会計事務所と顧問先をむすぶCLUE 第134号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『企業経営に成功の法則はあるのか?』
 経理・税務・・・ 『「税務調査」これさえ知っておけば怖くない!』
 経営・財務・・・ 『社宅にすればこんなに有利』





 今月の特集

企業経営に成功の法則はあるのか?

経営者は複眼思考が必要

「経営者にとって一番難しいことは?」と聞かれたら、筆者は「自分を客観的に見ること」であると答えます。一番大事で難しいことは、絶えず自分をもう1人の自分として見ることです。複眼思考こそ経営者の求められる一番の資質ではないでしょうか?

会社経営はいつの時代も厳しく、 多くの企業は常に倒産の危機にさらされています。筆者も多くの企業の倒産を目の当たりにし立ち会ってきました。その経験から、倒産する会社には多くの共通点があるように思います。

我が身を振り返るという謙虚な気持ち、初心を忘れず、志を高く持ち続けることのコツは、絶えず自分を客観的に見る「醒めた目」を持ち続けることです。

このことを踏まえて「こんな会社、こんな経営者ではダメ」というテーマで反面教師にしていただきたいことをまとめてみました。心当たりはありませんか?


整理整頓できていない会社

お金がかかっていない事務所、古い事務所でも、清潔に整理整頓されている会社は働く人の労働意欲が高まり、また、意欲が高まった人の集まりだからこそ整理整頓、掃除が行き届いているとも言えます。

ある会社で新築の事務所・一等地の事務所にも関わらず、訪問させていただいてびっくりしたことがあります。机の上や足元に乱雑に書類が放置され、隣の人の書類とトランプのように重なり、整理整頓が全くされていませんでした。顧客から預かっている大事な書類が乱雑に放置され、これでは仕事の能率や精度が悪いだろうと思いました。何よりも乱雑な仕事場で働く人の心の荒廃を見たような気持ちになりました。案の定、毎年社員の半分が辞めて入れ替わるそうです。

また、ある飲食店の調理場を覗いたら、食器や食材が乱雑で、衛生管理も不十分、その会社は経理も乱雑で、事務所も全く整理整頓されていませんでした。これではお客も呆れかえり二度と来店していただけないでしょう。

仕事は段取りが8割を占めると言われています。経理でも料理でも、製造・建築業でも、段取り、整理整頓が出来ていれば、作業能率が向上し、ムダな時間や単純な間違いが無くなります。


【1】みなさんの机のまわりを見てください。
書類が山積みになっていませんか。山積みされた書類から必要な書類を探し出すのはムダな作業です。少なくとも毎日一度書類を整理整頓しましょう。

▼書類の整理整頓の仕方
1.不要か否かを判断し、不要なものは破棄する。
2.必要な書類は、クリアファイル等にまとめ、書類立てに縦置きにする。
3.一週間、一か月単位で、書類を不要か否か判断し、再度破棄するか否かを判断する。そこで必要な書類は初めてファイリングする。


【2】みなさんのパソコン内部を見てください。メールの整理整頓、データベース化をしていますか?

毎日たくさんのメールを受信されていると思いますが、例として、無料のメールソフトを活用して、簡単にデータベースを作ることができます。

例えば住所録、電話帳等です。住所録や電話番号を件名欄に氏名・電話番号と記入し、自分宛にメールを送信しておけば、簡単に受信メールの検索機能で検索できます。いちいち重い住所録データベースを開かず、outlook等のメールソフトを常時デスクトップに置いておく方がはるかに便利です。
顧客データも、例えば会議の議事録も、顧客名・議事録の件名で自分宛にワード等をメールに添付し送信しておいて、顧客名で検索すれば一発で顧客の過去の議事録が全部並ぶはずです。書類もデータもメールソフトが管理してくれます。


【3】机とパソコンがあれば、9割の仕事は終わりますか?

机の上の書類と電話、パソコン、メールソフト、ファイルサーバー、インターネット等で仕事は9割方終わるようになっていますか。書類探しや手作業は全くもって仕事のムダです。机に居ない時は顧客のところに行っているという認識を、社員全員が習慣付けることです。


細かい経費の削減ばかり言う会社

このような会社はなぜダメなのでしょうか。まず確認しておきたいことは、ムダとケチは違うということです。使わない時のトイレの電気、部屋の電気を消灯することは当たり前です。ムダだということです。

しかし、仕事をしている部屋を暗くする、店舗を暗くすることはケチです。暗いと気持ちまで暗くなりませんか?明るい、日当たりのいい、清潔なオフイスで働きたいと思いませんか? 同じように暗いお店で商品を買いたいと思いますか?

働く人が働きやすい環境で働いてもらう、お客様の購買意欲が高まるお店づくりを考えるのは鉄則です。目先の利に走ってその鉄則を忘れる会社に未来などありません。事務用品費、水道光熱費、消耗品費に細かい会社も問題ありです。これら経費は経費全体の5%にもならないはずです。一番高い、ムダな経費は人件費・原価・家賃等です。まずこれら大きな経費をきちんと管理し、ムダがないかを見直すべきです。特に人件費については、働きやすい環境、モチベーションの上がる公平な給与体系、一人一人へのヒアリング等は経営上最大の課題と言えます。

ちまちました経費を管理するだけでは人件費がかかります。ムダとケチは違うのです。


社長が居るか居ないかで、社員の勤務態度が違う会社

ある会社で、社長が居る時と居ない時とでは社員の勤務態度が大きく変わるので驚いたことがあります。原因を私なりに色々と考え、次のように整理してみました。

【1】社長の経営に対して社員のほとんどが疑問を感じているが、何か言えば個人攻撃されることが多く、何を言ってもダメだと思っている。

【2】全員が退社に向けてストップウォッチのスイッチを「ON」にしている。

【3】役員に何一つ役員としての自覚がなく、あるいは役員を単なる肩書きと考え、社員に何も言わないことで、自己防衛を図っている。本当は社員から信頼を無くしているにもかかわらず、それに対して無自覚である。

【4】社長が経営に無責任で、私利私欲である(それにより経営情報を公開せず、経営会議もきちんと運営していない。)。

【5】「社長が社員を信用していない」と、社員から見られている。


公私混同・私利私欲の経営者がいる会社

自分には賞与が出ないからと、夏季・冬季の賞与の支給日をぎりぎりまで決定しない社長がいます。
公私混同の最たるもので、「社長は社員に、気持ち良く働いてもらえるような会社環境を提供するのが、一番の仕事だ」と思えないのでしょう。業績が悪く、資金繰りが大変なときこそ、全社員の力を合わせて突破しなくてはならないのに、毎日暗い顔や、社員にあたりちらす社長では会社経営などやめるべきです。そのようなときこそ、会社の経営状況を全社員に報告し、全員で改善を図る一方で、賞与を減額する前に、自分の役員報酬を見直し、それでも厳しければ、社員の賞与の減額や中止を求め、今後の経営計画を提出して、次期の経営目標を全員で達成していくことが必要です。


嫌な事を先送りしたり・逃げたりする経営者のいる会社

経営者は言うまでもなく、船で言えば船長であり、飛行機であればパイロットです。乗客の命を預かる身、つまり社員及び家族の生活を守るためには、時には嫌な事でも率先して、行ったり・言ったりしなければなりません。嫌な事から逃げるようでは経営者をやめるべきでしょう。厳しい事を言ってくれる人から逃げ、チヤホヤする仕入先の接待に、いそいそと行く経営者がたまにいます。
しかし、「厳しいことを言う得意先の苦言に耳を傾けること」は、様々なアドバイスをタダで受けられ、得意先の信頼を得ることができるのです。そして、接待を受けた場合、接待した仕入先は、その接待交際費を、仕入代金に上乗せしているのです。経営者は、これらの事を自覚すべきです。


仕入先には横柄で、得意先にはペコペコと、人によって極端に態度が変わる社長のいる会社

このような社長を社員が信用するでしょうか?たとえ仕入先であろうと、逆に大事な得意先であろうと、ビジネスの世界に上下はなく、あくまで対等なビジネスパートナーであることが原則です。見せかけでうわべだけのおべっかを使い、そのストレスを仕入先に吐き出すような社長など、いずれ、仕入先・得意先は勿論のこと、社員からも相手にされなくなるでしょう。


辞めた社員の悪口を言ったり、辞めると言った社員に極端にひどい態度を取る会社

このような手の平を返すような社長のもとに、まともな社員が育つはずがありません。辞める社員が前向きに退社し、残った社員が退社する社員を気持ちよく送り出すことによって、会社に対する求心力が生まれます。
成功している会社には、退社した社員が訪問したくなるような雰囲気があります。


リスクを背負っていない人が、経営判断や意思決定をしている会社

企業はリスクを背負っているからこそ、頑張れるのだと思います。リスクを背負っている人達(株主・代表取締役・連帯保証人等)が、会社の最終意思決定をせず、現場に任せ、コンサルタント等に会社の意思決定を預けているようでは絶対に会社は破綻します。もし、そのような人に意思決定をしてもらいたいのなら、出資をしていただくか、連帯保証人になってもらってください。一番先に逃げ出すでしょう。企業はリスクを背負っているからこそ、様々な創造力が生まれるのです。努力は、リスクに比例しています。


家族が意思決定しているのに、企業だと勘違いしている会社

『企業は3人から始まります。』 このことを言うと、「3人」を人数のことと勘違いする人によく出会います。「2人ではだめなのですか」とか、「10人だから企業でしょう」と言う人もいます。どちらも間違っています。例え2人でも、外部の人を含めた3人で、「経営会議」という形で意思決定を実施している企業は立派な企業です。逆に言えば、社員が100人いようと、意思決定を夫婦2人でやっている企業は「家業」です。家業と企業とでは最終ゴールが違います。最終ゴールが違うということは、経営戦略も違ってくるのです。


夢ばかりで現実が見えない社長のいる会社

ベンチャービジネスに多いですが、「夢が先行し、現実に置かれている環境が見えない経営者」では、人・物・金など集まりません。成功している企業の経営者は、その業界で最低5〜8年の実務経験を持っています。どんなに簡単そうに見えても、どのような商売にも上には上があります。自己過信せず、謙虚に業界で実務を積み、独立されることをお勧めします。
また、成功している企業は、最初の3ヶ月で黒字経営に変わっています。3ヶ月やって黒字に転換しないのであれば、原因を追求し、タラレバではなく客観的に経営持続の判断をすべきです。


最後に、「初期の段階で成功された企業」でも、3〜5年後にがっちりした経営陣を形成できず、創業社長が1人で何でも意思決定しなければいけないようでは、企業の成長は止まります。3人以上の第三者による経営陣体制をつくり、経営会議を中心に企業の意思決定を行い、経理の公開・企業のシステム化を追求することによって、全社員の創造力の活性化が可能となります。





  経理・税務 ページのトップへ

「税務調査」これさえ知っておけば怖くない!

「税務調査は秋が本番」と言われます

税務署は6月末(〜7月10日)が定期異動日であるため、異動後の1〜2ヶ月で引継ぎを含めて調査会社を選定し、涼しくなる秋から実地調査に本腰を入れ始めます。

その年の年末までにはある程度の成果を出さないと(ノルマを達成しないと)、年明けから成績を締め切る(?)5月までが慌しくなるため、出来るだけ年内に成果を上げたいようです。

今回はこの税務調査について、その概要を知り、また基本的な税務調査の流れを知ることで、冷静かつ適切な対応をとれるようになっていただきたいと思います。


税務調査に関する法律を再確認

税法には「質問検査権(法人税法153条等)」といわれる条文があり、国税調査官は必要があるときは納税者に質問し、または帳簿書類等の検査をすることができる、とあります。
対する納税者については「受忍義務(同162条2項等)」で、税務職員の質問に対して答弁しない場合等は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金を課す、という罰則が存在します。


税務調査の対象になり易い会社は

毎年のように税務調査が行われる会社もあれば、「もう前回の調査から10年以上経つが税務署から一度も連絡がない」という会社もあります。これらは【税暦(その会社に関する過去の税務調査の履歴をいいます)】によって税務調査の頻度が増減することにより生ずる差異です。

一般的に税務調査の対象となり易い会社は次のような会社だと言われています。

【1】長期未接触の会社(上記のように10年以上税務調査がないような会社)
【2】財務諸表の各数値に異常値がある会社(業種の変更、売上急増、粗利率の急変、特別損失の計上等)
【3】内部告発があった会社
【4】過去の税暦が悪い会社(数年ごとに定期的に調査があります)

また税務調査による不正発見の割合を業種別にみると、パチンコ・再生資源事業・ホテル業・産廃業が上位を占めており、これら業種のほか土木工事業も脱税額が大きいため、やはり税務調査の対象になり易い業種であるといえます。


税務調査の連絡を受けてから調査前日までにすべきこと

税務調査の連絡があった日から調査前日までを時系列にすると以下のようになります。

◎事前通知
基本的には事前に税務署から連絡があります。確定申告書に「税務代理権限証書」を添付していれば、調査官は通常は顧問の会計事務所に連絡をします。

※但し現金商売等の場合、事前予告なしに調査官が来る(現況調査といいます)場合もあります。これは調査官が直接会社に行き、その日の会社の金庫に不明な現金や小切手等がないかどうかを確認するために行われるものです。このような場合には、例えば会社の金庫内を実査させ、「金庫には問題がない」ことを確認してもらい、その日は帰ってもらう等の対応が賢明です。
 そのまま調査を続行しようとする調査官もいますが、会社側の営業活動に影響が出て迷惑です。また、調査官が現況調査に来たら、必ずその場で税理士に連絡することを忘れないでください。税理士が来ることが可能なら、来るまで調査を待ってもらいましょう。

◎事前に確認すべき事項
事前連絡をしてきた担当調査官の氏名と部署、当日は何人で来るのか、場所はどこで行うのか(基本は本店所在地ですが、経理資料の保管場所や参加人数により変更が可能です)、所要日数はどれくらいか、等は事前に確認してください。

◎必要な経理資料を用意しておく
【1】定款・登記簿謄本・従業員名簿等の会社の基本資料、【2】株主総会議事録・取締役会議事録等の重要事項を決定してきた資料、【3】各種契約書(賃貸借契約や業務委託契約)、【4】原則として3期分の総勘定元帳・領収書・預金通帳・売上や仕入等の請求書・給与台帳等の経理資料が必要となります。
当日になって見当たらないということがないように、事前に用意するように心がけてください。

◎前日までの注意点
社長や経理担当者の机まわり、金庫内等はきちんと整理しておきましょう。電話帳、内線一覧、カレンダー(取引先名の記載あり)、会社で保管している印鑑、郵送物の確認もしておきましょう。不要なものがあったために調査官に意味なく疑われるのも心外です。代表者以外の役員(非常勤含め)の業務内容や役割も聞かれます。しっかり説明できるようにしてください。

また、過去の税務調査で指摘を受けた点も再確認しておきましょう。


調査当日

◎流れ
基本的には10時開始です。挨拶の際には調査官の証票を確認させてもらいましょう。
社長が挨拶し、会社の概要(商品やサービス、従業員数、事務所の場所等)や最近の業績を説明します。その後実際に帳簿の確認が始まります。総勘定元帳と、実際の請求書や領収書等の原始証憑との付け合せを行っていきます。不明点については、聞いて終わるような簡単な内容であればその場で質問を聞いてしまいましょう。資料の確認や取引の経緯の確認が必要な点等はその日の最後(大体4時〜4時半)にまとめて質問を受けます。
最終日の夕方は実地調査の締めです。調査官は修正が必要と思われる項目について指摘をし、会社側がそれを認めた場合には後日に修正申告書を提出することとなります。また最終日までに処理が確定しなかった事項(必要書類が見当たらない、税務的な判断が必要となる項目等)については、解答は後日とします(再度調査官が訪問するケースは少ない)。
曖昧なものは「後日連絡する」と言いましょう。安易に答えるのは得策ではありません。

◎昼食
基本的に調査官の昼食を用意する必要はありません(調査官も困るそうです)。調査官は12時になると昼食をとりに外出し、1時前後に戻ってきます。なお調査中のお茶菓子等は問題ありません。


「知って得する」項目

◎資料コピー等
通常の税務調査はあくまで任意調査ですから、資料のコピー等を強制されることはありません。但し円滑に調査を進めるためにも、コピーを求められた場合にはしてあげればいいと思います。

また資料原本(例えば領収書綴りを1年分等)を持ち帰りたいと言われることもありますが、基本的に納税者固有の資料でもあるため納税者の目の前で資料を確認してもらうことが前提かと思います。
よく「資料を持ち帰りたいと言われたら、断れないと思っていた。しかし持って行かれると何を調べられているか判らず気持ち悪いので、出来れば持っていって欲しくない」という意見を耳にします。

◎立会いの税理士
税務を日々扱う立場として、「税務調査の専門家である国税調査官」と「税務調査の素人である納税者」との橋渡し的役割を担っています。客観的事実や社長の意見をより正確に調査官に知らせるための存在ですので、調査の前にはしっかりと打合せをしておくことが重要となります。

◎税務上問題となり易い項目
例えば期末と期首の売上計上のズレ、〆日後の売上の計上漏れ、現金払いの費用(仕入や給与を現金払いしているのであれば、その相手方の住所等を調べられる可能性もあります。出来るだけ支払いは振込みにしましょう。)の処理は気をつけましょう。
また、外注費か給与か(雇用関係の確認)、グループ会社の関係(取引内容の確認)、役員貸付金や仮払金(役員報酬ではないかと疑われる)等も注意が必要です。
また赤字決算の場合でも、役員給与(源泉所得税)、消費税、印紙貼付(印紙税)には注意してください。





  経営・財務 ページのトップへ

社宅にすればこんなに有利

「本人が自分で住居を借り、家賃を支払う」ことより、「会社契約で住居を借り、会社が大家に家賃を支払い、本人は会社に「一定の家賃」を支払う」方が、本人にも会社にもはるかにメリットがあります。

「一定の家賃」とは「家賃の基準額の50%以上」です。それだけの金額を社員及び役員が家賃として負担すれば、給与課税されないで済むことになっています。この場合の基準額は、税法では従業員と役員で異なります。

それでは家賃の基準額とはどう算出するのでしょうか?


従業員の場合の取り扱い

従業員に対して社宅や寮などを貸す場合には、社員から1か月当たり一定額の家賃を受け取っていれば給与として課税されません。
この1か月当たりの一定額の家賃は、次の3つを合計した金額を基準とします。

 (1)(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
 (2) 12円× その建物の総床面積(平方メートル)
3.3(平方メートル)
 (3)(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

上記の3つを合計した金額が、従業員に貸す社宅や寮などの1か月当たりの家賃基準となります。この金額は、本来の家賃相場の20%〜30%以下で済むと考えて差し支えありません。この場合の社宅とは、会社の所有物件に限らず賃貸物件であっても構いません。

例えば、会社が第三者から月額家賃10万円で賃借し、それを社員に社宅として提供する、いわゆる「借上社宅」の場合、上記の基準額(仮に6万円とすると)の50%以上、例として3万円を家賃として社員から徴収すれば、従業員は給与課税されないのです。
数字を当てはめて、簡単に比較してみます。

【1】従業員が自前で家賃10万円の賃貸住宅に住む場合。

【2】会社がその家を社宅として借り上げ、家賃10万円を大家に支払い、従業員から社宅費として3万円徴収する。(経済的利益10万円−3万円の7万円は給与より減額する制度とします)> 【1】と【2】では、どちらが従業員にとって有利になるでしょうか?



従業員の場合の取り扱い

役員の場合は、借り上げ、自社所有双方とも、「社宅の規模」によって「家賃の基準額」計算が違います。

(1)「小規模住宅」…床面積、木造132平方メートル以下(木造以外の場合は99平方メートル以下)
次の【1】から【3】の合計額が1か月当たりの基準額になります。

【1】 (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
【2】 12円×(その建物の総床面積/3.3平方メートル)
【3】 (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

(2)役員に貸す社宅が240平方メートル以内で小規模な住宅でない場合(豪華社宅を除く)
次の【1】と【2】の合計額の12分の1が1か月当たりの基準額になります。

【1】 (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12% ただし、木造家屋以外の場合は10%を掛けます。
【2】 (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%

(3)豪華社宅である場合
床面積が240平方以上の大きな住宅やプール、カラオケ設備等のある住宅は、豪華社宅として、税法的優遇措置を認めず、時価(実勢価額)で計算することになっています。


バックナンバーメニューへ戻る


Copyright PROFIT CORPORATION 2009, All rights reserved.
Copyright SEIKO EPSON CORPORATION 2009, All rights reserved.