就職戦線“売り手市場”に 当局 交際費や源泉徴収をマーク
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:11/04/2005  提供元:エヌピー通信社



 団塊の世代の大量退職により、年金などをはじめさまざまな問題が懸念されている、いわゆる“2007年問題”。労働市場では、製造業を中心に後継者の育成が最重要テーマともいわれている。このため、中堅レベルでの中途採用を活発的に行う企業も増加。加えて、景気回復から手控えていた新卒採用を再開する企業も相次いでいる。そんななか、会社が人材確保のために行う税務もいま、クローズアップされている。

 中途採用で会社が期待するのは、即戦力となる人。ただ、そうはいっても、会社にはそれぞれ会社内部での決め事など、“ハウス・ルール”が存在する。そのため、中途採用者でも入社前に研修を受けさせる会社は多い。

 このような入社前研修で会社が支出するのは、資料作成代をはじめ、講師代のほか、研修所までの交通費や食事代などさまざま。こうした費用は対象が正社員ではなく内定者であることから、「部外者」とみて交際費と処理するケースも少なくない。しかし、入社前研修は、内定者が入社後、円滑な業務を行うための「会議」ととらえることもできることから、「会議に関連して、通常要する費用として交際費に含めなくてもよい」(当局)。

 また、遠方から中途採用者を雇う場合、旅費などを会社が支給するケースも少なくない。このようなときでも、会社は源泉徴収をする必要はない。もっとも、支出した金額が相当額を超えてしまうと、「就職者が労務提供を約束することで支給を受ける契約金」の色合いを持つため、超えた部分については源泉徴収をしなければならない。

 さらに、在学中からアルバイト勤務をしていた学生に、卒業後、正社員として来てもらうことを条件に、奨学金などを貸し付けたりすることもある。そして、たとえば「3年間勤務して、奨学金の返済を免除する」といった会社もあるが、この場合、免除された金額は社員への給与となるため、会社は源泉徴収をする必要がある。

 ほかにも、同族会社でオーナーの子どもが新たに入社する場合、たとえ役員でなくとも同族関係者の報酬については、税法で高額部分が損金不算入となるなど、入社に関する税務には注意が必要だ。



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