一体改革 首相、経済成長の中身示せず 具体性欠く“努力目標”に批判集中
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/25/2012  提供元:エヌピー通信社



 与野党論戦が本格化した「税と社会保障の一体改革」の国会審議で「消費増税の推進勢力」を自認する自民党は、増税の必要性には理解を示した。一方、増税の際の努力目標として明記された「名目3%実質2%」の経済成長には、「成長の中身の具体性がない」と批判が集中している。

 「成長の具体策は何か」。21日の質疑で質問に立った石原伸晃幹事長が政府案に疑問を呈した。デフレ下で目標達成は難しく、野田佳彦首相は「(6月にも発表する)日本再生戦略に基づく成長促進で実質成長率2%を目指す」とかわすだけで、戦略の具体性について言及はなかった。

 そもそも、努力目標は増税よりも経済成長を優先すべきとの民主党内の増税慎重派に配慮して盛り込まれたもの。このため、党内からは「努力目標ではなく、増税の前提」との圧力がかかる。

 23日の質疑では、経済成長を重視する民主党の馬淵澄夫議員が「景気回復こそが消費増税の大前提。しっかりと景気回復状況の確認を認識しなければならない」と指摘。野田首相は「経済再生も、行政改革も含めた包括的な改革だ」と述べ、財政規律よりも経済成長を求める与党内の声にクギを刺した。

 だが、19日に閉幕したG8首脳会議では、緊縮一辺倒だった財政政策の軸足を少しずつ経済成長に移していくことで合意するなど、各国の対応も変化しつつある。こうした中、政府がどのような成長戦略を打ち出すかにも注目が集まりそうだ。