ほしい人材を狙い撃ち! 「引抜き」の支度金は損金に
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:01/14/2005  提供元:エヌピー通信社



 会社の将来をも大きく左右してしまうのが人材。多くの企業では、優秀な人材の確保や維持に躍起になっている。こうしたなか、注目されているのがヘッドハンティングに関する税務だ。

 人材の狙い撃ちとなるヘッドハンティングは、紹介業者に依頼するケースが多い。業者に支払った紹介料は、手数料や紹介料などとして全額損金に算入できる。また、よくあるのはヘッドハンティングした人材に対し、雇用契約を前提にして支度金を支払うことだ。

 技術者などのように、高い専門性を持った者へ支払った場合、その能力が将来にまで及ぶからといって繰延べ資産に計上すると思いがちだが、技術者などの能力がどれだけ将来に影響を及ぼすかは不確定であるため、通常のヘッドハンティングで支払う支度金と同様、損金に算入できる。

 支払った支度金は、源泉徴収を行うことになるのだが、支度金の支払い額によって税率が異なる。100万円以下の支度金を支払う場合には10%、100万円を超える場合には、超える部分に対し、20%の税率で源泉徴収を行う必要がある。

 一方、他社に能力を買われてヘッドハンティングされた社員は、雇用契約を前提として、就職するはずの会社から支度金を受け取った場合、まだ雇用契約が結ばれていないため、雑所得となり、確定申告が必要となる。しかし、一度雇用契約を結んだ後に会社の事情などで自宅待機となり、その際に支度金を支払われた場合には、給与所得となり、年末調整の対象となる。

 また、ヘッドハンティングされた社員が転居するために支払った費用で、契約金と明らかに区分でき、通常必要と認められる範囲においては、非課税となる。


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