会計事務所と顧問先をむすぶCLUE 第119号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『飲食業の会計・経営管理』
 経営・財務・・・ 『経営者の必須知識…株の所有と譲渡制限』
 経理・税務・・・ 『繰越欠損金の切捨て回避策』





 今月の特集

飲食業の会計・経営管理

[第1章]
飲食業の経営計画の立て方


1.損益計画の立て方

まず初めに、月別の売上計画を立てます。飲食の場合、毎月の売上計画・予算は、営業日数×客平均単価×席数×回転数で計算すると予算化しやすいと思います。また、昼と夜の客単価や回転数が大きく変わる場合、特にランチメニューがある場合には、昼と夜の売上予算を区分するとより正確な予算が作成可能です。今年の北京オリッピックのようにイベントがあると飲食業の売上がその期間減少することも考えられますので、そのことも考慮しておくと更に精度の高い予算が作成できます。

1.売上計画の作成手順

(1)年間営業予定表の作成
(2)月別営業日数を算出する
(3)昼・夜 商品別等売上を区分する
(4)客単価を実績数値から見積もる
(5)席数を算定
(6)予算に精度を求めるなら、回転数を見込むより曜日別回転数を予算化する。
(7)営業日数×客単価×席数×回転数  から月別売上予算を策定する。

2.簡単な売上計画の立て方

予算作成は最初から緻密さを求めるのではなく、手順を追って精度を上げていくのが長続きするコツです。時間をかけて精度の高い予算を作っても、作り疲れで計画を活用せず、計画倒れになってしまっては何もなりません。一番簡単な売上計画の立て方は前期実績に何パーセントの増減比率で作成する方法で、五分もあれば作成できます。




2.原価計画の立て方

売上計画が出来上がれば原価は予定原価率から作成すれば簡単です。原価率は前年度の実績と目標数値、仕入先動向等を加味しながら作成します。


3.経費計画の立て方

飲食業の経費計画は、勘定科目別に詳細に立てる方法もありますが、簡単に大きな経費だけを取り出して、その部分だけを詳細に立てる方法が実践的です。例として、人件費・広告宣伝費・修繕費・募集費等が考えられます。人員配置計画、広告宣伝計画や修繕計画、人材募集計画をしっかりと立て、計画的に費用支出することが可能であり、必要だからです。その他の費用は前期実績を考慮して作成すればいいでしょう。


4.店舗別損益計画の作成

損益計画は店舗別に立て、店舗別に実績を管理して、店舗別の経過月実績+未経過月予算で決算予測をしておくと経営管理が便利です。店舗別経営計画では、売上・原価・人件費・経費を店舗別に作成し、本社部門は共通費として管理します。共通費とは、各店舗に直接使われる経費以外の広告宣伝費や募集費・顧問料・役員報酬・本部経費・支払利息等々があります。本部費・本社費・共通費と名前はいろいろありますが、この本部費を各店舗に配賦されている会社もあります。その場合の配賦基準もいろいろ考えられますが、店舗の売上金額や売上総利益の金額で配賦されています。より厳密には、各共通費科目ごとに配賦基準を変えることが望ましいことは言うまでもありません。

営業日報


5.複数予算の作成

損益計画には複数予算を立てる場合があります。営業目標を前向きに高く持ち、高い目標を目指して、その実現を図るのは企業経営にとって当然の話です。出来るだけ実現可能な高い目標を持つことが企業の創造力・活性力につながります。しかし、他方で高い目標、予算は資金計画を立てるときには危険性があります。中小企業は万が一その高い目標数値が達成できなければ倒産の危機に陥るからです。そこで各店舗別の営業向け目標予算と経理・財務向け絶対予算の複数の予算を立てる必要が生じてくるのです。


6.資金計画の立て方

飲食業の資金計画の立て方は以下の手順で立てます。

(1)借入金の返済計画を立てます。月々の返済額を返済表を見ながら簡単に作成できます。

(2)カード売上の場合、入金が一ヶ月等遅れるので、売上計画を現金売上とカード売上に比率で区分し、カード売上の回収期間で現金化で  きる金額を計画してください。

(3)仕入代金は、支払サイトの支払期間で現金支出する金額を計画してください。
支払サイトは、決算期の買掛金残高÷年間仕入金額×12で計算すれば、支払サイトは概算で求められます。例として、決算書の買掛金1,000万円、年間仕入金額1億円であれば、1,000万円÷1億円×12=1.2ヶ月となり、支払期間は36日サイトとなります。

(4)設備投資計画があれば、予定金額を支払予定月に計画してください。


7.損益計画と資金計画の最終調整で経営計画を完成させます。

資金計画で、年間営業収支の金額で年間返済金額、設備投資金額がまかなえるかどうかを検討します。

(1)営業収支≧年間返済額等
  無借金経営でお金に全く心配ない

(2)営業収支≦年間返済額
  (対策1)金融機関に必要額を事前に通知し、融資を受ける。
  (対策2)損益計画を見直し、利益拡大の可能性を追求し、再予算を立てる。


[第2章]
飲食業の経理・月次決算のポイント


1.飲食業の経理…現金で始まり現金で終わる

現金管理とは、【現金出納帳を毎日正しく記録し、金庫・レジの実際現金有り高と帳簿残高が確実に合っているかを日々確認すること】です。簡単そうに見えて、毎日の実務に於いて、この簡単なことがなかなかできないのが現状です。会計の全ての事柄に密接不可分の関係をもっている現金の管理が、きちんとできていないということは、他の会計の全てがデタラメということになってきます。現金出納帳は毎日記録し、実際の現金残高と照合するからこそ価値があるので、せっかく現金出納帳を記録していても、毎日、現金実際有り高と照合しないのであれば、その現金出納帳は一文の値打ちもありません。毎日努力して照合し、もし不一致があれば徹底的に究明することが絶対必要です。

現金商売の小売り・飲食業等で、税務調査は現金実査と昨日の営業日報の照合を確認するために、抜き打ち的に実施される場合があります。その場合、現金と帳簿を毎日照合していることが確認できれば税務調査は90%終了したと言われています。現金商売で現金が正しく記録・照合されていれば、売上除外はなく、原価も架空仕入れは原価率から推定でき、後は経費程度しか調査しようがないからです。現金管理のデタラメさは、オーナー一人の同族会社で、奥さんが現金管理をしている会社で多くは起こります。使用人に現金管理を任せることが現金管理を正しく行う第一歩と言えます。

1.間違いのない現金管理

現金管理について業態の特殊性も考慮して、最も合理的な管理方法を採用しなければなりませんが、一般的に次のような注意をはらうべきです。それを一口で言えば、あまり現金を使用しないことです。

2.売上金は全部銀行預金に入金する

飲食・小売業等では、このような営業日報をレジの中に合わせて記録しておけば簡単かつ便利です。まず最初に現金の中につり銭分だけを入れ、金種別に記録しておきます。売上金は入金の都度レジに入れます。もし、レジから現金を引き出した場合、必ず領収書や仮払、出金伝票をもらいます。最低でもメモ等に書いてもらいます。閉店後、現金を金種ごとに数え、営業日報を締めます。売上を売上伝票やレジペーパーで確認し、出金金額も領収書等で確認すれば、現金差額、現金過不足が出ます。1ヶ月の間、現金過不足が一円もない営業日報はそれ自体疑わしいものです。現金過不足があるのは自然であり、会社の規模に応じて、徹底糾明の基準と責任の明確な基準を作っておきましょう。

例)1万円を超えたらレジを見直し、全員の聞き取り調査をする等レジの現金は、翌日の釣り銭を残し、全額夜間金庫か翌日銀行へ入金します。

※ポイント

※釣り銭現金は常に定額用意
釣り銭用現金は常に一定額にしておけば端数計算もなく便利です。
釣り銭+売上金−レジ出金−釣り銭+(−)現金過不足=銀行入金となり、間違いもなく、照合も便利です。

※支払をレジから出させず、原則として、掛け仕入れにし支払日も一定で、小切手支払で対応すれば、ムダな領収書もなく、さらに便利になります。要は、管理が難しい現金をなるべく発生させず、入金は即銀行へ、出金は掛け仕入れ、銀行決済すれば、「忘れた」「現金が合わない」というムダな作業も時間もいらないということです。

3.経理処理は営業日報から直接パソコン会計へ

営業日報で経理の9割が可能
毎日一枚の営業日報から以下の仕訳をパソコン会計へ直接入力します。

 現預金/売上
 売掛金・カード未収金
 仕入/現預金
 各費用(レジ現金を使用した消耗品費 ・旅費交通費・バイト代等)/現預金

営業日報以外の経理処理は、給与台帳からの給与関係処理と借入返済表からの借入金処理、預金通帳からの自動引き落としの水道光熱費、リース料、社会保険料等です。

(1)手書の補助簿【預金出納帳・当座出納帳・得意先元帳・仕入先元帳・預り金元帳・仮払元帳・未払金元帳等一切の補助元帳】はなくし、パソコン会計で作成しましょう。

(2)手書きの集計表は一切作成しない。パソコン会計からデータをエクセルに取り出し加工すれば余計な集計業務はなくなります。

(3)通帳を一つにする
メインの通帳を一つにすると資金の流れや預金残高が一目瞭然になります。やたら預金通帳がたくさんある会社を見ます。モノがあると管理が発生します。できるだけお金の流れをシンプルにすることが経理の効率化につながります。

★預金通帳は一冊にしていますか?

取引が広がり、業暦が長くなるほど金融機関の取引も増え、預金通帳が増えていく光景をよく見ます。理由はどうであれ預金通帳が多いほど仕事は増えます。取引は一通帳に集中させます。入金口座も一つ、支払口座も一つに限定し、振込も1口座からすべて行うのが理想です。預金通帳を一冊にすることは、次のようなメリットがあります。

(1)預金口座間の移動がなくなり、時間と費用がかからない。
(2)口座の記帳する手間がなくなり、常に会社の資金残が一目で分かる。
(3)資金繰りが立てやすい。
(4)インターネットバンク一つでよく、ムダな費用がなくなる。
(5)いくつもの通帳を見て、残高不足を気にする必要がなくなる。
(6)通帳を見れば大体の儲けが分かる。


2.月次決算・監査のポイント

月次決算は、役員会・経営会議等で月次損益を判断するに足る正確性が必要です。
そのためには、通常の月次損益での計算等の正確性のみならず、以下の点にも留意する必要があります。

 1)費用の未払計上
  (例)未払社会保険料
     未払利息

 2)月割経費の計上
  (例)
 ●支出のない経費
 減価償却
 繰延資産償却・長期前払費用
 年間見積額
   ×1/12ヶ月

 ●支出が一括の経費
 賞与・保険料
 固定資産税 etc
 支払額
×1/当該期間

 3)月末在庫の計上

(注)このなかで、特に月末在庫の把握は、月次の期間損益の正確な算定のみならず、在庫管理の適正化に資するためにも重要です。月末在庫計上方法は段階的に精度アップが必要です。飲食の場合、単価の高いものから始め、お酒の本数×直近仕入価格高単価食材×仕入価格を毎月実地棚卸します。


[第3章]
経営会議・役員会・店長会等で経営と資金の先行管理をする


1.決算予測を見ながら経営の舵取りを

経過月の実績+未経過月の予算で毎月正確な決算予測を見ながら経営の舵取りをしていけば、100%黒字経営が可能です。

では飲食業の経営会議はどのような経営管理データが必要とされるのでしょうか?
通常、最低限でも以下の経営管理資料が必要とされています。

(1)月次試算表・決算書
(2)経過月実績+未経過月予算=決算予測
(3)実績+予定資金繰り表
(4)予算・実績差異分析表
(5)予想税額表

その他、多店舗展開されているのであれば、
(1)店舗別予算・実績差異分析表
(2)店舗別経過月実績+未経過月予算による店舗別決算予測が必要です。


2.三大経費まずしっかり管理する

どのような業種でも共通しますが、経営会議で最初に管理すべきは、経費のうち金額が多い上、3つか4つの経費の管理です。飲食業であれば、原価・人件費・家賃・広告費等です。細かい経費に目をやるのではなく、大きく3つか4つぐらいの経費の削減にまず手をつけることです。飲食業の場合、仕入原価・人件費・家賃の3大経費が75%に収まることが損益分岐点と言われています。原価30%、人件費35%、家賃10%を目標にされている経営者も多いのではないでしょうか。飲食も業界によって違い、高級店では、価格が高く、仕入原価は低いが、板前の人件費が高い傾向があり、低価格の店は、原価率が高いがその分人件費が安い等、3大経費の構成比率は変わっても、トータル75%以内に収まっていなければ黒字経営になりません。貴社の3大経費の推移を年度を追って見られてはいかがでしょう。多くの会社がそうであるように、この20年バブルもあり、大きな時代の転換期でもあった訳ですが、自分の会社をこういう視点から分析すれば違った見方もできるのではないでしょうか。

1.まず原価率の見直し、コストダウンを図ることです。

経営会議では、原価のコストダウンは調査から始まります。

(1)売上の目算違いで商品のムダな廃棄をしていないか。
(2)賄い料理に高い食材が使用されていないか。
(3)商品の横流し等の不正はないか。
(4)同業他社と比べて、原価率が適正か。
(5)仕入調達先の合い見積もりを取っているか。安く手に入る方法の模索。
(6)売価が適正か。

等々の検討がなされています。

2.次に人件費のコントロールです。

人件費が適正かどうか、生産性の調査がまず必要です。売上総利益を社員数で割ってみることです。売上総利益8,000万円の会社では、社員(常勤役員を含め)が8人以下であれば、優秀な会社と言えます。1人1,000万円の売上総利益があれば、平均給与500万円前後が可能です。

しかし、10人以上であれば、一人800万円以下の売上総利益しかなく、平均給与も400万円程度となり、ギリギリの状態ではないでしょうか。もちろん業種や業態、社員の年齢構成、社長の給与水準、男女比との兼ね合いも考慮して判断する必要がありますが、自社の客観的水準を一人あたりいくらの売上総利益があるのかを常に知っておくことは重要です。

また、人件費を変動費化することは重要です。つまりお客さんや仕事の多い時に人を多く配置し、少ない時に必要人数しかおかないという人事配置が必要です。これには過去のデータを取り、分析することです。まず月ごとの売上推移・曜日ごとの売上推移・イベント等の売上変動をつかみ、それに応じてアルバイト・パートを適正に配置することです。そんな都合のいいアルバイトやパートはいないとおっしゃる経営者もいます。しかし、低い時給で長時間勤務よりも、必要な時だけ短時間勤務で時給を高くした方が、より従業員が集まります。

また、経理や総務・業務等で季節変動のある場合、ちょっと高くても、人材派遣を活用することも人件費を変動費化するコツです。営業日報にアルバイト・パートの一時間あたりの売上を記載し、時間売上を算出しておき、ムダな人件費をなくす努力が必要です。

3.地代家賃

昔から1ヶ月の家賃は3日分の売上が適正といわれていますが、売上の約9%〜10%が丁度それにあたります。月家賃20万円の店舗であれば、月売上最低200万円が必要となります。家賃の10倍を稼げるかどうかが、新規出店の目安となるようです。

広告宣伝費も最近は大きい経費となっています。いくら位広告にお金をかけていいのかと聞かれることが多いですが、まず同業他社の実態をよく調査することです。おおむね売上の2%以内が広告宣伝費の限度と言われています。


3.飲食業の資金繰り

平成19年10月からの保証協会がこれまでの100%保証であったものを80%しか保証せず、残りの20%は金融機関がリスクを負うという部分保証制度の導入は、中小企業の資金繰りに大きな影を落としつつあります。これと無担保のビジネスローンの折り返し融資及び審査基準の厳格さが相まって、平成19年7月以降前年比40%近くの倒産が増加しているそうです。特に年商5,000万円未満の小企業の倒産が増加しているとのことです。

飲食業の資金繰りの特徴は、基本が現金商売ですので、設備資金以外の運転資金を基本的に必要としないということです。新規開業の場合 1)国民金融公庫か2)信用保証協会付き融資以外では、担保がなければ資金調達が困難です。

飲食業経験者という前提でも、国金1,000万円、保証協会1,000万円が最高限度額です。開業資金計画でも、保証金以外はリースを使えますので2,000万円あれば充分開業できます。広告費・仕入代金等で最初は余裕資金で出発したいものです。問題は水商売とはよく言ったものですが、日銭が入り、残らず使ってしまって、税金滞納や改装資金、売上減少の堪える資金がなくなる経営者が多く、倒産率の高い業種と言えます。月の減価償却分ぐらいは定期積金をしていくことが大事です。営業収支で借入金返済が可能でないと赤字経営です。もし資金管理に自信がなければ、現金売上、現金仕入、日払いバイトに心がけ現金管理だけで経営する方がはるかに健全です。

金融機関も改装資金、設備資金には相談に乗ってくれますが、借金返済や買掛金支払の運転資金は厳しいと言えます。


4.大きいことはいいことだ

多くの飲食業の経営に参加していればすぐ分かることですが、飲食業の規模が大きく、かつ管理会計と財務会計がしっかりしていて、経営、特に資金の先行管理をしている飲食業は強いことです。当たり前ですが、規模が大きく、先行管理していれば、経営者が打てる手、判断の選択肢が増えるからです。

多店舗展開していれば、赤字の決算予測になった場合、

(1)赤字店への徹底した黒字展開に向けた、人・もの・金といった経営資源を投資する。具体的には、スーパーアドバイザーや社長、役員の投入、店舗改装、セール実施等
(2)店長等の人の入れ替え
(3)経営委託等に切り替える
(4)造作譲渡等で赤字店舗を売却する
(5)店舗を閉める

少し思いついただけでも5段階の手を打てます。

これが一店舗の小企業であれば、(1)の借金した上での頑張りしか手がないのです。(2)の店舗を閉めることは、生活の糧を失うことになり、もう一度借金を抱えたままでの再就職は物理的にも精神的にも非常にきついことです。そのため決断もできず、ずるずる借金が膨らみ、人間関係を壊し、夜逃げすることが起こるのです。

経営の先行管理を前提に、会社の規模を大きくし、経営判断の多様な選択にする(私はこれを「経営のダム」と呼んでいます)ことが必要です。経営者にはいろんな顔といざというときの備えを最低3段階もちたいものです。


5.経営会議と成果主義賃金体系で会社は変わる!

大企業はバブル崩壊後、年功序列、終身雇用制度から成果主義賃金体系へと移行しています。経営会議で予算の達成度を正確につかみ、予算達成度に応じた成果配分をされて、社員の志気が高まった会社の事例を紹介します。

飲食業。都内十八店舗の居酒屋、レストラン等経営。

《手順》
 1 店舗別予算…店長と役員で。
 2 月次決算…正確な月次決算。在庫実地棚卸し。
 3 半期で営業利益が半期目標予算を上回った場合…達成額の3割を業績賞与として分配。

《効果》
 1 ムダな経費を店舗自身で削減提案…
   ピンク電話の解約【携帯電話の普及で誰も利用していない】
   店舗駐車場の解約【社員の専用化、客の利用なし】等々の提案
 2 月次決算の精度アップ…棚卸の正確さ、営業日報の正確さ等
 3 アルバイトのコントロール…客の入り状況等でアルバイト人数調整
 4 売上増加の販促活動、メニュー作成等社員の創造力の活性化

《前提》
 1 経理の公開
 2 経営陣の私利私欲、公私混同の排除
 3 約束の厳守

《問題点》
 1 目先の利益の排除…原価率の厳守…店舗自体の標準原価率の厳守
 2 赤字店の処分
   1)店長・板長の減給…リスク負う
   2)店長等の交代
   3)減価償却費計上前で営業利益が赤字になり、改善困難な場合、

   ◎社員等へ独立、経営委託に切り替え
   ◎同業他社へ譲渡
   ◎店舗廃業

等々の対策をとられています。経営会議で予測決算、予想資金繰りを眺めながら社員へ快適な労働環境を提供していけば、黒字経営まちがいなしです。


6.最近の飲食業の実態

2008年現在、経営会議に参加し、2007年年末商戦や直近の営業結果を聞いていますが、あまり良くなかったようです。平成20年2月はうるう年で29日あり、昨年に比較して営業日数が1日多い分、前期より5%程度売上が伸びて前期比100%と言えます。下記に2社の平成19年9月からの前期比売上比較データを掲載しました。貴社の経営状況と比較し経営判断の参考にしてください。関与先の中小企業の経営者が異口同音におっしゃるのは景気の先行き不透明、経営環境の悪化への懸念です。原材料の高騰、少子高齢化、資金調達の困難さ、公共事業の削減、社会的コストの増大等々がありますが、この厳しい経営環境を逆手にとって経営判断をしていくことがかえって自社を強い体質に変えていくのです。

平成19年〜20年前半 売上前年度対比表
  19年 20年
9月 10月 11月 12月 1月 2月
A社 109.5 104.84  99.84  94.37  97.7 115.0
B社  93.94 104.97 108.44  95.52  93.4  99.2





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経営者の必須知識…株の所有と譲渡制限
知っておきたい!株主構成と経営権の関係

株式の所有割合と経営権の関係に注意してください。株主所有割合と経営決定権の関係をまとめると以下になります。


3分の2以上保有の場合

あなたとあなたの関係グループで全株の3分の2以上を保有していれば、定款の変更事項等及び重要な意思決定事項(商号・目的・本店移転・合併・営業譲渡・会社解散・取締役の解任・監査役の解任・新株の発行等)ができ、経営権を安定的に維持することが出来ます。


2分の1超保有の場合

全株式の過半数を保有していれば、決算の承認、取締役・監査役の選任、取締役の報酬の決定等ができますので、経営の主導権を取ることができます。


2分の1丁度の保有の場合

協調して事業を行うことが出来ます。この場合、しっかりした信頼関係が長期にわたって維持されることが前提になりますので、99%うまくいきません。どちらかのグループ関係者に不幸があった場合等や経営がうまくいった場合もうまくいかなかった場合も責任の所在についてもめます。


2分の1以下の保有の場合

あなたの意見はある程度尊重されますが、実権は過半数の人にあります。映画で代表取締役の社長が取締役に解任されたシーンがありますが、少し違います。取締役会でできることは、代表取締役を解任して、平の取締役にできるだけです。臨時の株主総会を開催して、前代表取締役で現平取締役をさらに解任するという手続きを経ます。三越の岡田社長や最近のバレーの三屋裕子氏もこのような経緯で代表取締役、取締役を解任されました。もし、代表取締役になってもらいたいという話があれば、そのリスクの大きさに見合ったメリットと考慮する必要があります。株式51%超の所有は一番の選択と言えます。


あなたの会社は大丈夫ですか? 株式譲渡制限

会社法では、株式を譲渡するときには、会社の取締役会の承認を必要とすることを定款で定めることが出来ます。この定めをすると、現在の株主が保有する株式を他人に売却して名義変更したい時には、取締役会の承認を受けなければならないので、その際もし株主の買い手が当該会社にとって敵対関係等にある場合や不都合の危惧がある場合には、別の買い手を指定することができます。この規定を利用すれば、自分の会社に知らない人が株主になることは防げます。原則として株式の売買は自由ですが、株式を上場する気がなければ、株式の譲渡制限を設けておくことが一般的です。

中小企業は株式譲渡制限が必須

今からでも間に合います。定款の変更等で株主総会の特別決議が必要な3分の2以上の株式を保有していないと経営権が混乱します。株式の上場を予定していない場合には株式の譲渡制限規定を設けるべきです。

■具体的手続き

取締役会… 定款に「株式を譲渡するには取締役会の承認を必要とする」旨の規定を新設することを決議し、このことを承認する株主総会の招集を各株主に通知します。

株主総会… 1)上記議案を提出して承認を求める。
2)総株主の過半数が出席し、総株主の議決権の三分の二以上の賛成を得る。

登記申請… 法務局へ上記決議に基づく登記簿に記載されるよう申請します。

(例) 定款・謄本に以下の記載があるか確認してください。

定款
 第7条 当会社の株式を譲渡するには、
 取締役会の承認を受けなければならない。
 会社謄本
 株式の譲渡制限に関する規定
 当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を受けなければならない。





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繰越欠損金の切捨て回避策

青色欠損金の切捨て

青色申告法人には、七年間の欠損金(赤字)の繰越しが認められています。すなわち発生した欠損金は翌事業年度から七年間の間に生じた所得(黒字)と相殺し課税所得を減らすことができます。しかし、七年を経過した欠損金は切捨てられてしまいます。

欠損金の切捨ては、節税の機会を永久に放棄する一大事ですから、合法的な範囲で何とか対策を講じたいものです。


切捨て回避策の具体例

■ 税法上、損金算入が任意とされている項目を計上しない方法。(ただし、会社法上、(1)(2)(7)の方法は妥当ではないようです。)

(1)償却資産の減価償却を実施しない。
(2)繰延資産の償却を実施しない。
(3)償却方法を定率法から定額法に変更。
(4)少額資産を取得時の一時の費用にせず減価償却資産に計上する。
(5)固定資産を修繕した場合、修繕費か資産計上すべきか微妙な時には資産計上する。
(6)滞り債権の貸倒れ処理を慎重に行う。
(7)貸倒引当金や返品調整引当金などの引当金を計上しない。
(8)海外投資損失準備金などの準備金の繰入れを行わない。
(9)買換え資産などによる固定資産譲渡益を減額する圧縮記帳を行わない。
(10)棚卸資産の評価方法を変更する。
(11)資産の評価損の計上を慎重に行う。


■売上の計上時期を変更する方法

(1)売上基準につき割賦基準や延払基準 を採用している場合、引渡し基準に変更する。
(2)工事完成基準を採用している場合、工事進行基準に変更する。


■その他

(1)含み益が生じている有価証券、土地、 会員権などの売却を行う。
(2)支払不要となった債務の戻入れを行う。


「税金よもやま話希代の珍税奇税」

■動物の税金

犬税というものがあり、昭和30年には2,686の自治体が課税していましたが、昭和57年に長野県四賀村が課税制度を廃止したのを最後に姿を消しました。また馬税というのもあり、明治6年には、馬一頭につき年3円、商売用の馬だと半分の税金がかかっていました。うさぎ税というものもあり、明治6年東京府は、うさぎ1羽につき月1円の税金をかけました。江戸時代には、クジラ税というものもあり、クジラ獲りは儲かる仕事だったようです。


■節税の美学

重要伝統的建造物保存地区の京都の町家は2階建ての間口三間ベンガラ格子の美しい町並みを形づくっています。将軍家光の時代、京都では間口三間あたり一軒分の家屋税を払うことになっていたので、京都の町家の95%は間口三間だったそうです。節税を美に昇華させてしまうところにみやこ人の面目を感じます。


■トイレの税金ヒゲの税金

有名な円形闘技場コロセウムを作ったローマ皇帝は市民に街頭のトイレを使うことを強制し、トイレ利用税を布告しました。

ロシアではピョートル大帝時代、キリストはひげをつけていたと信じられていたので、ひげは神の似姿になる贅沢な行為という理屈でひげ税が設けられていたそうです。商人、役人、農奴で課税標準が異なっていたとか。


■究極の奇税・初夜税

ルネッサンス期のヨーロッパでは課税権をもつ各地の領主の中には「領主は領地内の農民が結婚する時、その花嫁と初夜を過ごす権利がある」と初夜税を宣告した者がいたとか。1538年スイスのチューリッヒ州議会が発行した公文書に記録されているようです。


 【 提供・デイリーコラム 】


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