●今月の特集
100年に一度の不況。景気に波があるのは当たり前ですが、経営者の方々にとってこれほど大きな波を経験されるのは初めてかもしれません。バブルを経験された経営者の方々も口ぐちにバブル崩壊の時以上だと言われています。企業経営とは怖いものです。景気の波に左右されない経営、不況が来てもびくともしない経営を目指したいという経営者の理想にどのように近づけたらいいのでしょうか? 「そのうちまた景気が良くなる」と嵐が去るのをじっと待っている経営者も多いでしょうが、この不況をチャンスと考えられている経営者にぜひ取り入れて頂きたいのが、月次決算の実施を含む予算管理・経営会議を導入する経営管理です。月次決算や予算管理、経営会議というと何か面倒な、難しい仕組みを導入することだと考えがちですが、難しいことではありません。要は、企業の経営の収支をきちんと数字で計画し、計画通りに行っているかどうかを毎月定例日に経営陣が集まり、チェックして、目標利益を達成していくことです。「なぁんだ。当たり前のことだ。」と言われる経営者も多いことでしょう。しかし、実際継続して実施されている中小企業はほとんどないのが実情です。 年間の経営計画を立てている企業はあるでしょう。しかし、考えてください。期末になってから、1年の実績を振り返っても遅いのです。過ぎ去った時間は取り返せません。年間経営計画を立て、月次予算化し、毎月決算を行っていれば、実績チェックをリアルタイムで行うことができます。実績が思わしくなければ、その原因を探り、ただちにその原因を取り除く行動を起こすことができます。不況が来てもびくともしない盤石の企業とは、すべての部門・部署・店舗・人材が、計画通りに業務を遂行し、経営目標を達成しているか否かがわかる経営の仕組みになっているのです。そしてその結果、企業全体が毎月、毎年、利益目標をきちんと達成している企業のことです。 経営計画、月次予算と月次決算、予算実績管理のための経営会議の実施は、企業経営の基盤、インフラです。 ■経営会議による予算管理 【経営会議】とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、定義はいたって簡単です。月次予算を作成した会社が、毎月正しい決算を行い、計画が達成されたか否かを予算・実績比較し、経過月実績+未経過月予算に基づき、毎月予想決算、予想・実績資金繰り表等を確認しながら経営を管理していく、という仕組みです。
■損益計画・資金計画の策定 (1)損益計画の立て方 1.売上計画の立て方 予算作成は最初から緻密さを求めるのではなく、手順を追って精度を上げていくのが長続きするコツです。時間をかけて精度の高い予算を作っても、作り疲れで計画を活用せず、計画倒れになってしまっては何もなりません。 一番簡単な売上計画の立て方は『前期実績に何%の増減比率にするか』で作成する方法で、5分もあれば作成できます。 2.原価計画の立て方 売上計画が出来上がれば、原価は予定原価率から作成すれば簡単です。原価率は前年度の実績と目標数値、仕入先動向等を加味しながら作成します。 3.経費計画の立て方 経費計画は、勘定科目別に詳細に立てる方法もありますが、簡単に大きな経費だけを取り出して、その部分だけを詳細に立てる方が実践的です。 例として、人件費・広告宣伝費・修繕費・募集費等が考えられます。人員配置計画、広告宣伝計画や修繕計画、人材募集計画をしっかりと立て、計画的に費用支出することが、可能であり必要だからです。その他の費用は前期実績を考慮して作成すればいいでしょう。 4.部門・支店・店舗別損益計画の作成 損益計画は部門・支店・店舗別に立って、実績を管理して、経過月実績+未経過月予算で決算予測しておくと経営管理が便利です。部門別・店舗別経営計画では、売上・原価・人件費・経費を部門別に作成し、本社部門は共通費として管理します。共通費とは、各店舗に直接使われる経費以外の広告宣伝費や募集費、顧問料、役員報酬、本部経費、支払利息等々があります。本部費、本社費、共通費と名前はいろいろありますが、この本部費を各部門に配賦されている会社もあります。 その場合の配賦基準もいろいろ考えられますが、一般的には部門の売上金額や売上総利益の金額で配賦されています。 より厳密には、共通費科目ごとに配賦基準を変えることが望ましいことは言うまでもありません。 (2)資金計画の立て方 資金計画は下記の手順で立てます。 1. 借入金の返済計画を立てます。月々の返済額の返済表を見ながら簡単に作成できます。 2.売上・仕入代金は、回収・支払サイトの期間で現金入支出する金額を計画してください。 3.設備投資計画があれば、予定金額を支払予定月に計画してください。 (3)損益計画と資金計画の最終調整で経営計画 資金計画で、年間営業収支の金額で年間返済金額、設備投資金額がまかなえるかどうかを検討します。 1.営業収支金額≧年間返済額の場合無借金経営で、お金の心配は全くない。 2.営業収支金額≦年間返済額の場合 対策1 金融機関に必要額を事前に通知し、融資を受ける。 対策2 損益計画を見直し、利益拡大の可能性を追求し、再予算を立てる。 ■毎月決算を実施する 月次決算は、役員会・経営会議等で月次損益を判断するに足る正確性が必要です。そのためには、通常の月次損益での計算等の正確性のみならず、以下の点にも留意する必要があります。 イ.費用の未払計上 (例)未払社会保険料 未払利息 ロ.月割経費の計上 (例) ○支出のない経費
○支出が一括の経費
ハ.月末在庫の計上 (注)このなかで、特に月末在庫の把握は、月次の損益の正確な算定のみならず、在庫管理の適正化のためにも重要です。月末在庫計上方法は段階的に精度アップが必要です。困難な場合、仕入単価の高いもの上位2割からでも始めることです。 ■毎月定例日に経営会議で経営と資金の先行管理をする 1.決算予測を見ながら経営の舵取りを 経過月の実績+未経過月の予算で毎月正確な決算予測を見ながら経営のかじ取りをしていけば、100%黒字経営が可能です。経営会議にはどのような経営管理データが必要とされるのでしょうか? 通常、最低でも以下の経営管理資料が必要とされています。 1.月次試算表・決算書 2.経過月実績+未経過月予算=決算予測 3.実績+予定資金繰り表 4.予算・実績差異分析表 5.予想税額表 その他、部門・店舗別展開されているのであれば、1.部門・店舗別予算・実績差異分析表 2.部門・店舗別経過月実績+未経過月予算による部門・店舗別決算予測が必要です。 2.三大経費をまずしっかり管理する どのような業種でも共通しますが、経営会議で最初に管理すべきは、経費のうち金額が多い上位3つか4つの経費の管理です。原価・人件費・家賃・広告費等です。また、細かい経費に目をやるのではなく大きく3つか4つぐらいの経費の削減にまず手をつけることです。上位の3大経費が75%に収まることが損益分岐点と言われています。 原価30%、人件費35%、家賃10%を目標にされている経営者も多いのではないでしょうか。 ここで貴社の三大経費の推移の年度を追って見られてはいかがでしょう。 多くの会社がそうであるように、この20年の間にバブルもあり、今回の不況もあり、大きな時代の転換期でもあった訳ですが、自分の会社をこのような視点から分析すれば違った見方もできるのではないでしょうか。 (1)原価率の見直し、コストダウンを 図る 経営会議では、原価のコストダウンは調査から始まります。 ●商品の横流し等の不正はないか。 ●同業他社と比べて、原価率が適正か。 ●仕入調達先の合い見積もりを取っているか。安く手に入る方法の模索。 ●売価が適正か。 等々の検討がなされています。 (2)人件費のコントロールをする 人件費が適正かどうか、生産性の調査がまず必要です。売上総利益を社員数で割ってみることです。売上総利益8千万円の会社では、社員{常勤役員を含め}が8人以下であれば、優秀な会社と言えます。1人1千万円の売上総利益があれば、平均人件費500万円前後が可能です。 しかし、10人以上であれば、1人800万円以下の売上総利益しかなく、平均人件費も400万円程度となり、ギリギリの状態ではないでしょうか。もちろん業種や業態、社員の年齢構成、社長の給与水準、男女比との兼ね合いも考慮して判断する必要がありますが、自社の客観的水準を1人あたりいくらの売上総利益があるのかを常に知っておくことは重要です。 また、人件費を変動費化することは重要です。つまりお客さんや仕事の多い時に人を多く配置し、少ない時に必要人数しか置かないという人事配置が必要です。これには過去のデータを取り、分析するべきです。まず月ごとの売上推移・曜日ごとの売上推移・イベント等の売上変動をつかみ、それに応じてアルバイト・パートを適正に配置します。そんな都合のいいアルバイトやパートはいないとおっしゃる経営者もいます。しかし、低い時給で長時間勤務よりも、必要な時だけ短時間勤務で時給を高くした方が、よりアルバイトが集まるのです。 また、経理や総務・業務等で季節変動のある場合、少し高くても、人材派遣を活用することも人件費を変動費化するコツです。営業日報にアルバイト・パートの1時間あたりの売上を記載し、時間売上を算出しておき、ムダな人件費をなくす努力が必要です。 (3)地代家賃の管理 昔から1ヶ月の家賃は3日分の売上が適正と言われていますが、売上の約9%〜10%が丁度これにあたります。月家賃20万円の店舗であれば、月売上最低200万円が必要となります。家賃の10倍を稼げるかどうかが、新規出店の目安となるようです。 広告宣伝費も最近は大きい経費となっています。いくら位広告にお金をかけていいのかと聞かれることが多いですが、まず同業他社の実態をよく調査することです。おおむね売上の2%以内が広告宣伝費の限度といわれています。 3.大きいことはいいことだ 多くの企業経営に参加していればすぐ分かることですが、企業規模が大きく、かつ管理会計と財務会計がしっかりしていて、経営、特に資金の先行管理をしている企業に倒産はありません。当たり前ですが、規模が大きく、先行管理していれば、経営者が打てる手、判断の選択肢が増えるからです。 経営の先行管理を前提に、会社の規模を大きくし、経営判断の多様な選択にする(私はこれを「経営のダム」と呼んでいます)ことが必要です。経営者は、さまざまな顔といざというときの備えを最低3段階もちたいものです。 4.経営会議と成果主義賃金体系で会社は変わる!! 大企業はバブル崩壊後、年功序列、終身雇用制度から成果主義賃金体系へと移行しています。経営会議で予算の達成度を正確につかみ、予算達成度に応じた成果配分をされて、社員の志気が高まった会社が増加しています。 [前提] 1.経理の公開 予算実績数値を毎月公開することです。 2.経営陣の私利私欲、公私混同の排除 3.約束の厳守 経常利益の何割かを社員に還元する仕組みが業績をアップさせます。 経営会議で予測決算、予想資金繰りを眺めながら社員へ快適な労働環境を提供していけば、黒字経 営まちがいなしです。
新たに社会人になる新入社員が入社する季節となりました。 先輩方は新入社員に対して仕事の仕方やビジネスマナー等、教えることが山ほどあることと思います。その中で、ぜひ「給与」についても丁寧に教えてあげてください。 多くの新入社員は、自分が正社員となって給与をもらうことは初めての経験でしょうし、過去のアルバイト等で所得税を天引きされたことがあっても、住民税や社会保険等は、おそらく控除されたことはないでしょう。 ということで、今回は「新入社員に伝えたい給与の話」についてまとめました。 1)入社1年目。貯蓄癖をつけよう。 控除される税金等の話を始める前に、知っておいて欲しいことがあります。それは「貰った給与を貯蓄する」ということです。 入社1年目はお金を貯めるチャンスだということを知っていましたか?何故なら、新入社員は給与として定期的で、かつまとまったお金を貰うのは今までに無かったことだからです。「初任給で親に食事をプレゼント」というあたたかな話があれば別ですが、貰った給与全部が買い物と呑み代に消えてしまうことのないようにしましょう。 もし1年目から浪費癖が付いてしまうと、その後に貯蓄しようと思っても、なかなかその習慣を変えることは難しいものです。貰ったお金をすべて使ってしまい、全く貯蓄がないというのでは社会人として疑問視されてしまいます。 手取りが多いこの入社1年目で、しっかりと貯蓄癖をつけましょう。 2)入社2年目からは手取りが減る? 入社2年目になると、実は大抵の場合、給与の手取り額が減ります。その理由は「住民税」です。住民税は前年の所得によって課される税金だからです。 つまり、通常は入社1年目では住民税はかかりませんが(前年に無収入だったことが前提です。もし一定の所得がある場合には1年目から住民税を払うことになります)、2年目になると、1年目の所得に対して住民税がかかってきます。 住民税の税率は所得に対して一律10%です。意外と高いですよね。なお所得税はその年の所得に対して課税されるので1年目から天引きされることになります。 3)給与の仕組み 新入社員にとって、初任給をもらう日は社会人になった実感が湧く日ではないでしょうか。但し、通帳に振込まれた金額(手取り額)だけをみて一喜一憂するのではなく、給与明細にもしっかりと目を通して、どのような控除項目があり、それらがいくらなのかを理解して欲しいところです。 一般的な給与明細には、基本給や各種手当(時間外手当や資格手当、住宅手当等)のプラス項目が書かれています。この「基本給」は、退職金や賞与の計算の時にも使われます。 またマイナス項目として、雇用保険、健康保険、厚生年金等の社会保険や源泉所得税等が記されています。これらの金額が差し引かれて手取額となるのです。 それぞれの控除項目について、その概要を次に記載します。 1.雇用保険 現在の仕事を退職した場合、次の職に就くための生活資金として支給される保険が失業保険であり、その失業保険をもらうための保険料が雇用保険として天引きされます。雇用保険料は、自分の給与総額(各種手当や交通費等も含む)に保険料率を掛けて算出します。平成21年度の保険料率は一般の事業では千分の11で、これを会社が7割、従業員が4割を負担します。 2. 健康保険 従業員やその扶養家族の疾病、負傷、休業、死亡、分娩等に対して、その治療費の70%を国に負担(つまり自己負担が3割)してもらう代わりに、毎月の給与から保険料が控除されます。一般的に自営業者等は「国民健康保険」に加入し、サラリーマンが「健康保険」に加入することになります。 健康保険料は、標準報酬月額と言われる給与の標準額に保険料率を掛けて計算しますが、その料率は、健康保険の種類によって異なり、協会けんぽ(旧政府管掌保険)の場合、平成22年3月分からは9.32%(東京都)で、これを会社と従業員とが折半します。また40歳から65歳未満までは介護保険料が健康保険料にプラスされ、あわせて控除されることになっています。 なお、協会けんぽの他にも各業界で健康保険組合が存在します(IT健保、税理士会健保等) 3. 厚生年金保険 障害、死亡、老齢等で働けなくなった時に年金を受給できる制度が年金保険制度で、その年金を受給するために厚生年金保険が控除されます。自営業者等は「国民年金」を納付しますが、その「サラリーマン版」と考えてもらえばいいでしょう。 厚生年金保険料も健康保険と同様に標準報酬月額に保険料率をかけて計算します。平成22年度の料率は16.058%で、やはりこれを会社と従業員が折半します。 以前は毎月の給与にかかる保険料率と賞与のそれとが異なったため(賞与の方が低かった)敢えて給与を下げ、かつ賞与を増やす等をして控除額を減らしたりもしましたが、平成15年度より導入された「総報酬制」により、現在は給与も賞与も同率となっています。 社会保険はこの他に労災保険があります。従業員が勤務中に災害を被った場合に会社がそれを保障するもので、この保険料は従業員は負担せず、全額を会社が負担することになっています。 4.所得税 新入社員も既にアルバイト等で天引きされたことがあると思います。所得税は源泉徴収制度という、会社が従業員に変わって納税する制度によって毎月の給与額から控除されます。控除される金額は、総支給額から交通費(月額10万円まで)等の非課税給与と社会保険料を差し引いた額に応じた金額です。 この毎月の給与から天引きされた所得税の1年間の合計額と、その1年間の給与総額について再計算して算出した所得税との差額を、12月の給与支給時に調整して加減算することを「年末調整」といいます。 5. 住民税 会社勤めしている場合には、住民税は所得税と同様に会社が徴収して納付する義務を負っています。また住民税はその年の所得(例えば21年分の所得)に対し、その翌年(平成22年)の6月から分割で給与から控除されます。 4月に入社する新入社員は前年に所得がなければすぐに控除されることはありませんが、翌年からは控除されることになります。 4)就業規則は要チェック 給与とは若干話がずれますが、新入社員は就業規則をしっかりと見ることをおすすめします。就業規則は、労働日や労働時間、賃金、賞与、手当、退職等が定められており、これらは新入社員が1日も早く一人前の社会人となるために知っておくべきことが数多く詰まっています。 給与に関しては、給与等の計算や支払い時期、昇給、手当の支給条件等が書かれています。 これらの項目をしっかりとチェックして、わからないことがあるようなら早めに聞くようにしましょう。何でも聞けるのは新入社員の特権です。
国税庁発表のデータによれば、現在、目本の法人数は225万社であると言われています。そのうちの98.5%は中小企業です。これら中小企業のうち、赤字法人の割合はなんと68.1%にも上ります。 しかし、中小企業の決算書を大企業と同じものさしで測ると、実態を大きく見誤ることがあります。そもそも赤字法人が68%もあるのに、なぜ倒産しないでやっていけるのでしょうか? 赤字法人割合が68.1%と言いましたが、そのなかには毎年1千万以上赤字の会社も多く含まれます。最近10年間でも欠損法人・赤字割合が70%を下回ったことはありません。では、なぜそのような会社は倒産しないで生き延びていられるのでしょうか。過去にそれ以上の利益を蓄積していたのでしょうか。いいえ、そうではありません。会社は赤字では倒産しないのです。反対に黒字であっても倒産することはあります。なぜなら、倒産は資金不足による債務不履行、不渡りによって起こるからです。 赤字でも倒産しない理由は、赤字による資金不足を社長が補填しているからです。 中小企業の大半には役員借入金がありますが、この役員借入金とは、役員(通常は社長)個人が会社に貸し付けたお金です。 では、社長が会社に貸し付けたお金は、いったいどこから調達されてきたのでしょうか。 実は、会社が社長に対して役員報酬として支給したお金が、また役員借入金として会社に戻っているのです。なぜ、そんな面倒なことをするのでしょう。会社が出したお金を会社に戻すのなら、最初から出さなければよいのではないでしょうか。しかし、それには理由があります。 (理由その1) 役員報酬として会社が社長に支給すれば、会社では経費(損金)となります。それに対して、役員借入金として会社が社長から借り入れたお金は、収益(益金)とはなりません。その結果、会社の利益(所得)は役員報酬相当額だけ圧縮され、法人税が滅少します。役員報酬は役員個々人の所得税が課税されますが、親族役員の数を増やし、103万円以下は所得税は0円ですし、税率1割〜2割の範囲で役員報酬を調整すれば、法人税は30%、住民税と合計で40%超となり、所得税の方が、より安いため、会社と社長の合計税額は役員報酬を支給しなかった場合よりも少なくなるわけです。 (理由その2) 役員報酬を支給し、役員借入金として会社にお金を戻す理由は、税金面だけではありません。中小企業では得意先や仕入先から決算書の提出を要求されることはよくあります。中小企業のうち特に下請企業は、いつも得意先からのコストダウン要求と闘っているのです。 得意先に「これ以上値下げされたら食べていけない」と言っておきながら、多額の利益計上をしていては辻棲が合いません。そのため、別に悪いことをして稼いだ利益ではないのですが、下請企業の社長はあまり利益を出すことを好まないのです。 (理由その3) 古くからの社長に多いのですが、欠損・赤字法人には税務調査がないと思っている方がいます。 赤字1千万円、役員報酬2千万円という会社は珍しくはありません。役員報酬を1千万円、法人利益0円の方が税金的には最も少ないと思うのですが、所得税を多く払っても税務署が来るとイヤだという社長も珍しくはありません。 |
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