結婚20年以上の配偶者居住用不動産贈与で優遇
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:03/03/2017  提供元:エヌピー通信社



 法務省は2月28日、法務大臣の諮問機関である「法制審議会」の相続部会に対して、結婚から20年以上過ぎた夫婦は、配偶者が住居の贈与を受けると相続で優遇されるという新たな案を提示した。

 法制審議会の昨年6月に発表された中間試案では、配偶者の居住権保護として、相続による権利の変動によって、これまで住んでいた建物から退去を迫られる恐れのある配偶者が従来通り住み続けることができる権利を新設。結婚から20~30年が過ぎた配偶者は子どもと財産を分ける際の法定相続分を現行の「2分の1」から「3分の2」に引き上げる案が盛り込まれていた。だが、パブリックコメントで「夫婦関係が破たんしていた場合も引き上げるのは良くない」「配偶者だけが財産増加に貢献したわけではない」などの意見が相次いでいたため、法務省が新たな案を提示した。

 法務省が示した新たな案は、結婚から20年以上の夫婦で、配偶者が居住用の建物や土地の贈与を受ける場合が対象となる。被相続人が死亡し、相続人同士で遺産を分け合うことになった際、配偶者は贈与された住居については遺産分割の計算に含めないとするものだ。遺産分割の対象外にすることで、残された配偶者が住居から追い出されることを回避する狙いがある。一部報道によると、相続部会ではこの案に対し多数の賛同を得た一方で、中間試案で示されていた配偶者の法定相続分を引き上げる案は実現困難と判断したという。