税務と法務の接点

税理士業界にフォーカスした“税務と法務の接点

第4回 貸倒れと債権放棄(債務免除)の方法1
    〜内容証明郵便の受取拒否をされた場合〜


 前回は、債権放棄(債務免除)について説明しました。今回からはどのように債権放棄(債務免除)をしていくかということを書いていきたいと思います。

 まず、債権放棄(債務免除)をする場合に、最もよく利用されるのが、「内容証明郵便」によるものです。
 内容証明郵便を利用すれば、その文書で債権者が債務者に対して、債権放棄(債務免除)の意思表示をしたことを明確な証拠とともに残しておくことができるからです。税務上も、調査官に対して、債権放棄(債務免除)の意思表示の存在を証明するために内容証明郵便を利用しましょう。

 ただし、その内容証明郵便の内容である意思表示の効力は相手方に到達したときから効力を生じます(民法97条第1項)
 そして、この「到達」とは、相手方によって直接受領されることまでは必要なく、意思表示を記載した文書が相手方の支配権内に置かれればよいとされています(最判昭和43年12月17日)。

 内容証明は相手方の受取印が必要ですので、相手が受領拒否すれば、返却されてしまいます。しかし、裁判例上は、受取拒否の場合には、「到達」が認められているのが通常です。ですので、証拠として、返還されたものを保存しておけば良いということになります。