● 今月の特集
経理をもっと経営に活用する 経理を必要悪として、帳簿づけだけで終わらせていませんか? 経理を経営にもっと活用する方法があります。財務基盤がしっかりしている黒字経営の会社は、営業・技術と並んで経理を第三の柱と考えておられます。経営陣が期首にしっかりした【経営計画】を立て、毎月正確な月次決算を行い、予想決算、予定・実績資金繰り等を見ながら経営をしていけば、赤字経営や資金ショートは起きません。経営とは計画を実行することです。 1.経営理念、方針などは何の役にも立たないと思っていませんか? 経営理念、方針は、いざというとき必要 《ポイント》 (1)経営理念、方針は会社がブレないために必要 (2)自分の会社は何業かで未来が決まる (3)最初は簡単なものでも十分 経営理念や経営方針というと大げさになります。経営理念とは、【自分の会社は何業か】を明確にし、経営方針とは、【その目的達成のためにどうして行くのか】をまとめたものです。 「経営理念などいらない、成り行きで経営していく。」という経営者もいらっしゃるでしょう。そうです。それがあなたの会社の経営理念なのです。あるいは「会社は金儲けの手段だ。儲かるなら何でもする。」といったことや、「親から引き継いだ会社だ。面白くないが、仕方なく経営している。」これらも経営理念です。 経営理念がいい加減なために、ライブドアのような会社になったり、バブルの時、株・不動産等の投機に走り、代々続いた会社を倒産させたりするのです。ここに2つの建設会社があります。片方の会社は、「わが社のモットーは快適な住空間を格安で提供する」とし、もう一つは、「代々の家業で職人的ないい仕事をしたい」と。結局前者の会社は、デザイン・日照・色彩・購入者のニーズ等多様な問題意識の発展の可能性を秘めていますが、後者はどうでしょうか。職人的気質で良いものをと言いますが、消費者のニーズ、時代との対応はとれているでしょうか。 問題意識の広さ、深さは、会社全体のスキルの向上や社員を活性化させます。これから企業は、毎日同じことの繰り返しではなく、顧客のニーズを引き出し、社員の脳を活性化させることが大いなる付加価値を生み出します。右向け右の社員がいくらたくさんいても、固定費たる人件費が増えるだけです。頭を使い、如何に顧客のニーズに答え、業務を合理化し、ムリ・ムダ・ムラを失くしていこうかと考える現場の社員こそ、その会社の大きな財産です。その第一歩こそ、経営理念、経営方針で、経営者が常に考える、何かする判断基準でなければなりません。 初めは簡単なことでも構いません。自分の会社が社会から必要とされている理由から考えられてもいいでしょう。 2.年度経営方針を立ててみよう 《ポイント》 (1)経営基本方針に基づくものであること (2)年度の重点的な経営の考え方(方針)を示すものであること (3)できるだけ、数字等で具体化されていること ◎年度経営方針の例示 年度経営方針として、どのような内容を決めるべきかについては、個々の会社により差異があると思いますが、もっとも簡易な年度経営方針の例示を次にご紹介します。 【 (株)○○商事 第48期経営方針 】
★あなたの会社の年度経営方針を記入してみてください。 ( 第 期 年度経営方針 )
3.経営者は常にマイナスをプラスと考え、プラスをマイナスに考える 景気が悪いときは幸いなり 《ポイント》 (1)会社の経営不振を世の中のせいにしない (2)景気が悪いときは、設備投資や人材確保のチャンス (3)景気が悪いときこそ、付加価値商品・サービスが生み出される 日本は、「少子高齢化」が進み、「低成長の時代」「成熟社会」が到来しています。大量生産、大量消費の時代が終了し、いい商品やサービスだけが生き残ることが出来る社会が来ています。このような時代を前にして、「昔は良かった」「政治が悪い」「社会が悪い」「景気が悪い」類の愚痴を言わないことがこれからの経営者の条件と言えます。 ★企業とは次の4つの条件を満たすものではないでしょうか? (1)3人以上の他人が (2)リスクを背負い (3)創造力をもって (4)利益を出す どれ1つ欠けても会社は存在し得ません。利益が出ず、赤字なら会社は永続しません。適度なリスクを背負わないと、創造力は生まれません。リスクを背負っていない国鉄・電話・郵便公社等の破綻、公務員の腐敗等は何一つリスクを背負っていなかった事に原因があります。会社が2人以下であれば、夫婦や友人関係で了解し合い、社会的存在にはなり得ません。 また企業とは、適度なリスクを背負い、創造力を活性化して、利益を追求する社会的集団と言えます。ですから、企業の業績が悪かった場合、背負っているリスクが少ない、創造力が活性化していないということです。そこでは、「昔は良かった」「政治が悪い」「社会が悪い」「景気が悪い」という理由など入り込む余地はないのです。 景気が悪いとき、業績が悪いときこそ幸いです。1つに創造力活性化のチャンスが与えられている。2つに創造力を活性化させ、新ビジネス、新商品、新サービスという付加価値が生み出すチャンスだからです。 逆に好況のとき、業績がいいときこそ、危ないと考えるべきです。ムリ・ムダ・ムラが生まれやすく、経営者が安心してしまうからです。常にリスクを背負うことに貪欲になってください。 4.黒字経営になる経営管理のやり方はあるのか 黒字経営を可能とする経営会議システム 《ポイント》
(3)赤字になりそうだったら、経営会議で黒字化の方策を立てる ★経営会議システムとは以下のような経営管理の仕組みです。 (1)経営数値を早く見るために会社にパソコン会計の導入をする (2)実現可能な経営計画を立てる (3)正確な月次決算を組む (4)毎月、定例の経営会議を開催し、予想決算を見ながら経営の意思決定をする (5)会議の議事録をつくり、翌月までに各自課題を実行する 経営会議は以上の年次、月次の経営サイクルを実行して、黒字経営を目指すシステムです。 赤字になりかかったら、様々な手を打ちます。 [事例] (1)売上減少 原因調査…商品力の見直し/営業力の見直し/新商品・新サービスの投入/新分野・新店舗等の検討 ポイント…同業者で業績を上げている企業の実態を調査する。 (2)原価率の高騰 原因調査…仕入先の検討/ムダな在庫がないか日々・商品別・店舗別の原価率調査 (3)人件費 役員報酬の削減/人員の削減/正社員からパート、バイトへの転換・派遣の検討/賞与の削減/ 固定給与から変動給与へ/業績・能力主義賃金体系への転換
(4)経費の削減 経費の中身積上げ/個々の経費の一つ一つを0ベースで見直す ★経営計画を赤字で立てる経営者はいません。廃業か整理する選択を。 ★正確な実績と予算を組み合わせて、毎月常に予想・実績決算を見ながら経営をします。赤字になりそうでしたら色々な手を打ってください。 こんな資料が毎月見れると黒字経営は可能だ!! 毎月経営会議【役員会】で予想決算【経過月実績 + 未経過月予算】を見ながら経営することで、黒字決算の可能性が高まります。 下記の事例会社では、当初の予算【経営計画】より売上が342,306円減少、原価がマイナス869,342円も減少、差引粗利が527,036円増加するという予想です。 他方経費が127,341円増加しますが、支払利息の減少もあり、経常利益が当初予算より、717,731円増加するという結果が、実績6ヶ月 + 予算6ヶ月で出ています。 経営陣が知りたいことの第一は、このまま予算通り推移すれば、会社は幾らぐらいの利益あるいは損失が出るかということではないでしょうか。 参考資料
1.養老保険の上手な活用方法 養老保険で、法人を契約者とし、「役員・従業員を被保険者、満期受取人を法人、死亡保険の受取人を遺族」とする保険に加入します。そうすると保険料の半額が損金(税金上の経費)に算入することができます。 このような契約形態を『ハーフタックスプラン』といいます。 養老保険とは、被保険者(従業員・役員)が保険期間中に死亡した場合には、遺族に死亡保険金が支払われますが、被保険者が保険期間満了時に生存している場合には、満期保険金が契約した会社に支払われます。
満期保険金は定年時の退職金支給とからめることにより、退職金と相殺され満期保険金受け取り時の課税を防ぐことができます。 この保障内容に向く保険は…「養老保険」です。法人が支払う保険料は、原則的に次のように取り扱われます。 <従業員全員加入の養老保険のメリット>
2.定期保険を活用する 「長期平準定期保険・逓増定期保険等で含み資産形成」 帳簿にのらない含み資産形成 「今の時点」の業績は好調でも、いつか不調になるときが来るかもしれません。急な運転資金が必要になった。赤字決算では許されない・・・等等、将来の経営に何が起こるかわかりません。では「いざ」というとき一番頼りになるのは何か?言うまでもなく現金です。しかも、困ったときに帳簿に載っていない現金が突然あらわれたら、こんなにうれしいことはありません。それが「含み資産」です。保険と税務通達をよく理解して活用すると、合法的で安心・確実に含み資産を作ることができます。 ■長期平準定期保険とは 長期平準定期保険とは、法人が自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む)を被保険者として加入した定期保険のうち、その保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、且つ、その保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるものをいい、いわゆる逓増定期保険に該当するものを除きます。 ■税務上の取り扱い 長期平準定期保険は、その支払う保険料が平準化されているため、保険期間の前半において支払った保険料のうち一部は前払保険料として取り扱われます。具体的には、保険期間開始の時から当該保険期間の60%に相当する期間において支払う保険料のうち1/2部分は前払保険料として資産計上します。 前払期間経過後の保険期間においては、各年の支払保険料を期間の経過に応じて損金算入するとともに、これまでに前払計上してきた保険料の累計額を残存期間で均等に取り崩して損金の額に算入します。 これは、その支払保険料の損金算入時期等の適正化を図ろうとするものです。
■長期平準定期保険の特長 (1)長期にわたる大型保障で企業を守ります。 経営者や役員に万一のことが発生した場合にも、自社の経営に支障をきたさぬよう、事業保障資金を準備することが大切です。 (2)勇退時には 契約者を個人に変更し保障を継続することも、解約して解約返戻金があれば退職金の財源に充てることもできます。 (3)保険料の経理処理 一定要件のもと支払保険料を全額損金算入できる場合があります。 3.逓増定期保険とは? 逓増定期保険とは、保険料は一定で、保障額が段階的に上昇していく定期保険の一種です。また、保険期間によっては支払保険料が全額損金計上可能であり、かつ解約返戻金が多くあります。つまりは、解約返戻率のピークを定年退職時期に合わせれば、最も効率よく、かつ損金計上しながら退職金原資を準備することができます。 ※含み資産形成の強い味方「逓増定期保険」 この保険の特徴は下記の通りです。 1.万一の場合に保険会社から支払われる死亡保険金が「逓増」します。 2.掛け捨てタイプの「定期保険」 預貯金の場合だと一定期間後、元利合計で手元に戻りますが、その保険期間が満了すると一銭もお金は戻ってきません。 3.解約返戻金が発生する 掛け捨てタイプの「定期保険」ですが、経過年数によって保険期間の中途で解約した場合に支払われる「解約返戻金」が発生します。支払った保険料に対する解約返戻金の「返戻率」は各保険会社の商品、被保険者の年齢によって異なりますが、単純計算(解約返戻金 ÷ 支払い保険料の累計)で80%代〜90%代になる場合もあります。 4.保険料は損金算入を支払った保険料が損金で処理できる 被保険者(保険の対象になる人)の年齢と保険期間の組み合わせによって、「全額損金」から、1/2損金、1/3損金、1/4損金で処理されます。(税務通達:課法2−3) 《逓増定期保険のメリット》
企業が抱える不良資産と見られやすい【貸付金・仮払金】勘定 決算書の資産の部に、【貸付金】や【仮払金】勘定が計上されていることはよくあります。この【貸付金・仮払金】勘定は、銀行等から会社の不良資産ではないかと疑いの目で見られることの多い勘定科目の1つです。 なぜなら、「【貸付金】は本当に将来全額返ってくるお金か」「【仮払金】とは本当は経費で利益を減額するものではないか」という疑いがあるからです。また、税務当局も、「【貸付金】については利息を正しく取っているのか?」「【仮払金】についても、本当は裏金で使途不明金ではないのか?」あるいは「交際費の非課税限度額が一杯になったため次期に繰り越したのではないか?」という疑いを持ちます。 【貸付金・仮払金】等は企業の決算書の中で占める金額が大きくなれば不良資産と判断され、その分、自己資本の部【資本金 + 利益剰余金】から差し引かれて、過少資本ではないか、あるいは債務超過ではないかと銀行に見られてしまいます。 金融機関は【貸付金・仮払金】が将来確実に返済されるか、実態があるかどうかを調査するために、貸付金・仮払金勘定についてその内訳を調べ、以下の点を聞いてきます。 [貸付金] (1)貸付先の内容 1企業であれば、業種、貴社との関係、業況等 2個人であれば、会社との関係、個人資産等 (2)貸付理由 (3)契約書所在の有無 (4)返済実態 (5)利息計上の有無 [仮払金] (1)仮払い先 (2)費用性の有無 (3)仮払い処理の理由 (4)交際費・使途不明金・貸付金ではないか 以上の諸点については、金融機関・税務当局から必ず説明を求められます。 こんな簡単な方法があります 保険を活用して、経営陣の仮払金・貸付金を解消する!! 法人の決算書上に社長や役員への貸付金、仮払金が計上されている場合、社長や役員においてはその返済に必要な資金が無く、大半は放置されたままとなっているのが現状です。 法人によってこの様な状態は、金融機関等との取引を継続する上で障害となるばかりでなく、 経営上さまざまな弊害をもたらします。 また、社長や役員、その家族にとっても退任後の生活設計に不安を抱えることとなります。 この様な問題を解決するため、『役員向け貸付金・仮払金』解消プランがあります。 このプランは、法人としての「役員向け貸付金・仮払金」といった勘定科目が『保険積立金勘定』に置き換わるものですが、このプランを活用することで、今まで塩漬け状態であった役員個人の負債が、一定の期限を区切った形で計画的に解決する目処が明確になる点が大きなメリットです。役員貸付金があり、認定利息等が計上され、余計な法人税を支払っている企業や、使途不明的なものや清算できない仮払金問題を抱える企業については朗報ですので、ぜひ顧問税理士と相談の上検討してください。 「役員向け貸付金・仮払金」解消プラン [目的] (1)対外信用面でのマイナス要因の解消 貸付金・仮払金勘定がなくなります (2)役員退職金原資が貯まり、退職後の不安解消 (3)認定利息、使途不明金課税の解消 [手順と経理処理] (1)リース会社より役員に融資実行 法人経理処理なし 例)2,000万円 平成18年8月現在 オリックス・興銀リースがこの融資を実行している。 (2)役員より法人へ貸付金・仮払金返済 現金 2,000万円 /貸付金・仮払金等 2,000万円 (3)法人が役員を被保険者・受取人を法人にして生命保険・傷害保険に加入 保険積立金 2,000万円 / 現金 2,000万円 生命保険の加入が困難な高齢者等の役員では傷害保険でも構わない。 ただし、リース会社が保険を担保設定するので、設定可能な保険会社の商品に限る。 (4)役員報酬を増額して、リース会社へ毎月役員が返済する。 (5)最後の処理 例)10年間、役員が報酬でリース会社へ返済すると、会社の保険積立金の担保がはずれる。保険積立金は資産計上してあるので、解約し、現金化することが出来る。 現金2,000万円/保険積立金 2,000万円 税金は発生しない。 [メリット] 1.貸付金・仮払金勘定が消え、保険積立金勘定へ振り変わっている。 2.認定利息や使途不明金課税が発生しない。 3.自己資金が一切いらない。 4.傷害保険なら生命保険に加入できない病歴がある者、高齢者でも加入できる。 5.加入金額と返済期間を自由に設定できる。 6.役員死亡時に遺族に負債を残さない。 7.万が一経営が困難でリース会社に返済困難でも保険解約で対応できる。 [デメリット] 役員貸付金はいずれにしても返済しなくてはなりません。その返済手段としては、財産があれば別ですが、結局役員報酬しか返済原資はありません。役員報酬が増加するということは、所得税・住民税・社会保険も増加します。この解消プランでも役員がリース会社から融資を受け、自分の報酬から返済していくため所得税が増加してしまいます。 対策としては、報酬の低い家族役員がおられたら、仕事・業務の範囲を増加させる・責任等を増やす等され、報酬の低い家族役員の報酬を引き上げることが大きな節税対策となります。この点過大役員報酬等の税務判断がありますので、顧問税理士にご相談ください。 |
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