住民税取戻しに秘策 未払い役員賞与で朗報
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:02/22/2002  提供元:エヌピー通信社



 長期にわたって役員賞与や役員報酬が「未払い」となっているケースが増えている。役員報酬は、たとえ未払いでも、法人税の計算上必要経費として差し引けるため、利益が出ている会社にとってはありがたい。ところが、未払いに立てている以上、役員個人には住民税がかかってくる。そこで、一度納めた住民税を取り戻すべく、累積している未払い報酬を「支払わないこと」とするケースも出てきている。たとえば、零細企業などで行われているのが、「未払い」としていた役員報酬を社長本人が放棄、過去の住民税を取り戻すというものだ。ここで問題なのが、債権放棄した場合の取扱いと、住民税の誤納還付の可能性だ。

 未払い役員報酬で債権放棄があった場合、原則、会社側に債務免除益が立つ。そして、「債務免除を受けたとき」をもって支払いがあったものとみなし、債務免除した金額について源泉徴収する必要がある。つまり「一度支払って返してもらった」という考え方だ。

 一方、住民税の課税関係は、会社が作成する「給与支払報告書」をもとに決定する。未払い役員報酬について債務免除があったとしても、会社は「支払ったもの」として、給与支払報告書を作成するため、当然、住民税にも反映する。

 ただし、役員報酬を支払わない理由が、商法、破産法、民事再生法、会社更生法などの規定により、整理開始命令や破産宣告、再生手続きの開始決定、更正手続きの開始決定などを受けたことによるもの、または業績不振のため会社整理の状態に陥ったことなどによるもので、源泉徴収をしなくて差し支えないとされた場合には、会社が作成する給与支払報告書に債務免除額は載ってこないため、住民税の誤納還付ができる可能性も出てくる。

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