会計事務所と顧問先をむすぶCLUE 第132号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『経理の実務』
 経理・税務・・・ 『役員報酬の取扱いが明確化されました』
 経営・財務・・・ 『経営支援徒然帖』





 今月の特集

経理の実務

パソコン会計の時代
経理は仕訳で始まり、検証で終わる


パソコン会計が普及し一般的になった今日、経理の実務は大きく様変わりしました。取引→仕訳→総勘定元帳・補助元帳への転記→集計→決算書の作成という一連の経理の流れは、仕訳さえパソコン会計に間違えずに入力できれば、後は全部パソコンが正確に集計してくれるのです。ですから、経理は絶対に仕訳を間違えないという能力と、集計結果から作成された決算書が正確か否かを原資資料で確認する作業の2つが残されるだけなのです。
仕訳は日付、勘定科目、金額の3つの要素から成立しています。仕訳は、取引を借方・貸方の勘定科目別に区分することです。勘定科目は仕訳する本人だけが分かっていればいいものではありません。誰にでも通用する一般性のある名称を使用することが必要です。
勘定科目は大きく、資産勘定、負債勘定、資本勘定、収益勘定、費用勘定の5つに区分されます。

◆資産勘定
資産勘定は増加した場合は借方に、減少した場合は貸方に記入します。資産勘定の代表的な勘定科目は現金です。 借 現金が減少(出金)した場合、●●/現金 貸方と仕訳します。

仕訳が分からない場合は、現金を思い出して仕訳をすると便利です。資産勘定は流動資産と固定資産に大きく区分されます。そのうち流動資産とは原則として1年以内に現金化する資産を言います。固定資産は1年超に渡って使用する資産を言います。
流動資産の代表的な勘定科目に現金勘定があります。

▼現金
通貨及び他人からの小切手。

現金出納帳に通貨・小切手を受け取った場合は入金欄に記入し、現金で支払った場合は出金欄に記入します。
経理処理としては、現金を受け取った日付、理由、金額を仕訳します。

例)1月10日 商品を販売し現金20,000円を受け取った。
1/10 現金20,000円 / 売上 20,000円 と仕訳します。

例)1月15日 交通費1,500円を現金で支払った。
1/15 旅費交通費 1,500円 / 現金 1,500円 と仕訳します。


現金管理の重要性
現金が合っていない会社は倒産する


現金は入金・出金の記録が無ければ、何の痕跡も残りません。痕跡が残らないため、時間が経ち、記憶が薄れてしまうと、「何の入金だったのか」「何処に幾ら支払ったのか」等々が全く分からなくなります。分からないと、会社に大きな不利益が発生します。「紛失、盗難、横領ではないか?」といった様に。

それだけではなく、税務署は不明な現金は経営者に責任があると考え、経営者の役員報酬として所得税を徴収する可能性があります。

(1) 現金管理の方法
現金管理とは、【現金出納帳を毎日正しく記録し、金庫・レジの実際現金有り高と帳簿残高が確実に合っているかを日々確認すること】です。簡単そうに見えて、毎日の実務において、この簡単なことがなかなかできないのが現状です。会計の全ての事柄に密接不可分の関係をもっている現金の管理が、きちんとできていないということは、他の会計の全てがデタラメだということになってきます。現金出納帳は毎日記録し、実際の現金残高と照合するからこそ価値があるので、せっかく現金出納帳を記録していても、毎日現金実際有り高と照合しないのであれば、その現金出納帳は一文の値打ちもありません。毎日努力して照合し、もし不一致があれば徹底的に究明することが絶対必要です。

現金商売の小売り・飲食業等で、税務調査は現金実査と昨日の営業日報の照合を確認するために、抜き打ち的に実施される場合があります。その場合、現金と帳簿を毎日照合していることが確認できれば税務調査は90%終了したと言われています。現金商売で現金が正しく記録・照合されていれば、売上除外はなく、原価も架空仕入れは原価率から推定でき、後は経費程度しか調査しようがないからです。
現金管理のデタラメさは、オーナー1人の同族会社で、奥さんが現金管理をしている会社で多くは起こります。使用人に現金管理を任せることが、現金管理を正しく行う第一歩と言えます。


(2) 間違いのない現金管理
現金管理について業態の特殊性も考慮して、最も合理的な管理方法を採用しなければなりませんが、一般的に次のような注意をはらうべきです。それを一口で言えば、あまり現金を使用しないことです。


(3) 売上金は全部預金にすること
飲食・小売業等では、このような営業日報をレジの中に合わせて記録しておけば簡単かつ便利です。最初に現金の中につり銭分だけを入れ、金種別に記録しておきます。


(株)プロフィットより発売中 会計事務所業務支援NAVIより

売上金は入金の都度レジに入れます。もし、レジから現金を引き出した場合、必ず領収書や仮払い、出金伝票をもらいます。最低でもメモ等に書いてもらいましょう。

閉店後、現金を金種ごとに数え、営業日報を締めます。売上を売上伝票やレジペーパーで確認し、出金金額も領収書等で確認すれば、現金差額、現金過不足が出ます。1ヵ月の間、現金過不足が1円もない営業日報はそれ自体疑わしいものです。現金過不足があるのは自然であり、会社の規模に応じて、徹底糾明の基準と責任の明確な基準をつくっておきましょう。

例)1万円を超えたらレジを見直し、 全員の聞き取り調査をする等、レジの現金は、翌日の釣り銭を残し、全額夜間金庫か翌日銀行へ入金します。

[ポイント]
※釣り銭現金は常に定額用意
釣り銭用現金は常に一定額にしておけば端数計算もなく便利です。

釣り銭+売上金−レジ出金−釣り銭+(−)現金過不足=銀行入金となり、間違いもなく、照合も便利です。

※支払いをレジから出させるのではなく、原則として掛け仕入れにし、支払日も一定で、小切手支払いで対応 すれば、ムダな領収書もなく、さらに便利になります。要は、管理が難しい現金をなるべく発生させず、入金は即銀行へ、出金は掛け仕入れ、銀行決済すれば、「忘れた」「現金が合わない」というムダな作業も時間もいらないということです。


(4) 現金適正管理チェック…現金不正の事例

1.簿外の現金はありませんか?

社員の旅行積立金の現金、バイトの賃金で取りにこない人の現金、宅配依頼の預かり現金等は不正や脱税の温床になります。誰か1人が管理しており、他人には絶対に見つからない仕組みになってしまいます。

[対策] 帳簿に計上する。
1)社員の旅行積立金の現金…別途通帳を作り、
  旅行積立用預金/従業員預かり金
と両建て経理をしておく。

2)バイトの賃金
  現金/未払賃金

3)宅配便の預かり
  現金/預り送料

2.毎日、現金残高と現金出納帳の残高の照合をし、一致を確かめる。

3.仮払・立替等は仮払伝票を記入してもらう。

4.未取り立て小切手・未渡し小切手を1週間以上金庫に保管しない。未取り立て小切手は銀行に持参、未渡し小切手は、消却廃棄もしくは振り込みにする。


(5) 金庫に多額の現金を置かない

◆疑われる社長からの一時的な現金借入

会社に多額な現金・預金残高があるにも関わらず、社長から現金借入をすると、その合理的理由について税務当局に疑われます。

現金/社長借入金について、その必要性と実際に社長の個人通帳で引き出されていたのかを確認してください。10万円以上のお金が社長の個人通帳から引き下ろされた痕跡がなく、帳簿に計上されると、現金売上を隠し、【現金/売上】の代わりに【現金/役員借入金】として処理したのではないかと疑われます。

◆疑われない社長からの借入金、現金ではなく預金で

面倒ですが、金銭消費契約書を締結し、きちんと社長個人通帳から会社の通帳へ送金し、現金化するべきです。預金/社長借入金で処理してください。

▼当座預金

当座預金は、利息が付かない預金ですが、小切手を振り出して支払いが出来る決済預金口座です。
当座預金での支払いは小切手を切ることにより可能となります。

例)1月20日 仕入先××会社へ仕入掛け代金20万円を小切手で支払った。
1/20 買掛金20万円 / 当座預金 20万円 ××会社
小切手を受け取った場合は現金入金処理になります。
例)1月25日 得意先 ◎◎会社より商品50万円の販売代金を小切手で受取った。
1/25 現金50万円 / 売上 50万円 ◎◎会社

尚、2本の横線を引いた小切手の場合、銀行の窓口で呈示しても現金化してくれません。預金口座に入金されることになります。どうしても現金化したいのであれば、小切手の裏面に提示されている銀行に届けている銀行印を押印すれば換金可能です。

▼未取付小切手
小切手を切ったが、渡した先方が銀行に持っていっていない小切手を言います。仕訳は起きません。簿記上の取引ではありません。

▼未渡小切手
小切手を切ったが先方が集金に来ない状態の小切手を言います。

通常、一定期間保管し、期限が過ぎても取りに来ない場合は、取り消し仕訳をします。
例)1月31日 仕入先 △△会社の未渡小切手15万円を破棄した。
1/31 当座預金 15万円 / 買掛金 15万円 △△会社

▼普通預金
利息が付きます。また、小切手を使用していない会社の決済手段として振込みに使用します。出金伝票と振込伝票を使用するか、最近はインターネットで振込が出来ます。自動引き落としの口座としても使用されています。

例)2月5日 コピー用紙・トナー料金28,000円が普通預金から自動引き落としされた。
2/5 消耗品費 28,000円 / 普通預金 28,000円 コピー代

例)2月10日 普通預金利息600円が入金された。現在普通預金利息には国税15%地方税5%の税金が課税されている。振り込まれるのは手取り分80%。少し複雑な仕訳となります。

2/10
普通預金 600円 / 受取利息 750円
法人税等 150円 (国税112.5円 住民税 37.5円)





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役員報酬の取扱いが明確化されました

混乱を生じた改正当初

平成18年度の税法改正により、役員報酬(税務上は「役員給与」といいます)について改めて定義付けがされました。

その改正により、新たに「定期同額給与」という概念が生まれましたが、この定期同額給与という額が、今までの役員報酬とどう違うのかが明確化されていなかったため、導入当初は大きな混乱が生じました。

現在、導入から3年が経過し、また国税庁からも多くの質疑応答事例等が紹介されたことにより、ようやくこの定期同額給与の取扱いが明確化されましたので、今回はこの「定期同額給与」にポイントを置き、法人税法の役員給与と認められるか否かの相違点について確認したいと思います。


損金計上される三種類の役員報酬

役員報酬については法人税法34条に規定されており、「税務上の経費(=損金)となる役員報酬は三種類ある」と定義されています。

1.定期同額給与

支給時期が一ヶ月以下の期間ごとである給与(=定期給与)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの(=同額給与。及び以下を含む)

(1)事業年度開始後三ヶ月以内に行った給与の増減は定額給与と認める。
(2)経営状況が著しく悪化したため給与を減額した場合は定額給与と認める。
(3)継続的に行われる経済的利益の供与は定額給与と認める。

2.事前確定届出給与

その事業年度の前日までに「支給年月日、支給を受ける者、支給額」を記載した届出書を税務署長に提出し、それに基づいて支給する給与(いわゆる役員賞与)

3.利益連動給与

同族会社でない法人が役員に対して支給する利益連動給与で一定要件を満たすもの(いわゆる決算賞与)

そして上記三種類に該当しないで支給された役員への給与はすべて経費にならない(損金不算入)こととされました。


定期同額給与についての不明点

ここで、平成18年度改正法の施行時から問題とされてきたのは、定期同額給与のうち、
「(1)事業年度開始後三ヶ月以内に行った、、、」の具体的事 例が不明である。
「(2)経営状況が著しく悪化したため、、、」の著しく悪化と はどういう状況か不明である。
ということでした。
この点について国税庁では、平成18年から19年にかけて「質疑応答」や「Q&A」により、更に昨年の暮れになって実務上大きな問題とされてきた「経営状況が著しく悪化についての具体例」も明示され、ここにきてようやく落ち着きを取り戻したという状況です。

以下、平成18年の改正時以降の国税庁からの質疑応答を見ていきます。
(※3月決算法人を基本として事例を交えています)


平成18年6月通知 「定期同額給与」の具体的事例(1)

1.定時株主総会
決算終了後、三ヶ月以内に行われる株主総会で役員給与の額を変更(前期中と当期の6月までは80万円、7月からは100万円に変更)した場合にはこれを定期同額と認める。
→いわゆる定時株主総会での給与額の改定であれば、三ヶ月以内については認めるということです。

2.経営が著しく悪化
経営が著しく悪化したため改定(減額のみ)した場合にはこれを定期同額と認める。
→著しい悪化であればその改定については認めるということですが、「著しく悪化」とは何を指すのか、ということは明確になりませんでした。

3.過去に遡及して支給
過去に遡及して役員給与を支給(例:上記1と同様の事例であった場合、今期4月〜6月までの増加部分【20万円×3ヶ月=60万円】を7月に100万円と合算して支給)した場合には、その60万円については定期同額と認めない。


平成18年12月通知 「定期同額給与」の具体的事例(2)

1.定時株主総会以外での変更

定期給与の額を事業年度の中途(定時株主総会以外)で改定した場合にはその差額は損金の額に算入しない。

(1)増額された場合(例:当期の10月までは80万円、11月から100万円に増額)には、11月以降に増額した金額(20万円×5ヶ月=100万円)は損金の額に算入しない。

(2)減額された場合(例:当期の10月までは80万円、11月から70万円に減額)には、10月までに多く支給されていた差額(10万円×7ヶ月=70万円)は損金の額に算入しない。

2.分掌変更や合併等があった場合

分掌変更があった場合(代表取締役が急逝したため平取締役が代表取締役となった場合等)にその役員の報酬を増額させたときや、会社合併により役員の業務が増加した場合に報酬を増額させたときは、その変更分は定期同額給与と認める。(不相当に高額である場合を除く)

3.法令違反等による行政処分

法令違反等により行政処分があった場合に、社会的責任から役員の定期給与を一定期間減額させたときには、一般に相当と認められる金額は定期同額給与と認める。


平成20年12月通知 「経営の状況が著しく悪化したこと」の定義

〜以下、国税庁の原文を用います〜

「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいいますので、(中略)、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていれば、これも含まれることになります。
(中略)
このため、例えば、次のような場合の減額改定は、通常、業績悪化改定事由による改定に該当することになると考えられます。

1.株主との関係による場合

株主との関係上、業績や財務状況の悪化について役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合

2.取引銀行との関係による場合

取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合

3.債権者等との関係による場合

業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

また、以下が補足されています。
上記1については、基本的には「非同族会社」が該当すると考えられ「同族会社」については客観的かつ特別の事情がないと認められない。
上記2は、取引銀行との協議状況により客観的判断が可能である。
上記3は、その計画が利害関係者からの開示要求に応じられるものであるか否かで客観的判断が可能である。





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経営支援徒然帖

儲かる会社やお店は明るい。

儲かっている会社やお店は明るいというか、何かオーラが出ていると思いませんか。ここで言う『明るい』とは「照明、社員の声や顔、雰囲気、人間関係」等、全てです。儲かっている会社は言い換えれば繁盛しているということです。皆さんは、来客・電話が活発になり、「いらっしゃいませ」という元気な掛け声が飛び交っていると、思わず入店しまうことはありませんでしょうか。筆者は何度もそういう経験をしています。コンビニは24時間電気が点いていて、その辺りでは一番明るい店です。明るいので自然と吸い込まれていくのだと思います。

ドラッグストアのマツモトキヨシは出店する際、意識して古い薬局屋のそばに出店したそうです。旧来の薬局屋はドアを開けると白衣の薬剤師が出てくるという感じで、とても女子高校生が気楽に入れる雰囲気ではありませんでした。マツモトキヨシは黒と黄色の目立つディスプレイとオープンな店づくりで、旧来の薬局のイメージを打ち破りました。

成功したビジネスモデルには幾つかの共通項が見出せます。明るいから儲かったのか、儲かったから明るいのかは分かりませんが、まず「物理的に明るくする」「社員が楽しく働ける環境づくりを考える」このことを経営判断の原点とされてはいかがでしょうか。そうすれば、不況だからと言って「節電のため照明を暗くする」「経費削減のためコピー用紙の裏を使う」「パソコンの台数を減らす」等々の判断はより売上減少につながることが理解できます。

不況で経営・資金繰りが大変であれば、まず、何故そうなったのかを経営数値の公開で説明し、黒字経営の計画数値を皆に公開します。次に、経営者自身が報酬を大幅に引き下げ、全社員が売上・売上総利益に比例する業績給与を貰える仕組みに変えることです。儲かる会社の前提は、経営者が私利私欲ではないこと、儲けは社員の頑張った成果と考え、他方、経営結果に全社員が責任をもつ、リスクを背負ってもらうことです。だから経理は大事なのです。正しい経営数字を迅速に提出してもらい、毎月全社員が月次決算に連動して決算賞与を貰える会社が理想だと思います。


「モノの値段」の損得勘定

不況の折、『商品』や『サービスの値付け』に苦労されている方も多いでしょう。スーパーのチラシや不動産のチラシを見てみると、98円、2,980万円等の数字が並んでいませんか。人間は100円、1,000円、10,000円などのキリのいい数字を大台として認識しており、これをきると価格以上の割安感を感じて、事実よく売れるそうです。

そういえば、ホンダのハイブリッド車の定価も189万円という微妙な数字だったような気がします。日本の場合は、「8」が最後に来る価格が多いようですが、「9」はシャープかつ『苦しい』に通じ、あまり好かれていないように思えます。ちなみに米国では圧倒的に「9」です。99ドル、189ドル等がよく使われています。

ところで、日本人は真ん中が好きなようで、お寿司の特上・上・並とあれば、圧倒的に上の注文が多いとのこと。これを逆手に取って、『最も売りたい商品』の値付けを真ん中にすることが良いそうです。

行動心理学によれば、3つの選択肢があれば、「無難な真ん中を選択する」といった危機回避作用が働くので、人が何か判断するのは5秒程度とのこと。このとっさの感覚の判断は値付けにも反映しているようで、値引きも、定価1,000円から「300円引き」・「30%引き」・「3割引き」とあったら、圧倒的に反応が良いのは「300円引き」だそうです。値引き結果はみんな同じですが、消費者が飛びつくには金額の明示が関わってくるので、単位は違いますが、マンション「1,000万円引き」というチラシは大きな反響があったそうです。

このように、消費者は実際のところ厳密に計算している訳ではなく、感覚として「安い」というイメージをもってもらえることが大事だと分かります。 また、スーパーで1個398円のお刺身が3つ1,000円で販売されているケースも多いです。この場合、1個398円の刺身を買う人はほとんどおらず、まとめ買いによる割安感で売上を増加させています。筆者の近くのスーパーでは、土曜日9時から11時まで、100円以上の商品なら20円引きのシールを配布し、お年寄りを中心に大賑わいしています。しかし、これもよく吟味すると、他のスーパーで98円で販売しているものを118円で販売しています。賢い消費者の道は険しいようです。


保険のムダ 総点検

会社で色々な保険に加入されていると思いますが、今回は賢い保険の入り方について考えてみました。まずは、経営者が理解できないような保険に加入すべきではありません。昨年あたり、保険の営業が販売していた外国為替を活用した運用益が出る保険がそうです。今回の円高で大変な損失を被った会社も多いのではないでしょうか。為替レートなど素人の私たちが理解できる訳でもないし、そんな時間があれば会社経営にもっと時間を割くべきでしょう。

保険はシンプルが一番です。特約付き保険は、以下の2点の理由であまりお勧めしません。

1つは、会社の経営が危なくなって、本体の保険を解約したら、特約保険も失効することです。
2つ目は、保険は目的別に死亡・医療・退職金用・節税対策等別々に加入する方が断然安いのです。

例をあげると、税理士会の団体生保の場合、死亡掛捨保険であれば、死亡時1,000万円、全額損金40歳台で、2,110円団体保険があり、医療も1日5,000円、40歳台で1,555円と格安です。

ちなみにこの保険は、税理士の顧問先であっても加入できる制度があるとのこと。顧問税理士に相談されてはいかがでしょうか。


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