方で、会社内部の立場から見ると、資本の部よりも大切なポイントがあります。黒字倒産という言葉があるように、会社が倒産するのは、赤字か黒字かという問題よりも、資金が枯渇することが問題なのです。極端な話、債務超過でも直ちに倒産するわけではなく、債務超過にならなくても倒産するところは倒産するのです。


では、会社内部の人間は貸借対照表のどこを押さえておけばいいのでしょうか。それは、売掛金・受取手形などの売上債権・棚卸資産と買掛金・支払手形などの営業債務のバランスを見るということです。売上債権+棚卸資産―営業債務=必要運転資金をきっちりとおさえてください。『利益は出た、しかし、売掛金や在庫が増えて、必要運転資金が前期より大幅に増えた』のでは、資金が枯渇して黒字倒産の危険性が増しています。また、銀行は粉飾決算の可能性を疑います。

営業債権、棚卸資産、営業債務は粗利益に直結する科目です。つまり、本業による利益の骨格部分ですから、バランスが崩れると会社はすぐに傾いてしまうのです。そして、当たり前すぎることですが、現預金残高もおさえておくべきです。現預金残高が不足していれば、会社は倒産です。

営業債権、棚卸資産、営業債務、そして現預金残高、これだけは、必ずおさえてください。

以下は、貸借対照表の分析においての重要なポイントですので、是非ご覧下さい。


貸借対照表の分析の重要なポイント

1.自己資本比率…資本の部÷(資本の部+負債の部)

自己資本比率とは、自己資本=資本の部が資産の部のどれぐらいを占めているかを見る指標です。自己資本が大きければ大きいほど、他人の資本に頼らずに経営ができるのですから、経営が安定している会社、倒産しにくい会社と言えます。

<改善ポイント>
1.資産の部の圧縮…売掛金の早期回収・在庫の圧縮等。
2.資本の部の増強…資本金の増資・役員借入金の資組み入れ。
3.税引き後利益の確保。


2.固定長期適合率…固定資産÷([資本の部]+[固定負債])×100

長期資本(自己資本と長期借入金の合計) が、どの程度固定資産に投下されているかを表します。長期資本の固定化の程度を示す比率です。100%以下なら健全です。

<改善ポイント>
1.固定資産の圧縮…不要資産の処分・土地の流動化。
2.資本の増強…同上。


3.当座比率…([現金・預金]+[受取債権])÷[流動負債計]×100

短期的負債と、それをすぐに返却することが可能な原資である当座資産(現預金と売掛金等)との関係を表します。この比率が大きいほど、返済能力が高くなります。理想値は120%で、100%以下だと要注意企業だと評価されます。

<改善ポイント>
1.流動負債の圧縮…短期借入金を銀行と交渉し、長期返済に変更してもらう。役員短期借入金の長期借入金への振り替え。
2.当座資産の増強…在庫の圧縮、処分を通じて現預金と売掛金の確保。


4.債務償還返済年数…有利子借入金÷(減価償却費+税引き後利益)

銀行の最重要審査基準です。短期借入金や長期借入金、社債等を利益等で何年で返済できるかという指標です。もちろん短いほど評価は高くなり、10年超の会社は要注意先と言えます。

<改善ポイント>
1.借入金の圧縮…在庫圧縮、売掛金の早期回収等で借入金の返済を進める。
2.利益の拡大…新たな設備投資の抑制・利益率の向上、経費のコストカットを図り利益を拡大させる。


5.借入金月商比率…借入金÷(売上高÷12)

借入金が月商の何カ月間かを確認して借入金額の限度を確認する指標です。一般的には3カ月以内であれば問題がないとされます。ただし、必要運転資金(売掛金+在庫−買掛金)の多い会社や現預金残高の多い会社はそれを考慮する必要があります。


人間の健康診断で言えば、健康診断結果表のように会社の健康状態も年1回は確認してください。ただし、ここで注意しないといけないことがあります。それは、あまりに細か過ぎる分析結果は活用しにくいということです。ここで取り上げた経営数値程度は経営者、経理担当者の方々は毎期決算期にはおさえておいて頂きたいものです。

より詳細な決算書分析については、顧問の会計事務所にお尋ねください。





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平成22年税制改正は今までとココが違う!!

民主党が昨年9月に政権交代後、初めての予算が成立しました。
『コンクリートから人へ』を掲げて選挙を戦い政権奪取した民主党が出した予算は、一体どのようなものなのでしょうか。
そこで今回は、みなさんに関係のありそうな税制改正についてお話をします。法人の場合にはどこが変わったのか、個人の場合にはどこが変わったのか。税金の負担が増えるのか減るのか興味があるところです。

では、実際に見ていきましょう。

(1)法人の場合

1.いわゆる「一人オーナー会社課税制度廃止」

この制度は「特殊支配同族会社の役員給与損金不算入」と呼ばれ、同族会社について役員給与の一部を経費にすることが出来ないという制度でした。この制度は平成18年4月1日以後に開始する事業年度から適用されていましたが、それが今回の税制改正によって廃止されます。

制度上様々な問題点もあり、特に中小企業にとっては頭を悩ませる制度でした。この制度は平成22年4月1日以後開始事業年度から廃止されます。


2.大法人の100%子会社に対する中小企業向け特例措置の適用の見直し

大法人(資本金の額が5億円以上)の100%子会社である中小法人(資本金の額が1億円以下)について、特例措置を適用しないこととなります。

(中小企業向け特例措置)
・軽減税率
・特定同族会社の特別税率の不適用 (留保金課税)
・貸倒引当金の法定繰入率
・交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
・欠損金の繰戻による還付制度

今までは自分の会社の資本金で特例措置の適用の有無の判定を行っていましたが、これからは自分の会社に加え親会社の資本金の規模も判定基準となります。


3.交際費等の課税の特例の延長

資本金1億円以下の法人においては、600万円(定額控除限度額)まで、支出額の90%相当額を経費にすることが出来ます。適用期間は、平成24年3月31日までに開始する事業年度までに延長されました。


4.中小企業者の少額減価償却資産の損金算入の特例の延長

中小企業者で青色申告書を提出している法人が、30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、その取得価額が300万円に達するまでの金額を、全額経費にすることができます。適用期間は、平成24年3月31日までに開始する事業年度まで、延長されました。


(2)個人の場合

1.「扶養控除」等の見直し

「所得控除から手当へ」の観点等から以下のような扶養控除の見直しが行われました。

       (注1)扶養親族のうち16歳未満の者
       (注2)扶養親族のうち16歳以上19歳未満の者
       (注3)扶養親族のうち19歳以上23歳未満の者

16歳未満の者については、「扶養控除」が廃止された代わりに「子ども手当」が支給されます。16歳以上19歳未満の者については38万円(33万円)の扶養控除は廃止せず、上乗せの25万円(12万円)部分を廃止し、その代わりに、高校無償化をしました。


2.「生命保険料控除」改組

平成24年1月1日以後に締結した保険契約等(新契約)のうち、介護保障又は医療保障を内容とする保険料については、現行の一般生命保険料控除、個人年金保険料控除とは別枠で適用限度4万円の所得控除が創設されます。

その際、新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の所得控除限度額はそれぞれ4万円になります。これにより、控除の合計適用限度額は現行の10万円から12万円に引き上がります。


3.少額上場株式等の配当所得及び譲渡所得の非課税措置

個人の株式市場への参加を促進する観点から、平成24年から実施される上場株式等に係る税率20%本則化にあわせて、以下の要件を満たす上場株式等の配当所得及び譲渡所得については非課税となります。

●適用要件
○満20歳以上の居住者
○非課税口座の開設(1人につき1年1口座、毎年異なる金融機関に口座開設可能)
○1口座100万円の投資金額が上限(最大平成24年から平成26年までの3年間で3口座を開設し100万円×3年間=300万円まで)
○保有期間は平成24年から平成26年までの間に開設した口座につき開設から10年間
○非課税対象は、非課税口座内の少額上場株式等の配当及び譲渡益
○口座開設期間は、平成24年から平成26年まで

平成24年から平成26年までの間に非課税口座を開設し、その口座内での上場株式等の配当や譲渡益については、1口座につき100万円までの投資であれば非課税となります。


4.住宅取得資金の贈与に係る贈与税の特例措置の拡充

住宅取得等資金を直系尊属から贈与を受けた場合の非課税額が引き上げられました。

●非課税枠
現行…500万円
改正…平成22年中の贈与…1,500万円
     平成23年中の贈与…1,000万円

そのため、子供の住宅取得等のために、親が子供に贈与できる非課税額は、
平成21年までは500万円(特例措置)+110万円(贈与税の基礎控除)=610万円
平成22年中は1,500万円(特例措置)+110万円(贈与税の基礎控除)=1,610万円
平成23年までは1,000万円(特例措置)+110万円(贈与税の基礎控除)=1,110万円
となります。
ただし、贈与を受ける子どもの合計所得金額が2,000万円以下に限定されます。


5.小規模宅地等の減額の見直し

小規模宅地等の減額とは、相続税を計算するときに一定の要件を満たせば宅地については、その価格を80%又は50%減額して評価しても良いという規定です。

1億円の土地を相続した場合に2,000万円又は5,000万円で評価して相続税の計算をすることができるというものです。これまでは、被相続人(亡くなった人)が事業又は居住していた宅地を、相続人(相続する人)が相続税の申告期限まで、事業又は居住をしない場合であっても、ある一定面積まで80%又は50%減額することが出来ましたが、これが適用除外となります。

例えば、母親が数年前に亡くなり、今度は父親が亡くなった場合に、父親の住んでいた自宅を結婚して違う場所に既に居住している一人息子が相続し、相続税の申告期限後も父親の自宅に居住する事が無い場合には、今までは50%の評価減を受けられましたが、これからは適用除外となります。

この改正は平成22年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する宅地について適用されています。


6.地方税の見直し

1)たばこ税の引き上げ

1本あたり5円引き上げられます。1箱20本で100円の引き上げとなります。

こちらは、平成22年10月1日から適用されます。


2)自動車関連諸税の見直し

○自動車重量税
環境への負荷を考慮して、経年車(18年超)やCO2排出量によって減税率が変わります。

○燃料課税
暫定税率は廃止されます。その上で地球温暖化対策との関係から当分の間は現在の税率水準を維持し、連続3カ月にわたり、1リットルあたり160円を超えることとなった場合には、上回る部分の税率課税を停止します。


※以上、挙げた税制改正以外にまだまだ多くの改正がありますが、みなさんが直接影響を受ける可能性があり得るものを抜粋させていただきました。





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儲かっている会社の秘密

○明るさと売上は関係するという噂は本当か?

人間誰しも、真っ暗闇よりは明るい場所にいるほうが安心するものです。夜道を歩いていて、つい用もないのに煌々と電気がついているコンビニに吸い寄せられてしまった経験は誰にでもあるはずです。一般に人間が明るいと感じる数値は約500〜1,000ルクスといわれています。1,000ルクスは6畳の部屋で70ワット前後の蛍光灯をつけた場合に相当します。しかし、照らす環境や周囲の明るさでも変化するので、同じ光量でも部屋の中と夜道では照度は異なってきます。 建物の上部のネオン看板、店内には明るい蛍光灯、真っ暗な夜道で人々が照度の高いコンビニに導かれるのは無理もない話です。そして、こうした理屈はコンビニだけでなくスーパーや百貨店の売り場にも当てはまるのです。

ある程度広い売り場面積を誇る店なら、どうにかして客を店の奥深くまで誘導したいところです。それには店の手前から奥に進むにつれ、明るさを増すように照明を取り付けると効果があります。

ここでホームセンターや大型電気店をちょっと思い浮かべてみて下さい。フロアの奥の方は照明器具コーナーだったりしないでしょうか。これは、言うまでもなく照明器具の販売と同時に、客をフロアの奥へと導く役割があるのです。

売り物の照明器具の灯りをすべてつけっぱなしにすることで、フロアは飛躍的に明るくなります。奥行き感も増すうえに、フロア全体の見通しもよくなり、製品がより際立って見えるのです。

とはいえ入口が暗くては客が寄り付きにくくなります。

すなわち理想の店内の明るさとは、人目と主要通路、そしてフロアの奥で1,000ルクスなのです。さらに主力商品やディスプレイステージにスポット照明が当てられていれば、客は安心して買い物ができ、売り上げも伸びる仕組みになります。客からすれば薄暗いフロアを見て歩くより、明るい照明の中で気分よくショッピングしたいものです。

明るさひとつで財布のひもの緩み方も変わってくるのですから、客商売における照明プランは決して疎かにしてはいけないのです。 倒産しかかっている会社の中には、売上が落ちてくると、経費削減と考え、蛍光灯の電球を抜く会社や店舗があります。その結果、暗くて雰囲気の悪い事務所や店舗になり、さらに客足が遠のいてしまいます。

景気が悪く、赤字になったら、まずお客様の満足度に応えるべく、大出血サービス、ボリュームアップ、サービス・品質向上等徹底したお客様満足度の上昇に経営資源を集中すべきであり、チマチマした経費削減は、全くの逆効果しか得られないことに注意しましょう。


○社員の平均年齢、理想は29歳は本当か?

社内での雑談内容が「腰痛」や「成人病」など健康モノや「年金等」の老後の生活設計の話になってきたら、その会社は要注意です。社員に中年のおじさんやおばさんが増えて、それに連なって会社の成長が鈍化しているに違いないからです。場合によっては業績がジリ貧になっていることだってあり得ます。実は、「社員の平均年齢と、会社の成長は反比例する」のです。その理由は、社員の活力と人件費にあります。たとえば社員の平均年齢が20代後半だとすると、一応の経験を積んだ若い社員が多いということになります。年齢的にも仕事がおもしろくなる頃ですから、仕事はもちろん「イケイケ・ドンドン」となり、体力も充分あるため猛烈な働きぶりをみせるでしょう。

また、売り上げを伸ばすために行う新製品開発や、新規事業のプランニングにも過去の経験にとらわれない斬新なアイデアが出てきやすいですし、それを実行する時も過去の失敗を知らない分、結果を恐れずに取り組むことが出来ます。そして、平均年齢が低ければ賃金も安いので、売り上げに占める人件費の比率も少なく抑えることができ、会社はより多い資金を先行投資に回せるようになります。当然、企業には活力が生まれて成長率も高くなるというわけです。 ところが、その反対に社員の平均年齢が高くなると、人件費の占める割合が大きくなるばかりでなく、経験則で動く社員が増えてくるため、仕事のやり方がマンネリ化してしまいます。

さらに、製品開発や新規事業も過去の失敗例ばかりが頭に浮かぶため、大きな失敗がなくなる代わりに、次の新しい売り上げの柱を生み出すような斬新なアイデアは生まれにくくなってしまうのです。 ちなみに、あるコンサルタント会社によれば「企業の平均年齢は30代までが適正」としており、中年のおじさんが社内にたむろしているような会社では将来性を期待できないとさえ指摘しているのです。特に平均年齢の高い会社は、若い人の採用を積極的に行えない理由まで詮索されてしまうため、対外的な印象も良くありません。

ただ、そうはいっても平均年齢が若ければ良いというわけではありません。あまりに若い社員ばかりが多い会社は、職場の管理体制が充分に整っていないとみなされて、社会的な信頼につながらないケースもあり、平均年齢がかえってマイナスになることもあるのです。

おそらく成長する企業には適齢期というのがあるのでしょう。


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