●今月の特集
【経営会議システム】とは?
経営会議は貴社をこのように変えます!! 【1】経営の先行管理が可能になります 海図としての経営計画と月次決算による正しい位置をつかむGPSで貴社の経営の舵取りを誤りません。 【経営会議システム】は経営陣が期首に作成した損益計画と資金計画=経営計画が実際に実行されているかを月次決算で追跡・管理する経営管理システムです。 毎月、定時定例の経営会議で、年初の経営計画と実績の月次決算とを比較・検討し、経過月実績+未経過月予算=予想決算を見ながら経営すれば、先行経営管理が可能です。 事例の会社は5月決算、売上・利益等のほとんどが冬場に集中する業態です。予想・実績損益計算書、予想・実績資金繰り表等がなければ、経営者は不安で不安で眠れないはずです。長年の経営数値の積み重ねと景気判断等による緻密な月次予算=経営計画と正確な業績の補足=月次決算から精度の高い予想実績損益計算書と予想実績資金繰り表が出来上がります。 ■経営会議定型資料の見方 先行管理可能な経営会議システムについて、事例会社:A社 業種:食品小売業の実例に沿って、実際どのような経営管理資料で経営会議をどのように実施しているか見てみましょう。
このように予想実績資金繰り表の経営会議での検討点は、
たとえ損益予想が黒字でも資金繰りの営業収支が赤字になることは大きな問題があります。原因究明が絶対に必要です。損益が黒字で営業収支資金が赤字の場合、考えられる原因は以下の3点です。 (1)売掛債権が多く、債権回収が遅れている (2)在庫が増加している (3)支払債務を前期より早く支払っている このように損益、資金面で先行管理していけば、絶対に赤字経営に陥ることはありません。多くの赤字脱却の手が先行的に打てるからです。 2.営業収支の範囲で、長期借入金の返済がまかなえているか? 短期借入金は通常季節資金と考えられ、長期借入金は設備・運転資金と考えられます。 営業収支のプラス金額は、通常利益+減価償却費の合計ですので、営業収支の範囲で長期借入金が返済できれば、無借金経営と言えます。しかし、日本の税制では、減価償却費の計算要素である耐用年数が長く、設備資金の返済期間である5年・7年以上であることが実態です。返済原資を減価償却費でまかなえず、税金を支払った残りで返済するか、返済期間を実質延長してもらう折り返し融資が必要とされます。これを避けるために近年では、設備リースが盛んになってきています。 3.設備投資金額の返済原資は何処から来たのか、返済可能か? バブルの崩壊に伴い多くの企業が倒産しましたが、返済原資を考えず、不動産担保の自然的上昇を当て込んだ投資計画はすべてつまずきました。特に土地の購入は1.4倍の資金が必要になります。なぜなら土地は減価償却しませんから、返済原資の100%は税金を支払った残りの利益でしか返済できません。1億円の土地は1億4千万円の返済原資が必要なのです。今までの利益の積立金か資本金等で土地を買うのが一番いい方法です。自社ビルを立てたら倒産したという話を良く聞きますが、それには理論的根拠があるのです。返済を必要としない自己資本とそれの運用形態である定期制預金で土地を購入したいものです。設備投資等の判断は、ぜひ顧問税理士に相談されることをお勧めします。 【2】金融機関の信用を獲得できます 経営計画書を作成し、予想実績損益計算書と予想実績資金繰り表を金融機関に提出し、正確な月次決算を行い、経営会議を実施しているという実績は金融機関に大きな安心を与え、絶大な信用を獲得できます。借金をするにも計画が大事です。どんぶり勘定で、借金する資金使途や理由もわからず銀行に駆け込む経営者はまだまだいらっしゃいます。通常借入金は運転資金と設備資金に区分できます。設備資金は資金使途は明確ですが、設備投資計画と収益・減価償却費等で返済可能かどうかのシュミレーションが大事です。運転資金は売掛金・受取手形―買掛金・支払手形=必要運転資金が算定できます。よほど売掛回収に時間がかかる会社は別にして、月商の3倍以内が普通です。運転資金が月商の3倍以上の会社は、自己資本不足か過去債務・赤字がある、土地等の投資がある、経営者への仮払、貸付金等がある等の理由で財務上問題があると思われます。一番悪い借金は借金を返すための借金です。銀行から見れば営業収支がほとんど0円で借金の返済資金を貸してくれという顧客は財務基盤が安定せず倒産予備軍とみなされます。借入金総額―設備借入金=運転借入金が月商の3倍以内か検証してください。また、設備借入金が減価償却費+利益で10年以内に完済可能か検証ください。 ■経営会議で予想・実績金融機関格付を検証する。 予想・実績損益計算書、予想・実績貸借対象表から決算日の予想金融機関格付を経営会議で検証します。経過月実績+未経過月予算から導かれる決算日の金融機関格付で評価の低い点をどう改善していくのかが、経理・財務の大事な仕事と言えます。 事例会社の金融機関格付をご覧ください。 売上高増加率 前期に比して予想決算で売上の増減を示します。1%でも増加していない企業は成長性がないと判断されます。事例会社は8.3%の売上増加が見込めるため最高評価になります。 経常利益 企業の収益性を表す最大指標で、よく【ケイツネ】と呼ばれています。 売上高 金融機関は規模も融資判断の大きな材料です。最低1億円の売上が必要です。 売上高経常利益率 経常利益を売上高で割ったもの。業種によって違いますが、最低2%は必要です。事例会社は9%と高い水準。当然最高評価です。 総資本経常利益率 経常利益を貸借対象表の自己資本+他人資本で割ったもの。主として投資効率を見る指標で、少ない元手で大きな儲けが出ているかを判断します。この数値が高いほど投資効率がよいと判断されます。全産業平均6〜7%、事例会社は21.1%もあり、少ない投資で大きな利益を上げていることが分かります。 金融余力 税引き後利益+減価償却費の合計。会社の基本的な返済原資を表しており、当然多い方に返済能力があります。 インタレスト・カバレッジ・レシオ 企業の支払利息を支払える能力を見る指標です。借入金の支払利息に対して、営業利益+受取利息がどれだけあるかというものです。過去20年間全企業平均で4.1。トヨタ銀行と呼ばれるトヨタ自動車は72.4もあります。 自己資本比率 自己資本とは株主が出資した金額と会社が長年積立てきた利益の合計です。自己資本比率とは会社の総資本に占める自己資本の割合で、当然この数値が高いほど会社の体力があることになります。最近の調査では、製造業で13.1%、卸売業で13.2%、小売業で7.1%、サービス業で16.7%となっています。事例会社は22.5%ですので財務基盤が安定していることを示しています。 償還返済年数 借入金を金融余力で割ったものです。金融機関はこの数値を最重要視しているそうです。債務償還年数は3年以内であれば、かなり優良といえます。逆に10年以上になると少し安全性に疑問が出てくると考えられます。ただし、起業して間もない企業の場合は、この限りではありません。事例会社は2.9年で借入金を完済できるとあり高得点といえます。 正味資産倍率 正味資産の回転期間を表します。資産の回転期間は、資産の利用効率を見る収益性の指標で、回転期間が少ないほど資産を効率的に利用しており、評価も高くなりますが、正味資産倍率の場合はこれとは反対に、売上高に比べて正味資産が多いほど資産に余裕があると解釈し、倍率が高いほど高得点になるということです。計算式は、貸借対照表〔自己資本計〕/損益計算書〔売上高〕/12(1ヶ月売上高)となります。 金融機関の格付は決算書だけではなく企業実態調査もあります。業歴・経営者の風評・経常利益の推移、経営者個人の自宅や各種不動産、定期預金等の個人資産の有無、会社の業種の成長度等も融資判断材料になります。バブル崩壊後不動産・建設業への融資が慎重になったことを想起してください。 総評 事例会社の総合評価 A 優良 会社の売上規模はまだまだですが、残りの成長性・収益性・安全性等は問題ありません。
ビジネスローンの落とし穴 平成18年9月以降、三井住友銀行のビジネスローンの審査基準が厳しくなり、りそな銀行がビジネスローンから撤退する兆しがあります。もともと審査基準が厳しかったみずほ銀行等があり、中小企業に対する無担保無保証のビジネスローン融資が厳しくなりつつあります。 現在(平成19年3月)では、旧来の審査基準を変えていない三菱東京UFJ銀行やこの分野の後発銀行である中央三井信託銀行が狙い目と思われます。新銀行東京、東京スター銀行は金利が8%〜9%とは別に融資斡旋事務手数料等がかかり、調達コストが高くなります。これだとまだ三井住友銀行の経営者カード融資、金利7%の方が安いぐらいです。 保証協会付き融資…100%保証を10月から80%への見直し検討 上記のビジネスローンが低金利、簡単融資であったため保証協会付き融資が下火でしたが、ビジネスローンが厳しくなったため保証協会付き融資に活路を開こうとする中小企業への追い打ちとして、保証協会がこれまで融資の全額を保証していたものを80%保証に減額するという動きが出てきました。これにより、これまでノーリスクであった銀行は保証協会の保証さえとれれば、金利が稼げ、何のリスクがなかったにも関わらず、これからは融資、貸倒が発生すれば、その2割を被らなければならず、たとえ保証協会の審査が通っても銀行は融資をしぶることが想定されます。 中小企業の対策 (1)無借金経営をめざす 収益を上げ、資金繰り表を作成し、営業収支の範囲で借入返済可能な会社にするのが一番。【今月号特集参照】 (2)担保を確保 担保付き融資があるのなら、今のうちにビジネスローンや保証協会、国金の無担保融資を借りて、担保をはずす。結局最後は担保があれば、赤字でも資金調達や売却、解約等は可能。 (3)2年間無借金体制づくり 例え金利を支払っても、2年間程度は借入せずにすむ必要額を調達し、定期預金等に保全しておく。
【1】オーナー社長報酬の給与所得控除相当額の損金不算入の条件緩和 今年の税制改正の大きな目玉として、オーナー社長の給与所得控除相当額の損金不算入条件の緩和があります。これは、昨年、新会社法の施行に伴い、会社が作りやすくなったため、節税を狙った会社設立を封じ込める狙いがありました。さすがに中小企業からの抵抗が大きすぎたのか、平成19年の税制改正では、その適用条件の緩和がありました。 この制度の内容は、 ※一定の会社のオーナー社長(同族会社の業務を主宰する役員)に支給する給与のうち、給与所得控除額に相当する部分の金額は損金不算入とされる。 この場合の一定の会社とは ☆オーナー社長とその同族関係者等が発行済株式の総数の90%以上を所有し、かつ一族が常務に従事する役員の過半数を占める会社等です。中小企業に多い同族会社はほとんどこれに該当するはずです。 対象となれば、社長の報酬の給与所得控除相当額は損金になりません。 ではこの制度が適用されると会社の納税がどれくらい増税となるのかシミュレーションしてみます。 増税シミュレーション
[適用除外] 下記の(1)又は(2)に該当する場合に適用しません。 ☆基準所得等の金額(課税所得とオーナー社長報酬の合計額)が800万円以下(下線部分が改正) 【平成19年度改正点】 「平成19年4月1日以後に開始する事業年度から、適用除外基準である基準所得金額を現行の800万円から1,600万円に引き上げる」という改正がありました。つまり、会社の利益と社長の給料の合計が1,600万円以下であれば、この制度の対象外となります。今回の改正で、この制度から逃れられる中小企業はかなりの数に上ると予想されます。 [注意点] この税制改正は平成19年4月1日開始事業年度になっている点に注意が必要です。現在の事業年度につては旧基準である800万円以下が適用されるので、来年の20年3月までは中小企業にとって増税は避けられません。次の事業年度でも対象となる会社は回避策が必要です。回避策は大きく3つ考えられます。
【2】その他平成19年度税制改正概要 【中小同族会社への留保金課税の縮小・廃止】 留保金課税は1954年に導入されて以来、53年ぶりに撤廃されます。大企業に対する課税は残りますが、資本金1億円以下の中小企業には廃止され、今後同課税を懸念することなく自己資本の充実を図ることが可能になります。事業税の外形標準課税共々資本金1億円以下への減資が続出しそうです。 ◎留保金課税とは? 留保金課税とは、実質的に家族経営がなされている同族会社が、株主(=実質的に社長とその親族)に配当せずに必要以上に内部留保する場合、株主の所得税課税回避であるとみなされ、通常の法人税額に特別税額が加算されるもの。ここ数年、改正が相次ぎましたが、ついに平成19年4月開始事業年度の資本金1億円以下の同族会社から撤廃されることになりました。 ◎留保金課税の概要 同族会社(非同族の同族会社を除く。)の各事業年度の留保金額に対し、次の税率よる法人税を課する。 (1)年3,000万円以下の金額………100分の10 (2)年3,000万円を超える金額 ……100分の15 (3)年1億円を超える金額……………100分の20 【減価償却制度の改正】 平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については償却可能限度額(取得価額の95%)及び残存価額を廃止し、耐用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却できることとする。 平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産は、償却可能限度額まで償却した後、5年間で1円(備忘価額)まで均等償却ができることとする。 具体的には、例えば1億円の店舗を購入した場合、耐用年数16年ならば、これまでは1億円×0.9÷16年=5,625,000円が1年間の減価償却費でした。 平成19年4月以降は、1億円÷16年=6,250,000円となり、625,000円も毎期計上できる減価償却費が増加します。 また、これまでは、1億円の5%である5,000,000円は、残存価格といって減価償却できませんでしたが、それが1円を備忘記録で残せばいいということで、4,999,999円まで減価償却することができます。
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