税務と法務の接点

税理士業界にフォーカスした“税務と法務の接点

第3回 貸倒れと債権放棄(債務免除)

 前回は、「貸倒れ」の損金算入についての一般的な実務上の基準と法務との接点について、お話しました。
 現実の税務調査で問題となる場面では、「事実上の貸倒れ」よりも、「法律上の貸倒れ」のうち、「債権放棄(債務免除)」による場合が多いかと思います。

(1)債権放棄(債務免除)とは?

 まず、債権放棄(債務免除)とは、債権者の債務者に対する債務を免除する意思表示をいいます。税務上の貸倒れの損金算入対策としてなされる場面が多いです。

(2)債権放棄(債務免除)の注意点

 当然といえば、当然なのですが、債権放棄(債務免除)は、相手方(債務者)に対する意思表示である必要があります。
 もちろん、相手方(債務者)がそれに対して、納得する必要性はなく、一方的に意思を表示すればその効力が生じます。
 ただし、債権者が勝手に「あの債権はもういいや。」等と考えているだけでは、債権放棄(債務免除)の効力は発生しないので注意が必要です。
 そして、民法上意思表示は相手方に「到達」した時から効力を生じます(民法97条1項)。
 では、例えば内容証明を送った場合に、債務者に届かなかった場合等はどうするのか、次回以降パターン別に解説していきたいと思います。