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第20回 「好きな人」から「好きなこと」を奪うには強制力と仕組みが必要

(2017.3.13)

 株式会社ooyaビジネスクリエイトの大谷(おおや)です。

 先日、寝ていましたら、隣で寝ていた猫が何かに驚いて、私の顔の上でスタートダッシュをし、軽く爪痕を立てられてしまいました。
既に犬の噛み傷だけで十分なのに、猫まではやめて欲しいものです。(涙)

■ 今週の法則:
「好きな人」から「好きなこと」を奪うには強制力と仕組みが必要

[解説]

 私は、ここ数年、ご支援先様に対し、価値あるサービスを提供して少し余分に顧問料を頂戴する「経営支援モデル」の導入を進めておりますが、その導入を通じてわかってきたことがあります。

 それは、「好きな人」から「好きなこと」を奪うのは難しい、ということです。

 抽象的な表現なので具体的に解説しますと「入力とチェックが好き」な職員の方に「入力とチェックを止めさせるのは大変」ということです。

 以前、このメルマガでも書きましたが、会計事務所の担当者が月次支援で費やす時間の半分以上は「客先での代理入力とチェック」に使っています。
勿論、全員ではありませんが、大抵の方は上記の通りです。

 もしかしたら「えっ、それでは駄目なの?」とお感じの方もいらしゃると思いますが、「客先での代理入力とチェック」メインがいけないのは、その顧問スタイルですと、今後はITに代替されるか、十分な単価をいただけなくなることが目に見えているからなのです。

 再度、話を「経営支援モデル」に戻しましょう。

 では、経営支援モデルというのは何かということですが、簡単に申し上げると「経営者の意思決定に役立つ資料を準備して、その資料をベースに経営者と話をする」ということです。

 少なくとも「入力&チェックと試算表の説明」ではありません。

 ですから、経営支援モデルをしっかりやれば、顧問料も増えますが、経営者と話をする時間も増えますので、従来のやり方にただ経営支援を付加するだけでは、滞在時間が長くなってしまい、生産性が上がらなくなってしまいます。

 そこで必要なのが、「事前監査を導入し、客先での代理入力とチェックを止める」ということです。

 そして、このモデルを実際に導入して、以下の二つの傾向が見えてきました。
※単純化してお伝えしますので、極端な表現となりますことをお許し下さい。

 一つ目は、未経験者が多ければ多いほど、経営支援モデルの導入が楽であること

 二つ目は、経験豊富な方が多ければ多いほど、強制的に実施しないと難しい

ということです。

 まず前者ですが、未経験者と表現したのは、具体的には経験の浅い若手担当者や未経験者、新卒のことです。

 そもそも彼らは入社時点から「できれば入力なんてやりたくない、自分はコンサルティングがしたい」と思っていますので「客先での代理入力とチェックを止めて、経営支援主体に移行すること」にあまり抵抗はありません。

 勿論、経営支援のやり方は教えなければなりませんが、本人が志向していますから比較的楽です。

 対して後者は、会計事務所で10年以上働いていて、長いこと「入力&チェック → 試算表の説明 → 簡単な相談」というゴールデンパーターンに慣れている人(くどいようですが、そうでない方もいらっしゃいます)ですので、頭では理解しているのでしょうが、なかなか「客先での代理入力とチェック」を止めません。

 その理由は、新しいやり方にチャレンジするのが怖いということもあるのですが、最も大きな理由は「打っているのが好き」ということです。

 今は以前とは変わってきていると思いますが、以前の会計業界は「人に会うよりも数字を打ち込んで、合わせるのが好きだから」という理由で入社された方が多かったようですし、入社後も「数字を打ち込んで合わせるのが仕事」という概念で教え込まれた方が多いようです。

 そのため、変化しなければいけないことを頭ではわかっているのですが、「好きだから止められない・好きだから止めたくない」という理由で、昔ながらのやり方から抜け出せないのです。

 私も、できることならばこのままやらせてあげたいとは思うのですが、「数字を打ち込んで合わせればそれなりのお金をいただけた時代」ではなくなりつつある以上、会計事務所も、現在の環境に合わせて変化対応しなければならないのは自明の理です。

 「好きな人」から「好きなこと」を奪うのはなかなか大変なことで、本人が変えたくないと思っているなら、仕組みをつくって強制的に変えるしかありません。

 とは言っても、所長先生が悪者になるのはなかなか大変ですので、仕組みを作って組織を変革されたい方は一度ご相談下さい。


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