●今月の特集
国税庁が民間企業で働く人を対象にした平成17年分の「民間給与実態統計調査」が発表されました。 これによると、平成17年分の調査結果からみた主要な点は、次のとおりになります。 ここにきて実質GDPが成長した、いやデフレ圧力が沈静化しました。景気回復で新卒採用が売り手市場となり、優秀な人材確保には給料の引き上げが必要だと景気のいい話が飛び交っています。ですが、ちょっと待ってください!「一部好景気の上」ばかりに目をやっていては、数字のマジックに翻弄され実態を見落とすことになりかねません。そこで現実の数字を見ると驚くばかりです。ご存じのように国税庁の資料は全国の給与所得者の源泉徴収票からはじきだされており、他人の懐具合をなかなかつかめない一般人が知り得る貴重なデータです。 ※更に詳細をお知りになりたい方は、国税庁のホームページへ ■総評 1.平成17年12月31日現在の給与所得者数は、5,304万人(対前年比0.6%増、34万人の増加)となっています。また、平成17年中に民間企業が支払った給与の総額は201兆5,802億円(同0.1%減、1,940億円の減少)で、源泉徴収された所得税額は9兆364億円(同1.6%増、1,385億円の増加)となっています。なお、給与総額に占める税額の割合は4.5%となっています。 ※平均的サラリーマンは年収の4.5%の所得税を支払っているのが解ります。 300万円の年収であれば、135,000円、500万円の年収であれば、225,000円です。 2.1年を通じて勤務した給与所得者については、次のとおりとなっています。 (1)給与所得者数は、4,494万人(対前年比0.9%増、41万人の増加)で、その平均給与は437万円(同0.5%減、2万円の減少)となっています。 これを男女別にみると、給与所得者数は男性2,774万人(同0.8%増、22万人の増加)、女性1,720万人(同1.1%増、19万人の増加)で、その平均給与は男性538万円(同0.5%減、3万円の減少)、女性273万円(同0.3%減、1万円の減少)となっています。 ※男の平均年収538万円、女の平均年収273万円、みんなそんなにもらっているのだと思ったあなた、数字のマジックで詳細分析を見ればこのカラクリが解ります。 ※好景気と言われていても、サラリーマンの年収は減少しているのです。さらに定率減税の廃止で、給与が下がり、税金はアップ、実質手取りはダブルで減っているのです。これで物価が下がらなくてはやっていけません。しかし、デフレは会社を更に不景気にして、給与は下がるのです。 (2)給与所得者の給与階級別分布をみると、男性では年間給与額300万円超400万円以下の者が494万人(構成比17.8%)、女性では100万円超200万円以下の者が449万人(構成比26.1%)と最も多くなっています。 ※ここで一安心の人も多いでしょう。男性ではだいたい300万円〜400万円の範囲が平均で、女性は100万円〜200万円以下が一番多い。アルバイト・パートでも1年以上勤務されている人が国税庁のデータなので、長期パートさんに女性が多いのでしょうか。 (3)給与所得者のうち、3,853万人が源泉徴収により所得税を納税しており、その割合は85.7%となっています。また、その税額は8兆9,630億円(対前年比1.9%増、1,642億円の増加)となっています。 (4)給与所得者のうち、年末調整を行った者は4,135万人となっています。このうち、配偶者控除又は扶養控除の適用を受けた者は1,700万人で、扶養人員のある者1人当たりの平均扶養人員は2.12人となっています。 ※単身者・共稼ぎ等の割合が58.8%、家族持ちが41.1% このデータから抽出される平均的なサラリーマン像は、共稼ぎで、年収600万円程度で、子供が2.12人、昨年より夫婦で4万円程度年収が減ったが、納付税額が変わらず、実質手取り6万円程度減少した姿が浮上します。他方半数以上が単身者であることも分かります。 ■詳細分析 ★事業所規模別より 給与所得者数・給与額・税額
事業所規模別・企業規模別・業種別
1.中小零細企業だけを取り出してみると、上記の傾向がより極端になります。10人未満の事業所の給与が前年比94.6%と大きく落ち込み、税金は106.8%と増加しています。10人以上30人未満の事業所は手取りがほとんど変わっていないことが読みとれます。 2.企業規模では、資本金2,000万円から5,000万円程度の中規模の会社が大きく給与を下げていることが分かります。資本金1億円以上の大企業では、年収がほとんど変わらず、税金が減少した分手取りが増加しています。 3.業種別では、5業種で給与が増加し、5業種で減少しています。景気動向は業種によって偏向しているのが読みとれます。相変わらず、建設業・金属機械・不動産・運輸通信・サービス業が前年度の給与を下回っており、成長軌道に乗っていないようです。 ★業種別給与階層表より こちらをクリック 国税庁のデータを業種別に分析してみると、業界の給与水準が見えてきます。給与分布で一番高いのは400万円から500万円の化学工業・金属機械業で、次に300万円から400万円の間に最も多い業種としては、建設業・運輸通信業です。200万円から300万円の帯にはその他の製造業・サービス業、100万円から200万円の幅には、繊維工業・卸小売業・農林水産業となっており、それぞれの業界の給与水準、パートの比重の多さを示しています。 全産業全体では、400万円から500万円の幅に、17.2%でした。 ★国税局別・規模別給与額表より こちらをクリック 平均給与を地域別データで入手することが極めて重要であり、マクドナルドではないですが、東京と比較検討することが、今後地域別価格を導入検討されている企業にとって、参考になるかも知れません。東京は賃貸住宅価格が高く、給与−賃貸料=実質可処分所得等で比較すると住みにくい街になっています。そこで、全国各地の国税局平均給与・規模別データの東京都を100%として比較してみました。個人事業者 東京を100%として、札幌85.8%、仙台66.2%、関東信越71.5%、金沢75.0%、名古屋83.2%、 広島72.9%、高松82.0%、福岡70.7%、熊本68.8%、沖縄68.9%となっています。資本金2,000万円未満の中小企業について見てみると、男性では、札幌79.9%、仙台75.6%、高松72.9%、熊本76.5%と東京に比較して3割程度給与が低く、金沢・名古屋・大阪は1割以内の減少に留まっています。世界のトヨタを抱え、好景気の様相がある名古屋や商都大阪は別にして、金沢や富山は住みやすそうな給与水準と思われます。 女性では、資本金2,000万円未満の中小企業では、札幌・高松・沖縄・熊本は東京と比較して、半分から60%程度の低給与水準には驚かせられます。これでは若い人達の東京志向、過疎化が進むわけです。ここでも金沢・大阪・名古屋は健闘しています。逆に1億円以上の大企業では、金沢の女性の方が東京よりも1割以上高給与というデータになっています。 全国平均で、東京よりも男女共給与は1割減程度となっていますが、東京の地価、賃貸料は全国平均よりも2割以上高額と思われるので、可処分所得でみれば東京は住みにくい街といえます。
経理担当者の業務は、どうしても過去の数字を処理することに注意がいきがちです。1円、2円の数字を間違えないことや、出費を押さえ新しい挑戦に腰が引ける場合が多く、ともすれば経費削減一辺倒になりがちです。しかし、経営者の視点は常に過去ではなく未来に向いていなければなりません。夫婦で言えば「締まり屋の奥さんと明るく前向きな旦那さん」の組み合わせが経営者と経理担当者の理想型かも知れません。これを経営管理に取り入れたものが、【経営会議システム】です。経営者の夢を数値化した【経営計画】と正しい月次決算で正確な企業の経営実態をつかみ、それを結合させて正確な予想決算をみながら経営してもらう仕組みです。 これを分かり易く図解すると図1のようになります。 【図1】 経営者は過去ではなく常に未来に向いている 【質問】 経営会議システム発案のきっかけは何ですか? 【回答】 経理とは経営管理の略語だと思います。中国では経営者、社長のことを【総経理】と呼んでいます。しかし、日本では世間一般に、【金庫番】【帳簿付け】といったマイナスのイメージがありませんでしょうか?もちろん日常の経理業務は、会社の取引を処理・仕訳し、企業の財政状態と経営成績をつかむ地味な仕事ですが、大事な仕事です。しかし、この大事な仕事も経営に役立てなければ意味あるものとは云えません。仮に税金の申告のためであれば、極端な話、年一回の売上−経費=利益と区分すればいいのです。そうではなく、会社の正しい現在位置を知り、間違った方に舵をきらないようにすることが大事な仕事ではないでしょうか? そもそも優秀な経営者は過去の結果に拘泥していません。常に明日、明後日、1年後と前々を向いているはずです。未来志向の経営者の未来予想図を【経営計画】に反映させることこそ【経理】の大事な役割ではないでしょうか? 【質問】 経理部門の存在意義とは? 【回答】 経営者の経理のとらえ方によって経理部門の存在意義が変わってきます。経理を必要悪、税金は取られるものととらえ、仕方なく経理・帳簿付けをしていると考えている経営者にとって経理はムダそのもので、経理担当者の給与はできるだけ安くあげたいと考えるかも知れません。しかし、毎月試算表や月次決算書を作成している会社とそうでない会社を比較すると、会社の倒産率は後者の方が10倍も多いそうです。また、過去の事例でも、経理がしっかりしていないため、売掛金を回収できなかった、多額な税金をとられた、金融機関の融資をうち切られた、お金を使い込まれた等々枚挙に暇がありません。むしろせっかくの経理をもっと経営に活用できないか?と前向きに考えたいものです。 【質問】 その経理の活用が【経営会議】なのですね! 【回答】 そうです。検索ブラウザで経営会議と入力してもまだまだアクセス数は少ないですね。経営会議は巷であふれている経営計画と全く違います。経営計画は、日々の経理とかけはなれていますが、【経営会議システム】は、日々の経理業務【財務会計とも呼ばれています】と月次予算【管理会計とも呼ばれています】とを結びつけるものなのです。 ●経営会議の流れ 1. 経営計画=損益計画と資金計画の作成 2. 月次決算=正確な経営成績をつかむこと 3. 月次・定例の経営会議 (1)経過月実積+未経過月予算=正確な決算予測 (2)正確な利益予想=正確な税額予想 (3)B経過月実績資金繰り+未経過月予想資金繰り表による資金調達の先行管理 (4)実績・予算差異分析=総勘定元帳チェックで原因究明 ・経理の精度に問題があったか? ・月次予算に問題があったか? ・不正があったか? 4. 議事録作成・参加者全員閲覧による経営意思統一の確認 このように毎月経営目標に向かって達成されているかどうかを確認していくわけです。もちろん必要があれば、軌道修正=予算修正も当然行っていきます。毎月定期定例実施が非常に大事です。経営会議に会社のあらゆる情報が集まる仕組みとなり、そこで重要な意思決定を役員等経営に責任を負う方々が行う、この上場会社では当たり前の仕組みを中小企業もぜひ取り入れていただきたいものです。 1円でも赤字を出せば資金調達は一気に困難 【質問】 金融機関の融資姿勢が変わってきましたね。 【回答】 そうです。以前の担保による融資から決算書の格付融資に大きく変わりました。国民生活金融公庫や保証協会等の公的融資だけではなく、都市銀行等もいわゆるビジネスローン「無担保融資」が主流となり、決算書重視、償還返済年数【借入金/減価償却費+税引利益】重視にシフトしています。税理士の決算監査証明【中小企業会計チェックリスト】を添付すれば、金利等が優遇される時代になりました。この流れはさらに加速するものと思われます。経理担当者は成り行きで決算書を作成するのではなく、決算・財務予測を念頭に戦略的に決算書を作成する必要があります。経営会議で常に決算予測し、1円でも黒字になるよう経営の舵取りをしてもらわなければなりません。経理担当者の一番の悩みの種は資金繰りです。資金繰りが苦しい原因は、売掛金の回収遅れ、不良債権化であったり、在庫の増加、借入金の返済ですが、一番の問題は営業収支がマイナスであることです。営業収支のマイナスは簡単に言えば儲かっていないからです。資金繰りに責任を負う経理担当者は経営者と一体となって儲かる会社にしない限り資金繰りの苦労から解放されません。過去計算、結果計算、毎月帳簿付けだけが経理の業務では、資金繰りは良くなりません。 経営会議を一度体験してみたい! そんな会社はまず御一報ください。 経営会議を一度体験してみたいと思われる経営者の方々へ。 現在、全国92箇所の会計事務所で経営会議システム【CLUE】が活用されています。北は北海道から南は沖縄まで、全国の会計事務所をカバーしていますので、一度経営会議を体験してみたい!という会社がございましたら、(株)プロフィットにご相談ください。お近くの会計事務所をご紹介いたします。 経営会議システム導入後の企業のメリットを簡単にご紹介します。 1.毎月経過月実績+未経過月予算による正確な予想決算が見られ、経営の先行管理ができます。 2.毎月実績+予定の資金繰り表が見え、資金繰りの先行管理ができます。 3.夏季賞与をいくら支給できるのか等々の成果主義賃金体系の移行が出来ます。 4.店舗別、支店別、部門別の決算予測、実績・予算の差異分析が出来ます。 5.後継者育成、社員の経営参加意識の向上に役立ちます。 6.正確な経営計画の作成、正しい月次決算が出来ます。 その他、経営数字に強い会社になり、どんぶり勘定や言い訳の多い会社から筋肉質ある強い会社に生まれ変わります。
今年も税務調査が本格化する季節がやってきました。税務調査を「後ろ向き」に考えず、会社の経理・税務の発展の一助として前向きに捉え、月次決算の精度を高めるきっかけとしましょう。 法人の税務調査では、法人税は当然ですが、所得税、消費税、印紙税の調査も合わせて行われるケースがほとんどです。 <科目ごとの税務調査時のチェックポイント> 実際の税務調査は、取引内容を確認したうえで、申告内容の妥当性をチェックするのが目的ですが、ここでは、いくつかの具体的な科目を基に、税務調査時に問題となりやすい点をあげています。従って、逆にいえばこれらの勘定科目について、日常業務のうえで常に問題が生じないように適正に処理しておくことが大切です。 ●勘定科目別チェックポイント 勘定科目別チェックポイント
●人事・労務 時間外労働・休日労働に関する協定書の原則 1日8時間・1週40時間を超えて、1週1日または4週4日の法定休日に勤務させる時は、時間外・休日労働に関する協定(いわゆる「36協定(サブロク協定)」)を、過半数従業員の代表または過半数を組織している労働組合と結び、労働基準監督署に届ける必要があります。 このことによって、使用者は従業員に時間外・休日労働をさせても労働基準法上の罰則を免除されることになります。 しかし、労使協定だけでは、使用者に時間外・休日労働の命令権限まで与えられたことにはなりません。 時間外労働の命令権限を確保するには、民事上の権利・義務を明らかにしておくことが必要です。就業規則に「労使協定の範囲内で時間外・休日労働を命じることができる」、あるいは同様の趣旨の労働協約を取り交わしておくことが必要です。 とは言っても、実際の時間外業務の命令は、業務の重要性と個人の用事の重要性とを斟酌して決定されることになります。 労使協定には民事上の権利・義務を発生させる効力はありませんが、労働協約には民事上の権利・義務を発生させる効力があります。 従業員代表との労使協定は労働協約となりませんが、労働組合との労使協定は労働協約とみなされます。 労働基準監督署に提出する、「時間外・休日労働に関する協定届」を従業員代表と作成することにより、同協定届は労使協定書を兼ねることもできます。 時間外の割増賃金が支払われない管理監督者は、従業員の過半数代表者にはなれないことになっていますが、過半数代表者を選出する労働者には、管理監督者も休職者も含まれることになっています。当該事業場で使用されるすべての労働者が含まれます。 過半数代表者・過半数労働組合の過半数要件は、協定を締結する時の要件であって、その後過半数要件を満たさなくなっても労使協定が無効になることはありません。 労使協定は、原則として、事業場単位で行なわれます。同一の場所にあれば1個の事業、場所的に分かれていれば別個の事業になります。 しかし、同一の場所にあっても独立した事業(工場内の診療所等)であれば、別個の事業として扱われます。また、場所的に分かれていても、著しく小規模で独立性のないもの(出張所、支所等)は、直近上位の事業に一括されます。 使用者には、その事業場の長(工場長、支店長等)がなりますが、社長であっても構わないことになっています。 ●時間外労働の限度時間 法定労働時間を超えて労働させることができる時間外労働の上限時間が定められています。 一般の労働者の場合
対象期間が3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制の対象者の場合
法定労働時間を超えて労働させることができる、1日の時間外労働時間、1年の時間外労働時間、および1日を超えて3ヶ月以内の期間の時間外労働時間を、時間外・休日労働に関する協定届で届け出なければなりません。 時間外労働はこの限度時間以内とすることが原則ですが、特別な事情が生じた時には、あらかじめ労使で定めた一定期間ごとに、労使で定めた手続きにしたがって、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長させることができます。特別条項つき協定と呼んでいます。 特別条項つき協定は、臨時的なものであることから、1年のうち6ヶ月までとなっています。年少者(18歳未満の者)は、原則として、時間外・休日労働および深夜労働に従事させることはできません。15歳以上の者については、特別な条件のもとであれば時間外労働をさせることができます。 妊産婦から請求があった場合は、時間外・休日労働および深夜業に従事させることはできません。 育児または介護を行っている者の時間外労働は1ヶ月24時間、1年150時間に制限されています。また、請求があった場合には深夜業に従事させることはできません。 (社会保険労務士・酒井健雄) |
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