会計事務所と顧問先をむすぶCLUE 第140号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『豊かな資金繰りが会社を守る』
 経営・税務・・・ 『決算書作成の注意点 税務署は「ココ」に目が光る!!』
 経理・財務・・・ 『知って得する損益分岐点』





 今月の特集

豊かな資金繰りが会社を守る

厳しい経済環境が続いています。これからは、かつてのような高度成長は望めず、低成長あるいは経済の縮小傾向が続くと思われます。このような経済環境の中で経営者や経理担当者にとって、ますます重要性を持ってくるのが「資金繰り対策」ではないでしょうか?

また、金融機関が、かつてのような土地神話に基づく担保主義ではなく、収益力を中心とした返済能力主義という銀行本来の融資姿勢になってきた為、経営者や経理担当者は、今後ますます資金管理、資金繰り表による返済計画の明確化とその実現性、経営管理、資金管理能力が求められます。

今まで資金繰り表を作成したことがない、銀行に提出したことがないという、どんぶり勘定の経営者・企業はいずれ市場から退出を余議なくされるでしょう。

当たり前の話ですが、健全な企業経営とは、損益計画と資金計画を立て、予想・実績資金繰り表を毎月作成した上で資金を借りたり返したりすることではないでしょうか?

たかが「お金」、されど「お金」です。「お金」は会社も人も変えてしまう恐ろしいものです。ですから、「お金」の管理をしっかりし、やりくり上手になることは「経営の神髄」なのです。


お金の管理は「資金繰り表」で

・予想・実績資金繰り表で会社のお金の出入りを日々先行管理する。

月次決算を行い、正しい経営成績の把握から実績資金繰り表を作成します。同時に、資金計画から作成した予想資金繰り表と実績資金繰り表を組み合わせ、予想・実績資金繰り表を作成しましょう。

できれば毎月2年間程度の予想・実績資金繰り表を作成します。これによって、このまま損益計画通りに会社が推移すれば、2年先まで「お金」がまわるか否かがが分かります。

この予想・実績資金繰り表さえあれば、何時、いくら、「お金」が不足するのかが、一目で分かります。

資金の先行管理を行い、自社の資金繰りの構造を理解し、短期的対策と長期的対策を戦略的に構築していくことがこれから企業には求められます。

予想実績資金繰り表を作成し、まず自社の資金繰りの構造を確認・分析する必要があります。

資金繰り表は、大きくは、前月繰越残高+営業収入−営業支出+財務収入−財務支出=次月繰越残高という仕組みになっています。

ここで大事なことは営業収入―営業支出=差引営業収支です。営業収支は通常であれば、損益計算の(売上+雑収入)−(原価+販売費+支払利息)の計算式に合致します。一般的にこの数字は経常利益+減価償却費に近似しているはずです。

例外は、売掛債権と在庫の増加です。 例え損益上利益が出ていても、売掛債権や在庫が増加していれば、その分お金が出て行っているのが理解できます。経営者や経理担当者が中心になって、請求書はお金の札であり、在庫は札の束であることを社員に徹底指導する必要があります。営業はいくら売上げたのかが成果ではなく、いくら回収したかを成績として評価する必要があり、ムダな仕入をしない、いくら安いと言っても大量発注をしない、「トヨタかんばん方式」を学ぶことをお勧めします。

では営業収支を基本に資金繰り表の構造別資金対策を見てみましょう。


営業収支がプラスの会社の場合

・営業収支の範囲で借入金が返済可能

年間の営業収支が2千万円で、年間返済額が1千万円でしたら、税金を支払っても、会社にお金が増え続けていきます。このような会社では、繰り上げ返済をし、借金を早期に減らす、新規投資をする、資金を運用する等々といった嬉しい悲鳴、悩みが増えるでしょう。このような優良な企業は、中小企業では5%程度と言われています。

・営業収支がプラスだが、毎月の借入金の返済を賄えない

ほとんどの中小企業の資金繰りの構造はこのようなものです。

このような企業ほど精度の高い「予想・実績資金繰り表」を毎月作成し、金融機関と密接な関係を築く必要があります。

「予想・実績資金繰り表」で、先行き何カ月後、幾ら資金ショートすることは分かりますから、自社の借入金構造から各金融機関の金融余力を毎月算出しておき、金融機関にいつ、幾ら融資をして頂きたいという旨の申込を事前にとっておきます。

では一般的な金融余力の算出の仕方を見ておきましょう。

自社の借入金を銀行別ではなく、1.公的融資(1)日本政策金融公庫(旧国金)(2)保証協会の保証付き融資(一般保証・セーフティネット保証に区分) 2.銀行の無担保融資 3.銀行の担保付融資の5区分してください。

1 公的融資

1)日本政策金融公庫融資

日本政策金融公庫の融資資金は国の財政投融資資金です。日本政策金融公庫は銀行が一切関知しないので、余計なつきあい定期預金・拘束預金、グループ提携保険、投資ファンド加入見返り強要や給与振込み、入金指定口座等の強要もありません。無担保融資は企業の業績等で2千万円程度の融資枠があります。最近は第三者保証人不要融資も2千万円の枠で商品化されています。

【第三者保証人不要の場合、金利が0.65%割り増しとなります】
平成22年2月1日現在 金利2.15%

2)保証協会付き融資

全国都道府県の保証協会が信用力に欠ける中小企業の融資に寄与するための公的保証制度です。保証協会の保証付き融資とは、銀行が中小企業に融資する場合、会社が返済不能となった時に肩代わりするものです。注意点は、お金は銀行から出て、都道府県は万が一の場合に、企業に代わって返済してくれるということです。無担保枠として5千万円〜8千万円程度でありますが、月商の3倍程度という枠も設けられています。その他会社の決算書の評価等によって融資枠が異なりますので、銀行を通じて、あるいは直接保証協会に出向き、自社の現在の保証可能枠をつかんでおくことが必須です。

保証協会付き融資は、返済に問題(遅延等)がない場合は、資金の必要性に応じて一定の枠内であれば再度保証してくれる融資です。いわゆる折り返し融資が可能です。尚、現在保証協会が保証するのは借入金額の8割まてで、後の2割は銀行がリスクを背負うことで、銀行の審査が厳しくなっています。

これ対して、平成20年10月リーマンショック以降の世界同時不況に対応して、保証協会が100%保証するという別枠のセーフティネット保証の融資制度が併存しています。セフティネット融資枠は最大8千万枠と言われています。

現在これら無担保の公的融資は、日本政策金融公庫融資2千万円、保証協会一般保証8千万円、特別保証8千万円 総計1億8千万円もあり、月商の3倍という数値から逆算すれば、7億2千万円の売上規模の企業までカバー出来ることになります。

2 銀行の無担保融資‥決算書の収益力による融資

現在かつてのような決算書の簡易審査によるスピード融資、ビジネスローン等々は粉飾決算による貸し倒れの増加によってすべて中止となっているようです。しかし、優良企業については、企業の収益力、返済能力、事業の将来性等々を実地判断して融資する姿勢に変わってきています。ここでは、銀行が見る一般的指標を紹介しておきます。

借入限度額の判断基準
判断基準 検討事項 着眼点
1.自己金融力
 (キャッシュフロー)
(税引後)当期利益+減価償却費の範囲内で元金返済ができるか。とくに設備資金の返済原資となる。 最も健全な基準で金融機関が審査時に重視する。無理のない借入金額がつかめる。
2.総資本対借入金比率 総資本(=事業投入資金)の30〜40%を目安とする。とくに資本構成を考える。 自己資本比率30%企業間信用20〜30%として借入金存度50%以内が適切。
3.返済可能売上高 借入金を返済しかつ赤字にならない売上高の試算と実現可能性から判断する。 固定費+元利返済年額=限界利益率が黒字にならないと返済不能となる。
4.所要営業資金 債権、債務、在庫資金および現金仕入、外注費、欠損会社は不足経費など運転資金。 決算書として各回転期間などから概算して目安をつかむ。つなぎ資金のケースが多い。
5.売上高基準 月商の3ヶ月分→安全、3〜5ヶ月分→要注意、6ヶ月超→危険 営業利益率、受取利息の大小にもよるが簡便な方法。売上代金が返済原資となる。

3 銀行の担保付き融資

一般的には銀行で最も多い融資パターンでしたが、すっかり変わってしまいました。定期預金はまだしも、不動産担保の場合、価値の目減りも著しく、融資引き揚げ、折り返し融資の停止等々で企業の倒産原因の大きい融資といえます。しかし、会社の業績が悪化し、公的融資もビジネスローンも貸してもらえない時、最後の頼みの綱は担保付き融資と言えます。

担保付き融資は、原則として上記の無担保融資枠確保後にすべきであり、現在担保付きの借り入れがあるのであれば、他の銀行で無担保融資を受け、返済し、担保をはずしておくのが上策です。担保のついていない不動産を所有していれば、(1)経営悪化により無担保融資が受けられない時に、担保付き融資が受けられるというメリットがあります。

では、営業収支がプラスの範囲で毎月の借入金の返済が賄えず、金融機関からも折り返し融資をしてもらえない場合はどうすればいいのでしょうか?

この場合の対策は以下の手順が必要です。折り返し融資が不可能であれば、条件変更交渉以外にありません。

(1)損益計画と資金計画を立てること。結果営業収支がプラスになり、例え元金の2%でも借金を減らすことです。元金の2%返済は50年で借金を返せることになります。金融機関に返済条件の見直しを交渉することです。

(2)銀行の返済条件交渉にあたっては、借入金を以下の4種類に分類します。

1)日本政策金融公庫無担保融資…原則的には返済すれば折り返し融資が可能です。他の金融機関と別扱いのため正常返済も考慮し、融資枠を持つことも考慮します。

2)保証協会付き融資…たくさんの銀行を経由して保証を受けているケースもありますがが、保証協会に一括して、返済の据え置き、返済額の減少、返済期間の延長をお願いすることです。現在は金融庁の指導もあり、ほとんど応じてくれるのが実態です。

3)銀行無担保融資…現在各銀行は返済条件の変更に簡単に応じてくれているようです。> また、銀行によっては、回収専門の関連会社に貸付債権を売却してしまうケースがあります。この場合、「元金の半分程度いいから一括返済してください」と言われる話が多いですが、弁護士に依頼して個別調停をしてもらえれば、元金の2割程度で話が付くことが多いようです。しかし、これもまず会社の資産処分、社長の個人資産処分含めていろんなケースがあり得ます。何も対応せず、督促を放置しておけば、強硬に銀行預金や売掛債権、在庫を仮差し押さえされることもあるようですので弁護士に相談、対応してもらうことが必要です。

4)担保付き融資…担保資産の売却。競売物件になります。担保資産の売却価格が借入金に満たない場合は、その他の資産、連帯保証人たる経営者の個人資産の処分にまで至るでしよう。

営業収支がマイナスの会社の場合

営業収支がマイナスの場合は借入・融資では対応できません。営業収支がマイナスであることは、会社の存在価値がないことを示しています。例え粉飾決算で融資を受けても、返すあてはありません。営業収支をプラスに転ずる施策を打つべきです。

1.売上をプラス、経費を削減する。

2.売掛金を回収する。

3.在庫処分をする。

4.不要資産を売却する。

5.不採算部門、店舗等々を閉鎖する。

これらを施行した場合の損益計画と資金計画を作成し、営業収支がプラスなるか否かを検討します。もし、不可能な場合は、会社の身売り・廃業・解散・倒産等も検討します。規模は違いますが現在のJALも同じ立場に立っています。

まず、赤字経営をストップさせる。その後、無借金で会社の資金繰りを運用する。それは茨の道ですが、お金を借りられないことから、結果、会社のどんぶり経営、放漫経営から立ち直り、筋肉質ある会社に生まれ変わった事例はいくつもあります。100年に1度の不況、私見ではバブル崩壊時よりはるかに深刻かつ長期の不況はマイナスばかりではありません。厳しい冬の時代は、企業にも人にも大きなリスクを背負わせる代わりに経営・技術・品質・技量・能力等を高める機会を与えてくれます。





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決算書作成の注意点 税務署は「ココ」に目が光る!!

多くの3月決算法人では、いよいよ決算月を迎えます。御社の今期の業績はいかがでしたか。売上は?粗利は?人件費は・・・?

リーマンショックやその影響による株安など、日本の大企業は軒並み業績を下げており、中小企業もその影響を受けた一年ではなかったでしょうか。

特に中小企業は留保利益が決して厚いわけではないので、今期の利益の使途は、会社の維持存続のため十分に検討していただきたいところです。

さて、その利益が一度に吹き飛ぶ恐れのあるのが「税務調査」です。「うちの会社は経理がしっかりしているから問題ないよ」と考える多くの経営者をよそに、税務調査で不備を指摘され追徴課税を受ける法人は後を絶ちません。

今回は、決算書作成を通じてどの項目が「税務調査」のポイントであり、どう対処すべきなのかを見ていきたいと思います。


1.現金・預貯金

「御社は現金商売なのに、今期は一度も【現金過不足】が生じなかったのですか?」

調査官は、現金商売では現金過不足を生じることが当然であることを承知しています。過不足が生じないということは、よほど経理体制がしっかりしている法人なのか、又は現金過不足を経理担当者や経営者が帳尻を合わせているのかのいずれかだということです。

帳簿合わせをしていると認められれば、当然「決算書自体が正確性に乏しい」ということになりますので、その後の調査の対応が全く変わってきます。

現金過不足は生じるのは当然。そう思っていいのです。(但し、過不足額が1万円ちょうど等、端数がない場合には不正のおそれもあるので別の意味で管理が必要です)

「税務調査は現金に始まり、現金に終わる」是非覚えておいてください。


2.売掛金1 計上基準

「売掛金の計上を、自社発行の『請求書』で行う」これは非常に多い間違いですので十分に注意してください。

売掛金(つまり「売上」のことです)は、その月の月末までに行われた引渡し(又は役務提供)をもって計上されるのです。決して請求書の発行日で行われるのではありません。

(例)
1.2月16日〜3月15日までの作業分  →3月25日付け請求書
2.3月16日〜4月15日までの作業分  →4月25日付け請求書

この場合に多い間違いは、1.の3月25日付け請求書までを売掛金計上(つまり売上計上)するパターンです。

上記のとおり、本来は3月16日〜3月31日分の売掛金を4月25日付けの請求書から抜き出して計上しなければならないのです。

※なお、売上計上基準である「引き渡し」には、納品・検品・発送等の数種の計上時期を企業ごとに選択することが可能です。(但し継続適用が前提です)


3.売掛金2 貸倒れ

得意先と連絡が取れない、どうやら夜逃げしたようだ・・・。こんな状況となった場合、やむなく売掛金を貸倒処理するときがあります。本来は入金されるお金ですから、その額の大小によっては経営自体にも影響を及ぼします。まずは貸倒処理して売掛金を経費化することにより、その貸倒額に対する法人税を圧縮しましょう。

ここで問題となるのは、その貸倒が税務上間違いなく損金(経費)と認められるのかどうかです。法人税法では貸倒処理が損金として認められるために厳密な基準を用いています。法人税法基本通達には貸倒処理を認める方法として3通りの方法を規定していますが、いずれも決算末日における事実関係を元に判断しますので、注意が必要です。


4.期末在庫

在庫の期末計上額は、誤解を恐れずに言えば、簡単にその残高を変えることが出来てしまうので、税務署サイドでは、ほぼ確実にチェックしてくる部分となります。

期末在庫の評価方法には、先入先出法・総平均法・移動平均法等がありますが、法人からの申請がない場合、税務上では最終仕入原価法で評価する必要があるので、他の方法で評価している場合には修正申告することになってしまいます。

また問題は、決算前後の在庫の動きにあります。つまり決算時の在庫一覧表には記載がない商品が、翌期の商品販売実績リストには記載があるような場合です。本来期末にあったはずの商品が、期末在庫一覧表にはその記載がないということは、その在庫計上が漏れているということになり「在庫計上漏れ」として修正申告を行うことになります。


5.経過勘定等の計上

税務上で認められる「短期前払費用の損金算入」の規定があります。これは、会計上の前払費用のうちその支払った日から1年以内に役務提供を受けるもので、その金額を継続してその事業年度の経費にしているときは、これを認める、とする規定です。

この規定を多くの企業では安易に利用する傾向がありますが、上記のとおりその適用には一定の規則があります。一年以内の費用であること・毎期継続して支払うこと・毎期継続してその経理処理を行うこと等が前提の処理ですので、十分に注意が必要です。


6.繰延資産

IT技術が普及してから既に久しいですが、自社ホームページの作成のための費用やその更新のための費用、ソフトウェアの作成費用やその改良費の取扱いなど、特に税務処理については事実関係によりケースバイケースでの個別判断が必要です。

「出来れば繰延資産ではなく一度に経費にしたい」のが経理担当者だと思いますが、金額も多額になる場合が多く、税務署も目を光らせています。


7.賞与 〜決算賞与〜

統計では、過去20年間の人件費の伸びが止まって(下降して)おり、中小企業では特にその傾向が顕著です。毎月の給料を増やすよりも臨時給与である「賞与」を利用して人件費を調整し、過酷な経営環境を乗り切ろうとする経営者が急増しています。

特に問題となるのが【期末の未払い決算賞与】であり、これは決算時に未払い計上して翌期に支給するというものですが、やはり法人税法では細かい規定が存在します。

1.その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての従業員に対して通知をしていること
2.その金額を、その通知をしたすべての従業員に対し、その通知をした日の事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支払っていること
3.その支給額につきその通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること

決算賞与は、「一生懸命に働いてくれた従業員に利益を還元したい」という経営者の気持ちも多分にあると思われます。後々の税務調査でも問題が生じないよう、上記の規定を十分に把握した上で支給していただきたいと思います。


8.外注費

国税庁では昨年末「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いに関する留意点について」という法令解釈の情報を公表しました。それは「給与と外注費を、より明確に区別すること」というものでした。

概要は、

○前提 給与とは「雇用」の関係であり、外注とは「請負」の関係である。
○形式 給与ではなく外注費だということであれば、基本的には「請負」関する契約書」があって然るべきである。
○実務での判断材料
1.他人への代替が可能なら「外注」。
2.時間的拘束や、余計な指揮監督を受けなければ「外注」。
3.仕事の中途で業務を中断しても、その分の報酬を請求できれば「外注」。
4.材料や用具は自分持ちなら「外注」。

というものです。

従来は不明確な部分も多く、「形式」と「事実」の食い違いから税務調査での意見の相違が絶えませんでしたが、この公表により、税務調査での追求が加速されることが予想されます。外注費と給与との関係は「古くて新しい問題」ですので留意してください。





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知って得する損益分岐点

企業を取り巻く環境が厳しいほど、経営管理が重要です。経営管理の第一歩は、自社の損益分岐点を知ることです。損益分岐点とは、損益が分岐する点ということですから、利益が0であっても最低限必要とされる売上はいくらだと言うことです。

損益分岐点売上の計算は以下の計算式により求められます。

1 売上−変動費=限界利益(付加価値)
2 限界利益÷売上=限界利益率
3 固定費÷限界利益率=損益分岐点 売上

この算式を見て判るとおり、経費を変動費と固定費に区分しないと損益分岐点売上は掴めないと言うことになります。

固定費・変動費とは何か?

実際の決算書上変動費・固定費とは何かと言うことになりますと、決算書には、変動費や固定費としての表記はありませんので、表示された科目から変動費や固定費を選択集計しないとなりません。

変動費と固定費には色々な説がありますが、要は売上とリンクして増える費用が変動費です。勘定科目では、「材料費・外注費・商品仕入・販売手数料・荷造運賃」等が該当すると思われます。しかし企業によって歩合制の給与などがある場合は、給与も変動費となります。そして、その他を固定費と考えて、是非一度自社の損益分岐点売上を計算してみてください。もし面倒であれば、原価項目を変動費、販売費及び一般管理費が固定費。売上総利益が限界利益と考えれば、簡単にできます。

【損益分岐点分析応用問題】

損益分岐点分析についての、正確な理解を問う問題です

問.次の資料をもとに、以下の設問に答えなさい。

《資 料》
A社の当期P/Lの一
1.売上高
2.売上原価
  売上総利益
3.販売費および一般管理費
  営業利益
4.営業外費用
  経常利益
  (単位:百万円)
2400
1800
600
50
100
30
70

(注)売上原価のうち75%、販売費および一般管理費のうち42%が変動費であり、残りは固定費として取り扱う。

[A社の次期予想]
1.売上数量は5%アップするが、平均販売単価は10%低下することが見込まれる。
2.固定費は全体で20%ダウンすることが予想されている。
3.変動費は売上数量に比例するものとする。

問1) 当期の損益分岐点売上高(経常利益がゼロとなる売上高)として正しいものは次のうちどれか
   (百万円未満四捨五入)。該当する番号に○を付けてください。

1)2,330百万円  2)2,300百万円  3)2,270百万円  4)2,200百万円

問2) 次期予想としての各勘定項目および比率のうち、正しいものは次のうちどれか。
   該当する番号に○を付けてください。

1)売上高
2)固定費
3)変動費
4)限界利益率
  2,160百万円
424百万円
1,638百万円
25%

問3)当期に比べ次期の損益計算書がどう変化するかを、売上高と経常利益の推移を説明しなさい。


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