会計事務所と顧問先をむすぶCLUE 第107号

 ≪CONTENTS≫

 今月の特集・・・ 『経営会議で資金繰りに強い会社をつくる!!…経営会議入門【5】』
 経営・財務・・・ 『商売の基本…少なくともどれだけ売上高が必要か…損益分岐』
 経理・税務・・・ 『経理は現金で始まり現金で終わる』





 今月の特集

経営会議で資金繰りに強い会社をつくる!!
…経営会議入門【5】

金融機関の貸出姿勢が担保重視から返済重視になり、銀行本来の姿になってきました。それに付随して決算書の信憑性を確保するため、日本税理士連合会の中小企業会計チェックリストの提出の動きが加速し、税金の完全納付の確認としての納税証明書の要求等、これまで以上に会社の先行経営管理、資金繰り管理が問われています。

これからの経理・財務は、会社の事業経営の正しい資金管理、資金の使用使途、返済計画を織り込んだ、毎月の予想・実績資金繰り表による資金の実積・計画管理が要求されるのではないでしょうか?

この金融機関の流れと合致した経営管理の方法として【経営会議システム】があります。


【経営会議システム】とは?

(1)経営計画【損益計画+資金計画】の策定

(2)月次決算の励行

(3)経営会議の実施
  予想・実績損益計算、予算・実績差異分析
  予想・実績資金繰り表 予想・実績金融機関格付

(4)議事録の作成

以上のサイクルで毎月計画と実績を検証し、経営判断していく経営管理方法です。


1.なぜ資金繰り表が必要か?

正常な借入をするためには資金繰り表が必要です。なぜなら、借入するには常に借入目的と返済を考えておくことが必要だからです。「担保があるから貸してほしい」「返済するのだから借入名目は何でもいいだろう」と勘違いされている経営者が時々います。銀行は金貸しではありません。銀行は企業が借り入れにより投資し、成長、発展、回収できることを目的に、言い換えれば預金者から預かった大切なお金を企業の成長と発展に使いたいと願っています。企業の側では、資金使途を明確にし、その投資がいかなる事業計画に基づき資金回収され、返済できるのかを明確にするため予想資金繰り表=資金計画を絶対に作成しなければなりません。

■資金繰り表は事業を写す鏡になる。

資金繰り表は計画段階で恣意的な数字を記入しても、実績との対比ですぐ嘘がバレます。予想と実績の資金繰り表はその意味で、【ウソがつけない大事な証拠書類】と言えるでしょう。金融機関からの信用獲得には、正しい資金繰り表を作成し、それに沿った会社の実績を積み重ねていくことが大事です。


2.経営計画をどう立てるのか?

正しい予想資金繰り表を作成するには、堅実な売上・原価・経費計画を立てることから始まります。

1.売上計画

(1)取引先の検討を行う
今までの取引先をABCランクに分解して、伸びる・伸ばそうとする得意先と、現状維持、減少する得意先に分解し、各々前期比何%かを計画します。

(2)景気あるいは低成長率の現在では、売上の増加よりも売上総利益率をアップさせる商売に心がける必要があります。競争が激化している時代だからこそ、目先の売上よりも利益を取る経営を試行しなければ、会社は成長しません。自信を持って【オンリーワン】の商売をする必要があります。

(3)新規得意先は毎年10%以上開拓する
一般的に既存客、既存店の売り上げは10%程度毎年変わります。そのため常に10%以上の新規顧客、新店開発をしなければ、ジリ貧になります。常に成長志向を持つ会社だけが生き残れます。


2.仕入・原価計画

(1)仕入価格の見直しを多角的に進める
仕入先の変更、価格交渉、現金決済をしたり、原価率を引き下げるための努力を最大限する必要があります。

(2)仕入と在庫を両にらみする
仕入金額も注意が必要ですが、資金繰り的には在庫に注目する必要があります。常に実地棚卸しを実施し、1円でも在庫を増やさないことが必要です。

(3)仕入先の支払い条件を見直す
資金繰り的にも銀行格付的にも、支払条件のちょっとした工夫が必要です。とりわけ銀行格付には、当座比率・流動比率があり、月末に1円でも現金が多いと格付が上がります。

結論から言えば支払を月末・期末にせず、翌5日、だめなら、翌1日にするだけで、金利が違うはずです。


3.経費計画

(1)経費は人員が増加すると自然に増加します。まず人件費計画を立て、個別経費を見直し、役員報酬を決定して、前年度実績予算で赤字になれば、役員報酬を黒字予算になるまで引き下げる事が必要です。次に社員の給与を決定しますが、可能な限り固定的な給与を引き下げ、賞与等を業績に連動させることが、経営を楽にし、社員の労働意欲を掻き立てるコツです。

(2)不採算部門・店舗の撤退
通常減損会計でも評価減をしなければならない、減価償却費+営業利益=赤字であれば、撤退する勇気も必要です。

(3)個別経費の見直し
経費の中に削減可能経費と削減不能経費とを区分し、削減可能経費を1つ1つ見直す必要があります。


3.回収と支払のバランスを取る

月次決算書をよく見てください。

売掛金・受取手形残高 > 買掛金・支払手形残高になっていますか。

売掛金の回収努力をしないで、支払を先にのばすことは会社の信用失墜につながります。売掛金回収について、ルールをシステム化する必要があります。請求書発送から2ヶ月後再請求、3ヶ月後督促、4ヶ月後内容証明、5ヶ月後弁護士より通知等、きめ細かい回収システムが必要です。


4.経営会議で資金繰りを楽にする

(1)資金繰りが苦しくなる2つの理由
一般的に資金繰りが苦しいと言っても、前向きと後ろ向きな場合があります。前向きに苦しいとは、売上増加による売掛債権や在庫が増加したり、新規事業のための出費があるときです。後ろ向きとは売上が減少し利益が出ない、赤字のための資金不足であり、放置しておけば倒産につながります。

(2)経営会議で資金繰りを検討する。
前向きな資金不足の時は、売掛債権が不良化しないか、新たな得意先の信用判断、在庫は適正化を検討し、黒字倒産を防止してください。

後ろ向きの融資の場合は、V字型回復の経営判断を検証し、最悪廃業の覚悟を持って経営の舵取りをすべきです。


5.中小企業の場合、人件費管理が経費管理の要、同業他社と比較する

同業他社と大きな経営数値の比較をしてください。規模によって違わない経営数値をつかんでください。1人あたりの売上総利益は最低800万円以上ないと黒字経営にはなかなかなりません。人員が多いか、1人あたりの生産性が低い、付加価値が低いかを検討し、適正人員にすべきです。また、経費の中の人件費が50%以内に押さえ込むことが必要です。


6.資金繰り表を経営に活用する

(1)営業畑出身の経営者に多い傾向ですが、管理するのは売上ばかり、中には受注即売上と勘違いされている経営者までいる始末です。経理畑の社長は、売上とは現金化して初めて売上と考えています。請求書発行が売上ですが、資金繰りを見ていれば、現金回収して初めて売上と良く理解できます。受注・売上・粗利だけを管理するのではなく、回収まできちんと管理して担当者別受注・請求・粗利・回収管理をすることです。

(2)資金繰りをしていれば、在庫は札束です。1億円の在庫は1億円の札束だということが理解できます。ムダな在庫、使えなくなった在庫はニセ札です。経営陣や経理は在庫を現金札束と思ってください。

(3)予算・実績差異分析表で経費をコントロールしてください。ムダな予算外の出費がなかったか経営陣がよく会社の支出を統制しているかすぐ分かります。


7.銀行との上手なつきあい方

(1)銀行は前向きな融資に積極的

例えば半年折り返し融資の賞与資金や納税資金は大歓迎でしょう。また、新規出店、設備投資融資も前向きですので貸しやすい資金です。

現在、公的融資・ビジネスローン等の銀行無担保融資は、原則黒字決算+納税完納企業・個人を融資対象としています。赤字会社の場合、制度融資が使えなくなり、黒字経営計画を立案し、再建計画を添付することが必要となります。また、この場合、粉飾決算をしたり、一時的な言い逃れは会社の信用失墜となり、融資が難しくなります。毎月定例の経営会議を開催し、赤字決算予測に対して、黒字決算に向けての経営改善、最悪の場合、資産処分、役員報酬減額等企業が血を流す努力をすることがまず肝要です。


(2)担保は最後の切り札…担保付き融資は一番最後

銀行は返済重視、収益力重視に変わったといえ、業績悪化、赤字決算の場合担保が頼りになります。黒字決算が続き、収益力、返済力もある会社は担保を差し出さず、制度融資、ビジネスローン等の無担保融資を積極的に活用すべきです。

現在では、国金2,000万円、保証協会付き融資8,000万円、ビジネスローンは三井住友銀行・みずほ銀行・三菱東京UFJ銀行・中央信託銀行等で2億円、総額3億円の無担保枠の会社も登場しています。業績が良ければ、これら無担保融資を借入、担保付き融資を返済することも考慮されてはいかがですか?


(3)無理のない返済方法はあるのか?

短期資金は賞与資金のように600万円借入、毎月100万円ずつ返済するものや季節の仕入資金で3ヶ月後回収すれば全額返済する資金を言います。

設備投資や売掛金増加・投資資金は基本的に長期借入金で対処すべきです。設備投資資金は減価償却費の範囲で返済できれば税金もかからず楽ですが、税法上の耐用年数が長く、思っていた以上に、償却費よりも返済額の方が上回ってしまい資金繰り悪化の原因にもなります。その場合再度折り返し融資を銀行に頼んだり、利益が出る会社であれば、リース料で経費化するのも一考でしょう。

注意したいのは、土地の取得費を銀行借入金で実施する場合です。利益が貯まっていればいいのですが、土地一億円の返済は減価償却できませんので実質1億4千万の買い物をしたことを理解してください。本社ビルを建てて倒産する企業が多いのには会計上の理由があるのです。



貴社の財務・資金管理能力度を判定します。

なお資金繰りに関するお問い合わせは各顧問会計事務所にお願いいたします。
「はい」の場合は○を付けてください。

毎日、一定の日までに予想・実績資金繰り表は作成されていますか?
売上計画はありますか?
仕入計画はありますか?
経費予算はありますか?
借入金額は月商の3ヶ月分以内ですか?
営業収支の金額で借入金の返済がまかなえていますか?
売掛債権の年齢調べをしていますか?
在庫は適正ですか?適正在庫を把握し、超えないように管理していますか?
現預金残高は2ヶ月分の販売管理費以上ですか?
10 毎月銀行別の預金・担保と借入金等の預貸率表を作成していますか?

○が9個以上・・・優秀。資金繰りは万全です。
○が7個以上・・・まあまあ。ほぼ資金繰り・財務は大丈夫でしょう。
○が5個以上・・・危険。財務・資金は会社の命綱と考え、強化してください。
○が4個以下・・・どんぶり勘定。倒産の道まっしぐらです。






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商売の基本…少なくともどれだけ売上高が必要か…損益分岐

【1】損益分岐点とは? 【基礎編】

[質問]

同業者の集まりで、「損益分岐点」が大切だとよく聞きます。簡単に損益分岐点を理解したいのですが?


[回答]

※儲けをとんとんにして、赤字を出さないために必要な売上高が損益分岐点です。損益分岐点を超えた売上があると初めて会社に利益が出ます。逆に言えば、利益を確保するためには損益分岐点以上の売上を上げなければなりません。

※中小企業は、変動費…売上原価、固定費…販売費・一般管理費+支払利息−雑収入

で考えれば十分です。


[解説]

売上を上げるには経費が必要です。経費の中には、売上高に応じて比例的にかかる変動費と売上高の増減に関係なく発生する経費があり、それを固定費と言います。

商品仕入は売上高に応じて比例的に発生します。それと同じような経費として、外注費や荷造運賃等があります。売上増加すれば比例的に増加し、売上が減少すれば比例的に減少します。簡単に言い換えれば、多くの中小企業の場合、決算書の売上原価科目と考えられても大きな誤差はないと思います。また、月々の人件費+その他経費が大きく変動しないものを販売費管理費で計上され、それ以外を売上原価科目へ持っていくと理解してください。ただし、その他の経費の中に売上と比例し、金額の大きいもの、例えば、運送業のガソリン代やアルバイトの雑給等があれば、売上原価に追加して月次決算書を作成されることをお勧めします。製造原価科目も同一基準で行います。


[事例] 損益計算書

 売上  100
 売上原価   40…変動費
 売上総利益   60…限界利益
 人件費   20…固定費
 その他経費   25…固定費
 営業利益   15
 支払利息    5…固定費
 経常利益   10

となれば、まず、変動費/売上高=変動比率を求めます。

この場合、40/100=0.4になります。

次に、固定費は20+25+5=50です。この50を【1−0.4=0.6】でまかなえればいいということになり、50/0.6=83.3が損益分岐点売上となります。

検算してみましょう。

 売上   83.3
 売上原価   33.3…変動費【83.3×0.4】
 売上総利益   50…限界利益【売上総利益率】
 人件費   20…固定費
 その他経費   25…固定費
 営業利益    5
 支払利息    5…固定費
 経常利益    0

多くの中小企業では、簡単に損益分岐点を求められます。

経費総額を売上総利益率で割り算すればいいのです。

これを図解すれば図1のようになります。


図1



損益分岐点と売上高、固定費、変動費、総費用の関係を図示したものが損益分岐点図表です。損益分岐点は、公式を使って計算できますが、損益分岐点図表を使って求めることもできます。


【例題】

 現在の売上高: 2,000万円
 固定費: 500万円
 変動費: 1,000万円 変動比率 1,000万円÷2,000万円=0.5
 損益分岐点売上 500万円÷(1−0.5)=1,000万円

これを図解にすると、図2のようになります。


[作図の方法]

 (1)固定費線を引きます。

 (2)固定費線の上に変動費線をひきます。変動比率が傾きの大きさになります。

 (3)正方形の対角線を引きます。

図2



【2】損益分岐点 【応用編】

1.目標損益分岐点売上高とは? ―経営計画にいかす

損益分岐点売上高とは、損益がとんとんになる売上高ですから、利益を確保するにはどれだけ売上げなければならないかを経営計画に織り込む必要があります。それには、目標利益を考慮にして、次のような目標損益分岐点売上高を計算することです。そうすれば、会社の利益確保に必要な利益目標損益分岐点売上高を算定できます。

【経費総額+目標利益】÷売上総利益率=目標損益分岐点売上高


2.資金収支損益分岐点売上高

損益だけでは見えない、会社の年間返済額を無借金で可能な資金繰りから見た資金収支別損益分岐点売上高も簡単に算出できます。

【年間返済額+総経費−減価償却費】÷売上総利益率=資金収支損益分岐点売上高


3.損益分岐点を下げる方法

(1)固定費を節減する(賃借料の見直し、人件費の見直しなど)

(2)変動費を削減する(製造原価・仕入原価・物流費の削減など)

(3)売上を増やす(販売数量の増加、販売単価のアップ、販路の開拓など)


4.1日当たりの必要売上数量等を把握しよう

机上の空論としないために、1日当たりの損益分岐点売上高も把握しておきましょう。同時に、金額で把握するだけでなく、数量・客数ベースで把握しておくことが重要です。

※1日当たり損益分岐点売上高=損益分岐店売上高(月)÷その月の営業日数

 ※1日当たり損益分岐点販売客数=1日当たり損益分岐点売上高÷平均客単価

利益を出すためには、この1日当たりの損益分岐点売上高・販売客数などをきちんと把握して、最低限これを上回らなければなりません。日々実績をチェックし、もしこれを下回れば、翌日以降にその分を挽回しなければなりません。


5.目標売上高の達成が何より重要

企業経営では、立てた目標売上高(予算)の達成と損益分岐点のクリアは最低限の必要条件です。そこで、毎月定例の経営会議において、月次の予算・実績差異分析だけではなく、1日当たりの目標売上高を算出しておき、日々実績と対比しチェックします。また、客単価・客数の目標予算も決め、その損益分岐点売上の中身を分析する必要があります。売上の増収が、単価の引き上げか来店数の上昇かで、今後の経営方針が変わるはずです。原則として、来店数・顧客の増加…売上増加…品質の向上…単価の引き上げ…売上増加が理想的と言われています。

飲食店のランチで客数・来店数の増加…夜の顧客増加…客単価の増加等や、通販のサンプル商品配布〜顧客増加等は右のように理解できます。会社の現状をよく知ることにより、これらの前提で正しい経営判断が出来ます。





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経理は現金で始まり現金で終わる

【1】現金管理が経理の要

現金の管理はきちんとしていますか?

現金管理とは、【現金出納帳を毎日正しく記録し、金庫・レジの実際現金有り高と帳簿残高が確実に合っているかを日々確認すること】です。

簡単そうに見えて、毎日の実務に於いて、この簡単なことがなかなかできないのが現状です。会計の全ての事柄に密接不可分の関係をもっている現金の管理が、きちんとできていないということは、他の会計の全てがデタラメということになってきます。現金出納帳は毎日記録し、実際の現金残高と照合するからこそ価値があるので、せっかく現金出納帳を記録していても、毎日現金実際有り高と照合しないのであれば、その現金出納帳は一文の値打ちもありません。毎日努力して照合し、もし不一致があれば徹底的に究明することが絶対必要です。

現金商売の小売り・飲食業等で、税務調査は現金実査と昨日の営業日報の照合を確認するために、抜き打ち的に実施される場合があります。その場合、現金と帳簿を毎日照合していることが確認できれば税務調査は90%終了したと言われています。現金商売で現金が正しく記録・照合されていれば、売上除外はなく、原価も架空仕入れは原価率から推定でき、後は経費程度しか調査しようがないからです。

現金管理のデタラメさは、オーナー1人の同族会社で、奥さんが現金管理をしている会社で多くはおこります。使用人に現金管理を任せることが現金管理を正しく行う第一歩と言えます。


【2】間違いのない現金管理

現金管理について業態の特殊性も考慮して、最も合理的な管理方法を採用しなければなりませんが、一般的に次のような注意をはらうべきです。それを一口で言えば、あまり現金を使用しないことです。


営業日報


★売上金は全部預金にすること

飲食・小売業等では、このような営業日報をレジの中に合わせて記録しておけば簡単かつ便利です。まず最初に現金の中につり銭分だけを入れ、金種別に記録しておきます。

売上金は入金の都度レジに入れます。もし、レジから現金を引き出した場合、必ず領収書や仮払、出金伝票をもらいます。最低でもメモ等に書いてもらいます。

閉店後、現金を金種ごとに数え、営業日報を締めます。

売上を売上伝票やレジペーパーで確認し、出金金額も領収書等で確認すれば、現金差額、現金過不足が出ます。1ヵ月の間、現金過不足が1円もない営業日報はそれ自体疑わしいものです。現金過不足があるのは自然であり、会社の規模に応じて、徹底糾明の基準と責任の明確な基準を作っておきましょう。

例)1万円を超えたらレジを見直し、全員の聞き取り調査をする等

レジの現金は、翌日の釣り銭を残し、全額夜間金庫か翌日銀行へ入金します。

☆ポイント☆

※釣り銭現金は常に定額用意

釣り銭用現金は常に一定額にしておけば端数計算もなく便利です。

釣り銭+売上金−レジ出金−釣り銭+(−)現金過不足=銀行入金となり、間違いもなく、照合も便利です。

※支払をレジから出させず、原則として、掛け仕入れにし支払日も一定で、小切手支払で対応すれば、ムダな領収書もなく、さらに便利になります。要は、管理が難しい現金をなるべく発生させず、入金は即銀行へ、出金は掛け仕入れ、銀行決済すれば、「忘れた」「現金が合わない」というムダな作業も時間もいらないということです。


★現金適正管理チェック…現金不正の事例

1.簿外の現金はありませんか?

社員の旅行積立金の現金、バイトの賃金で取りにこない人の現金、宅配依頼の預かり現金等は不正や脱税の温床になります。誰か1人が管理しており、他人には絶対に見つからない仕組みになってしまいます。

[対策] 帳簿に計上する。

 (1) 社員の旅行積立金の現金…別途通帳を作り 旅行積立用預金/従業員預かり金と両建て経理をしておく。

 (2)バイトの賃金    現金/未払賃金

 (3)宅配便の預かり   現金/預り送料

2.毎日 現金残高と現金出納帳の残高の照合をし、一致を確かめる。

3.仮払・立替等は仮払伝票を記入してもらう。

4.未取り立て小切手・未渡し小切手を1週間以上金庫に保管しない。未取り立て小切手は銀行に持参、未渡し小切手は、消却廃棄もしくは振り込みにする。

5.金庫に多額の現金を置かない。


★疑われる社長からの一時的な現金借入

会社に多額な現金・預金残高があるにも関わらず、社長からの現金借入はその合理的理由について税務当局に疑われます。

現金/社長借入金について、その必要性と実際に社長の個人通帳で引き出されていたのかを確認してください。10万円以上のお金が社長の個人通帳から引き下ろされた痕跡がなく、帳簿に計上されると、現金売上を隠し、【現金/売上】代わりに【現金/役員借入金】として処理したのではないかと疑われます。


★疑われない社長からの借入金、現金ではなく預金で

面倒ですが、金銭消費契約書を締結し、きちんと社長個人通帳から会社の通帳へ送金し、現金化することです。預金/社長借入金で処理してください。


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