金融商品の仕組みにメス投資加速に向け顧客目線に自主的な改善求める金融庁
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:08/05/2016  提供元:エヌピー通信社



 銀行や証券会社で売られる保険や投資信託などの金融商品の従来の仕組みに、金融庁がメスを入れ始めた。8月2日の金融審議会の市場ワーキンググループ(WG)では「顧客本位でない」と判断される商品販売の事例を公表。今後、金融機関側に改善を求めていく方針だ。

 手数料が高いのに不透明▽仕組みが複雑だが顧客の理解を得ることなく販売▽審査が不十分なまま勧誘・販売―。金融庁がWGで示した「顧客本位の業務運営の観点からの指摘の例」と題された資料には、これまでの検査で判明した問題のある事案が羅列された。

 政府は個人の金融資産を貯蓄から投資に振り向けるための施策を進めており、金融機関にも顧客本位の姿勢を求めている。これまでは銀行窓口で販売される保険商品の手数料開示を中心に議論してきたが、今回は投資信託などにも範囲を拡大。デリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ仕組み債や毎月分配型の投信などを事例として新たに提示した。

 金融庁がこうした事例を包括的に明らかにするのは初の試みだ。委員からは「顧客本位でない金融商品は長い目で見れば業界の利益も損ねている」「手数料などの内訳を明らかにする必要がある」と取り組みを支持する声が相次いだ。

 一方で「問題の本質や要因がどこにあるのか分からない」との指摘もあった。金融庁は金融機関側が自主的に改善策を進めやすいよう環境を整えたい方針だが、業界側は「収益構造が変わるのは経営に打撃もある」(地銀)というのも本音。今後の議論は紆余曲折も予想される。