会計事務所と顧問先をむすぶCLUE 第137号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『賢い人はすでにしている法人化
日本の税制は圧倒的に法人が有利』
 経理・税務・・・ 『ちょっと待った!!その年末調整』
 経営・財務・・・ 『経営支援徒然帖』





 今月の特集

賢い人はすでにしている法人化
日本の税制は圧倒的に法人が有利

政府も認める所得捕捉率の不平等

平成21年も12月を迎え、個人事業の方々には頭の痛い確定申告の時期がやってこようとしています。日本には法人が300万社もあり、その7割近く、210万社が節税目的の会社だと言われています。これは日本の現行税制が、個人事業を法人化し、法人から給与をもらう方が絶対に有利、節税になるからです。その防止策として1,600万円以上の役員報酬に対する(給与所得控除の損金不算入等々)の防止策が採られていますが、いたちごっこの感があります。政府も子供手当の所得制限を求める声に対して「現行の税制度に欠陥があり、所得金額の捕捉率が一定でない」と認めているのですから「何をか言わん」です。

現在は公表されていませんが、以前には確定申告の集計が終わったころ、所得番付が新聞等で公表されていました。毎日のようにTVで活躍する有名人が所得番付に掲載されず、それ以下の所得しかないと思われる有名人が所得番付上位に掲載され、「おかしいなぁ」と感じられた人も多いのではないでしょうか?


え!あの人が!!その「からくり」は?

その「からくり」は、個人事務所の社長を配偶者や親族にして法人化し、自分は「△△企画」の社員として「サラリーマン」となっているケースがほとんどと思われます。

個人事業を法人化して、社員や役員として「給与」をもらうことが、なぜ税金の節税につながるのか考えてみましょう。

現在日本の税制は、個人の所得税・住民税の場合、所得が高い人ほど税率が高い最高50%の「累進税率」がとられています。それに比して法人の法人税・法人住民税の場合は、一定税率(約30%から40%)となっています。また、給与所得控除が高く、会社の利益を給与でとってしまえば、会社の税金は0円で、所得税も給与所得控除活用で激減する仕組みができます。

ただし実際の会社経営は、これほど単純ではありませんが、一般的に個人経営よりは法人にして給与所得を支払ったほうが、税負担はより少なくなる、ということを知っておいてください。


まだまだある法人化のメリット

【1】え!?こんなものまで会社の経費?

(1)生命保険は、個人で加入するとその控除額は5万円しかありません(年金分を合わせてもトータル10万円)。例えば、生命保険料を月額3万円(年額36万円)支払っている場合、生命保険料控除は5万円であるので、残りの31万円は所得税を支払った手取り所得でしか支払うことができないのです。ところが、法人で生命保険に加入する場合、保険のかけ方によっては全額経費に計上することができるもの、支払った保険料の半分だけ経費に計上できるものなどがあります。生命保険料が代表的ですが、会社が受取人であれば、金額の上限なしで保険料が経費となります。

(2)また、万が一死亡した場合や、事業を子供に承継した場合、法人であれば、退職金や弔慰金を受け取ることができます。法人からの弔慰金は、最終給与×36か月(業務上の死亡の場合)、もしくは6か月(それ以外)で、法人の全額経費かつ相続税上の非課税となり、一切の税金が免除となります。また、退職金は一定の限度があるものの全額法人の経費となり、所得税は他の所得と合算されない分離課税(累進税率が低くなる)でかつ退職所得控除が引け、更に1/2になり、実行税率は1%から8%程度に減額されます。 1,000万円の退職所得で、20年勤続であれば、(1,000万円−20年×40万円)÷1/2×10%=10万円となり、わずか1%の税金しか課税されません。

(3)会社で自宅を購入しても賃貸しても社宅にして安く借りることができます。通常の家であれば、時価の2割程度で会社から賃貸でき、その分の所得税・社会保険料が軽減できます。会社は、購入すれば減価償却費と金利、賃貸すれば、家賃が全額法人の経費とすることが出来ます。


【2】個人事業の専従者給与と法人の役員報酬

法人に比べ、個人事業の家族従業員に対する税務署の調査は、はるかに厳しいのです。
法人の役員報酬の方が、労働の対価性で判断できないため、税務署での判断が難しいからです。
個人事業の親族への給与支払いは、労働の対価性が問題となるため、勤務実態・同業他社の同種給与等と比較して、その給与の額が問題となるケースが多いです。
法人化し、配偶者や親族を役員にして役員報酬を支払っている場合、役員は労働者ではないため、経営に従事し、責任リスクを感じているか否かの判断も考慮されるので、未成年者や高額の役員報酬以外は問題となりません。


【3】 税務調査の水準〔法人3,000万円、個人3,000万円 個人事業の調査レベルの方が高い〕

税務署も暇ではないので、会社の規模・所得金額・複雑かつ脱税の多い業種等によって、調査官のレベルが違ってくるのは当たり前です。法人の売上3,000万円程度の会社は、極小零細企業であり、個人事業の売上3,000万円は高額な方で、調査官のレベルが異なりますし、調査の頻度も違ってきます。税務調査は時間もとられ不愉快な思いも強いので出来れば避けたいのは人情です。


【4】消費税が最大2事業年度免税になる

資本金1,000万円未満の会社として設立した場合、2年間消費税を納付する必要がありません。個人事業の場合は1年目から納税義務が発生します。平成18年5月の新会社法施行で、株式会社最低資本金1,000万以上の規定が撤廃され、1円でも株式会社が設立でき、有限会社もなくなり、対外的信用を考慮することもなくなりました。
これにより、売上3,000万円程度であれば、消費税5%を預かり、益税となった消費税2.5%として最低でも1年間75万円、2年間で150万円の節税となります。


【5】決算期を自由に設定することができる

個人の場合、事業年度が1月1日〜12月31日と決まっていますが、法人化した場合、自由に設定することができます。

決算期の決め方は、

(1)資金繰りで考えると、3月決算の場合、申告・納税は5月になります。お金が一番残っている月の2か月前が決算月だと資金繰りが楽になります。夏季・冬季の支給月である7月の場合5月、12月の場合は10月になるので、その決算月は避けた方が良いでしょう。

(2)小売、飲食業等は2月・8月は暇だと言われています。在庫も少なく、棚卸しも楽だと考えれば、12月決算2月申告、6月決算8月申告、8月決算10月申告もいいのではないでしょうか。

(3)税金対策から、売上・利益が飛び抜けている会社であれば、その月の2・3か月後が望ましいでしょう。公共事業関係であれば、3月決算は避けた方が無難です。3月に1年の売上の大半が計上される場合、決算月は6月〜8月にすれば、3か月〜5か月の期間があり、その間節税対策を立てられます。


【6】赤字を7年間繰り越せる

青色申告をした事業年度に生じた赤字は、翌年度から7年繰り越すことができます。
(この間に黒字が生じた場合は、この赤字と相殺されて節税になる。)

※事例:1期目赤字1,000万円が出た場合
1期目 決算赤字の場合 単位千円
資 産 金 額 負 債 金 額
●● 100,000 ○○ 100,000
    資本金 10,000
    利 益 −10,000
小 計 100,000   100,000

◎白色申告の場合、繰越欠損金が使えない
2期目、利益2,000万円の場合、税率40%として800万円納税。

◎青色申告の場合、繰越欠損金によって前期と損益通算可能
2期目、利益2,000万円の場合、税率40%として2,000万円−1,000万円=400万円納税。
たかが、青色申告承認申請書1枚で400万円の差がつきます。


【7】個人の財産が守りやすい法人別会社を資産管理会社にする

個人・法人問わず、経営者の100%は事業債務の連帯保証人となっています。(知る限り何らかの連帯保証債務をしていない経営者は皆無です)そのため、倒産は即自宅の競売につながります。60歳以上の高齢者で倒産し、自宅を追われ、アパートの入居も断られ、ホームレスにもなりかねない経営者が増加しています。そこで、経営者の自宅を保全し、節税対策も図れる方法を考える必要があります。

これは経営者の身内で連帯債務者になっていない人を代表者にして法人を設立し、その子会社に経営者のすでに所有している自宅を売却するか、新たに自宅を購入して、親会社がその子会社から社長の社宅として賃貸する方法です。例え親会社が破産し、社長が連帯債務者として破産しても、子会社は親会社と何の法的関係もありません。結果、一切負債がのしかかってくることもなく、経営者の住む家は確保できます。


【8】相続財産が会社の自己株価評価となる

相続財産が会社の自己株価評価となり、平成20年10月よりの相続税納税猶予の活用可能になります。一定の条件で相続税の納税が猶予、免税されます。


【9】各種補助金、銀行融資等

各種補助金、銀行融資等が個人事業と比較しはるかに受けやすくなります。


法人化・・会社設立の手続きのための基本知識

(1)資本金1円・取締役1人で株式会社が設立可能
但し、取締役1名の場合は、株式の譲渡制限会社であること。
役員は最長2年だった任期を最大10年まで延長可能になり、変更費用が軽減された。

(2)払込金保管証明書の廃止
通帳のコピーで可能

(3)類似商号の規制緩和

(4)株式会社設立の手続き
1)発起人を決める
2)会社の基本事項を決める(商号・目的・資本金等)・・商号決定後実印発注
3)定款作成
4)公証人による定款の認証を受ける
5)引受株式数を決める
6)通帳に資本金を払い込む・・出資金は1円でもよい
7)通帳のコピーを添付した払込証明書を作成する
8)取締役、監査役を選任する・・取締役1名の会社の場合1名で可
9)取締役会を開催。代表取締役を選任する…取締役1名の会社の場合、代表取締役不要
10)法人の設立登記…登記所にて登記申請 登記申請から約1週間〜2週間で登記完了
11)会社誕生…税務署・道府県・市町村へ届出
   開業届け・青色申告・給与支払事務所開設届け等々

法人成り後チェック事項
法人の設立は通常、個人事業からの組織変更から行われることが通常です。その際、変更すべき事や、提出しなければいけない書類等があります。以下、チェック事項になります。
詳細は顧問税理士、司法書士にお聞きください。

▼法人成り後チェック事項
開業届けを税務署及び道府県税事務所に届けたか?
  法人成り予定の前日を基に貸借対照表を作成したか?
  源泉所得税の納期の特例を申請したか?
  個人の国税の予定納税減額申請を出す必要があるか?(7/15・11/17まで)
  法人の消費税の届け出書は提出したか?
  役員報酬の決定を行ったか?
  小規模企業共済の解約を行ったか?
  法人の通帳を作成したか?
  通帳は名義変更または解約をしたか?(銀行に要確認のこと)
  自動振り替えの支払い口座の変更等をしたか?
  引継ぎ資産の耐用年数の変更をしたか?(中古資産になる)
  借入債務はどうするのか?(法人のまま引き継ぐのか、個人のままか。銀行と事前折衝必要)
  個人事業のクレジットカードの解約、法人カードの新規作成を行ったか?
  個人・法人間で営業譲渡契約書等を作成したか?





  経理・税務 ページのトップへ

ちょっと待った!!その年末調整

年末調整の時期がやってきます。ニュースによると今年の冬の平均賞与は史上最低の下落率となるようで、サラリーマンやOLにとっては懐具合の寒い年末年始が待っていそうですが、さて、そんな給与所得者にとっては、ちょっとした臨時収入であり毎年楽しみにしていると思われる「年末調整」ですね。ただしこの年末調整、思いのほか控除できる項目が少なくありません。
今一度、皆さんの還付金額があっているのかを確認していただき、ホットな年末を過ごしていただければと思います。


年末調整の控除項目

まず、サラリーマンやOLの所得税の計算方法は次のようになっています。

(1)今年の給与収入に対応する「給与所得」の金額の算出
(2)今年の各種の「所得控除」の金額の算出
(3)((1)−(2))×所得税の税率=今年の所得税の確定額
(4)今年、毎月の給与から天引きされた所得税額−(3)の所得税確定額=還付金額

そして上記(2)の各種の所得控除額には次の10項目があります。

社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦(夫)控除、勤労学生控除


知らなきゃ損!「生計を一にする親族」の考え方

上記の各控除項目の詳細は以下で述べますが、その多くに関係する要件として「生計を一にする親族」という言葉が出てきます。この「生計を一にする親族」に該当するかどうかで控除額に影響が出ますので、まずは「生計を一にする親族」とは誰のことかについて見ていきます。

(1)「生計を一にする」の意味
所得税法基本通達2−47では、「生計を一にする」について

1)同居、別居を問わない(つまり別居もOK)。
2)別居している場合では、「普段は別居しているが、余暇にはその親族と暮らすことを常としている場合」や「その親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合」は生計一に該当する。
3)同居している場合には、「明らかにお互いが独立した生活を営んでいる場合を除いた場合」は生計一に該当する。

としています。
つまり別居の親族であっても、大学に通ったり浪人中のために別居している子供や、田舎の年金暮らしの両親で仕送り等している場合などは、生計を一にした親族であることになります。

(2)「親族」の意味
税法上の親族は民法と同じく「配偶者、6親等までの血族、3親等までの姻族」をいいます。貴方の親や子は1親等の血族、兄弟は2親等の血族です。いとこは4親等の血族、配偶者の親は1親等の姻族です。また、はとこの子供(7親等)やいとこの配偶者などは、親戚ではありますが民法上の親族には該当しないことになります。
それでは各種の所得控除をチェックしましょう。

それでは各所得控除について見ていきます。

◎社会保険料控除

社会保険料控除は、貴方の分だけではなく、生計を一にする親族が払うべき保険料等を貴方が払った場合にも貴方本人が控除を受けられます。
例えば、貴方と生計を一にする20歳の学生である息子や両親が支払うべき社会保険料を貴方が払った場合などは、貴方自身の年末調整で控除が可能となります。
忘れてはならないのが、社会保険料控除は「現金主義」であるということです。例えば未納だった過去3年分の息子の国民年金を今年貴方が払った場合、その全額が控除可能になるというわけです。

◎扶養控除

扶養控除は「生計を一にする親族」かつ「その年の合計所得金額が38万円以下」の人(これを『扶養親族』といいます)に対して適用されます。上記でも述べたとおり「生計を一にする親族」の概念は意外と広いので、普通に考えると控除できないような身内も該当する可能性があるのです。
例えば、貴方の仕送りで生活しているいとこ、一緒に生活している配偶者の父母など、また、いわゆる里子や市区町村から擁護を委託された老人なども、生計一の親族となる可能性があります。
このとき、扶養控除の対象となる親族に該当するかどうかは、原則として年末時点で判定します。年内に子供が生まれた方は、扶養親族が増えて還付される税金も増えることになります。逆に、税金の観点からは「離婚は年明けがおススメ」ということになります。
さらに最近は共働きの夫婦が増えましたが、例えば共稼ぎの夫婦に子どもが二人いる場合、扶養控除では色々な方法が考えられます。

(1)夫の収入が妻の収入より明らかに高い場合には、基本的に夫から扶養控除する方が得です。
(2)(1)であっても、二人のうち一人分を控除したら夫の課税所得金額がゼロとなる場合には、二人目を控除しても還付額は変わらないので、妻から控除した方が得です。

ポイントは、夫婦それぞれの課税所得(所得控除後の所得金額のこと)が均等に近づけば、家族全体で節税になるということです。
なお、上記のように子供を親のどちらの扶養に入れるかは自由に決めることができますし、去年は夫から控除し、今年は妻から控除するということもできます。

◎配偶者控除

この控除も扶養控除と同じく、生計を一にしている配偶者(内縁関係の人は該当しません)が控除対象となります。判定も年末が基準となります。

◎寡婦控除・寡夫控除

いずれも「かふ」と読みます。女性の納税者が寡婦に該当する場合、又は男性の納税者が寡夫に該当する場合に控除が受けられます。意外と忘れがちな控除です。気をつけてください。

※寡婦:(1)か(2)のいずれかに該当する人。
(1)配偶者と死別または離婚した後、婚姻しておらず、扶養親族等がいる人。
(2)配偶者と死別した後、婚姻しておらず、合計所得金額が500万円以下の人。

また(1)と(2)に同時に該当する場合には控除額が増加します。
※寡夫については上記の(1)と(2)の両方に該当する場合等のみ控除が可能です。

◎障害者控除

貴方自身が障害者であるとき、及び貴方の扶養親族等が障害者であるときに適用できます。
なお扶養親族が同居する特別障害者に該当する場合には、障害者控除だけではなく扶養控除も増額されます。これも適用忘れが目立ちますので注意したいところです。

◎生命保険料控除

この生命保険料控除は、保険金受取人を貴方又は配偶者その他の親族とする生命保険契約等について支払った保険料が対象となります。つまり他の所得控除と異なり「扶養親族の保険契約」であること等は関係しません。


終わりに

このように、年末調整の控除については案外知られていないことも多いのです。「聞くは一時の恥」ではありませんが、会計事務所へ問合せをするなどして、還付されるはずの金額は是非取り戻して欲しいところです。何故ならその還付金額は、皆さんが天引きされて払いすぎていた源泉税なのですから。

※実際に所得控除する際の適用可否については会計事務所にご相談ください。





  経営・財務 ページのトップへ

経営支援徒然帖

対等な共同出資会社はなぜうまくいかないのか?

友人と50%ずつ出資して会社を共同経営した場合、成功した例は少ないです。筆者は幾度もトラブルを経験しているので、相談を受けた場合は、「少なくとも51%対49%にした方がいいですよ」と言っています。

儲かった場合はともかく、損が出た場合に、当然損失の穴埋めをしなければなりませんが、損失の発生原因について責任の所在を巡ってトラブルが起こりやすいのです。まれに儲かった場合は、利益の貢献度でトラブルになるケースもあります。

考えてみたら、身内でも遺産のトラブルで揉めるのですから、他人同士であれば当然とも言えます。経営とはハイリスク、ハイリターンの厳しい世界です。果実は自分のもの、リスクは他人のせいとは古代からの歴史でもあります。

一切の責任は自分が背負う覚悟でなければ独立開業等は考えない方がいいでしょう。リスクを背負うから経営者は成長するのです。

また、たまに経営を他人に委ねて、悠々自適を考える経営者もいます。しかし、上場企業ならまだしも中小企業では子供が後継者でもない限り、リスクが高くなる可能性があります。中小企業では資本と経営を分離するいわれはありません。株主=経営者であることは当然です。

株主でもなく、債務の連帯保証人でもない経営者は逆風の時、厳しいリストラから逃げ、赤字垂れ流しで、経営責任からトンズラする可能性が高いのです。何一つ経営上のリスクを背負っていないのですから、嫌なリストラを避け、希望的観測で放漫経営になりがちです。第一に社員も、債務を背負わない雇われ経営者の事を、危機の時に、本気で信用するすべもありません。結局、創業者や実際に経営権を握り会社の危機に対処する人に人は付いてくるのです。

経営責任を明確にし、逃げない経営者になるためにも、51%の株を持つことです。


社長の最後の仕事は、退任の判断

政治家にしろ経営者にしろ、一番難しいのは出処進退の判断です。出処進退を誤って晩節を汚した例は枚挙に暇がありません。

社内体制も整い、後継者も育ってきたとあれば、後はいつ退任するかのタイミングだけですが、戦国時代でもうまく行った例は意外と少ないのです。

比較的、成功した例として、秀吉の参謀であった黒田如水の黒田藩、蜂須賀小六の徳島藩、熊本の細川藤孝あたりが思いつきます。

彼らは西日本と江戸から遠方である条件もあったでしょうが、遠方であっても、広島の福島家、熊本の加藤家、荘内の最上家等々は取りつぶされています。また、豊臣恩顧の大名でいうならば、蜂須賀小六は太閤記にもあるように最初の家臣であり、黒田如水は秀吉の参謀です。はっきりしていることは、これら戦国時代から江戸時代を生き延びた大名は、創立者も偉いですが、徳川家から付込む隙を与えないほど、後を継いだ2代目もしっかりしているということです。いつの時代でも、公私混同・私利私欲の創業者と2代目のバカ息子、どちらか1つでも揃えば、会社は破綻してしまうのです。


ビジネスはシンプルが一番

世の中には、自分のアイデアや商品が優れていると思い込んでいる人が結構多いようです。「このビジネスはすごいですよ。どうですか」等々。そんなとき、簡単に理解できないような話は100%ものになったことはありません。

飲食・小売・卸・建設・医療等々世の中には色々な商売がありますが、一番難しいのは、販売方法とお金の回収の仕方です。いくら優れたサービスや商品にしても、販売方法とお金の回収が面倒なものはビジネスにはなりません。

特別変わった消費者は別として、一般消費者は、単純に、品物やサービスと引き換えに支払うことが当たり前だと思っています。当然、売る側も、品物と引き換えの現金商売が一番単純で簡単なのです。

各種コンテンツビジネスも課金システムによって、大分シンプルになり普及したのだと思います。サービス、コンテンツビジネスの成功の鍵は、販売方法とお金の回収の仕方をまず考えることです。いくら画期的なサービスやコンテンツであっても、普及のカギは販売方法であり、お金の回収の仕方なのです。
人生の半分以上の時間を過ごす職場を快適にすることが儲けにつながる

「あなたは今の職場に満足していますか?」と聞けば、不安要素としてほとんどの方が「会社の人間関係」「給与」等を思い浮かべると思います。快適と言えば、まず人間関係の風通しのよさであることは言うまでもありません。しかし、今の労働環境が、自分の能力を十分に発揮できる環境になっているかも重要なファクターです。スペース、空調、照明、情報ツール、パソコン環境等も職場環境も重要な要素です。職場の環境をちょっと見てください。以下のような注意項目にあてはまることはないですか?

(1)机の上下、左右に書類等が放置されている。
(2)プリンターやファックス、コピー機の上に紙が残っている。
(3)隣の席の人の書類や私物が侵犯してくる。
(4)できれば職場を家族に見せたくない。
(5)使いたい資料等を探し出すのが大変である。
(6)パソコンをネットワークで使用していない。
(7)各自の机の上が乱雑で片付いていない。

どうでしょうか?

人生の大半の時間を過ごす職場の環境を快適にすることによって、仕事の能率もあがり、人間関係の風通しも良くなります。


バックナンバーメニューへ戻る


Copyright 著作権マーク PROFIT CORPORATION 2009, All rights reserved.
Copyright 著作権マーク SEIKO EPSON CORPORATION 2009, All rights reserved.